「実店舗でなきゃ、だめ」な理由が大きく変わった
実店舗の商売的意義が再定義されつつある。
JR大阪駅前という絶好の立地条件にあるにもかかわらず、商業施設「イーマ」がゴーストビルになってしまっている。地下2F、地上7F。7Fはシネマコンプレックス「梅田ブルク7」。現在は地下2Fは閉鎖され、地下1Fにある前から元気なカフェとショップ以外は1Fからずっと人がいない。店もない。閉店ラッシュ。ピーク時の2006年度には93億円売り上げたそうだけど、現在は見る影もない。
以前はアパレルが多く入ってた。
コロナの影響ではなく、その前からこんな調子だ。
JR大阪駅上のビルにあったユニクロも撤退・移転した。
人の流れが大阪駅北のグランフロント、ルクア、ルクアイーレへとはっきり変わってしまったというのもある。ただ、それだけではないと考える。
実店舗の意義が、構造的に変化したのだ。
コロナで、「服買うための実店舗って、行く意味ないかもしれない」と多くの人が思い始めた。
「脇肉キャッチャー」「夜寄るブラ」「ハリジェンヌ」「タニマドンナ」「もう離れ垂れへんブラ」「胸不二子ブラ」・・・
ネーミングの天才 HEAVEN Japanはこうなる前から「試着できるサロン」を東京・青山と大阪・心斎橋に用意、買うのはネットでお願いね、とやってる。
オンワードの『オンワード・クローゼット』も同様の試みであり、戦略だ。
「実店舗でなきゃ、だめ」な理由が大きく変わった。
ぼくが頼りにしているのはDESIGNWORKS(ABAHOUSE)のM君で、彼のアタマの中にはこれまで買ったアイテムがすべて入ってる。
だから「あのジャケットに合うパンツをちょっとみつくろってください」という話ができる。
かつ、M君ならではの提案がある。彼の提案がなければ気づかなかったコートの使い方とか、教えてもらってる。
こういう仕事こそまさにAI(人工知能技術)では不可能であり、「人ならではの力」だ。
実店舗が立地条件無視しても構わない時代になってきている。ショールームは便利な場所で小さく用意し、在庫も置かない。その代わり、ネットを充実させる。
さて、イーマ最上階のシネマコンプレックス「梅田ブルク7」だけど、『鬼滅の刃』頼みの感強し。
この時期、『鬼滅』なかりせば、映画界は一体どうなっていたんだろうと思っちゃうね。