ミサイルをもっていたら、どこを攻撃すればいい?
フォーカス・マーケティングの最初の一歩は
「君のビジネスをつぶすには、どうすればいい?」
という質問だ。
ウィスキーメーカーでやったことがある。
水源ときた。確かに。美味しいウィスキー作りには良質の水が必要だろう。
しかし、水源は、探せば地球上のどこかにあるかもしれない。
ぼくがミサイルを持っているとして(笑)、あなた(ウィスキーメーカー)をつぶすにはどこを攻撃すればいいだろう。
質問を重ねていった先に、答えはあった。
原酒の眠る蒸溜所だった。
ウィスキーは「はい、じゃ、今日作るから明日取りに来て」というわけにはいかない。半世紀(50年)眠らせるときもある。
エンジェルシェアという素敵な言葉があるくらい。
50年経ったら原酒から半分の量へと蒸発しちゃうそうだ。半分は、エンジェルにシェアした。
だからよく「**年」というネーミングしてるでしょ?
ぼくたちはお酒じゃなくて、「時間」を飲んでいるんだ。
「時間」を買ってると言い換えてもいい。
この「つぶすには?」思考実験の数年後、つまり今日現在、ジャパニーズウィスキーはなかなかお目にかかれない。何十年か前に需要予測を誤ち、一斉に消えたから。消えたからといってすぐに作れないところにウィスキーの悩ましいところがある。
サントリーは窮余の策として、世界五大陸の美味しい原酒をブレンドした「碧(AO)」を出してる。実はこれはこれで美味しい。さすがサントリー。
この前、バーでつい「ジャパニーズウィスキーないですか?」と聞いたら「山崎、あります」と囁かれ、いいカッコしてボトル入れてしもた。翌日シラフでレシート見て腰抜けた。
富士フィルムは「自社をつぶすには?」の問いを考えてかんがえて考え抜き、ついに自社を自社たらしめているコア・アイデアにゆきついた。
ナノテクノロジーと乳化技術。
早い話、極小粒子の扱いに長けている。
だからデジタル化でフィルムがなくなっても、女性基礎化粧品ASTALIFTや
内視鏡システムという医療分野へ進出できた。
フォーカス・マーケティングは
たった1人のマイクロインタレストにフォーカスする。
だから、コア・アイデアを知って、磨くということがとても大事なんだ。
そして、そのコア・アイデアの寿命を知ることも大事で、たとえばナウル共和国は太平洋に浮かぶ島国、リン鉱石が豊富、その輸出によって財政をまかない、おかげで無税国家だった。
ところが、90年代に入り、リン鉱石の採掘量が減少し始める。
お金が入ってこないのだから当然財政は悪化し、いろいろ試すものの外貨を稼げる産業も立ち上げられず、国家財政が破綻してしまった。
これ、「立地の良い場所だというだけの理由で繁盛している店」にも言えるよね。コロナで来店が不可能になったら一発でアウトだった。
観光地やリゾート産業も同じことが言える。
コロナのようなウィルス危機、また自然災害はいつ来るかわからない。
それらに備えるためにも、
「君のビジネスをつぶすには、どうすればいい?」
の問いに向き合い、コア・アイデアを言語化しておこう。
コア・アイデアを検証する3つのポイントをまとめておくね。