商品は、なくてもいい
市場ファースト、製品セカンド
昨日、JOYWOW塾でこんなことがあった。
着物を売ってるヒロさんに「どいしゅぽんとしゅ」のEmmaちゃんが「着物でステージ衣装作ってほしい」するとYuhiくん重ねて「メンズも!」。
言い換えれば、「和着物でステージ衣装を作ってくれたら買います」ということで、「市場(しじょう)」が生まれたわけである。
これまでのマーケティングの教科書には、「製品があって、それから市場を作っていく、切り拓いていく」順番だった。製品ファースト、市場セカンド。
変わった。
市場ファースト、製品セカンドなのだ。
買う心理
断捨離しなきゃいけないほど家の中、モノはあふれてる。
ダイエットしなきゃいけないほど体の中、栄養はあふれてる。
ぶっちゃけ、食料や日用品を除けば、一年間何も買わなくてもいいほどだ。
そういえば、とふと思い立って、ぼくの運営しているコミュニティ「Team Rock being」で「この4月から今月(12月)までの間、お洋服買いましたか?」とアンケートしてみた。
結果は、意外なものだった。
「リアル店舗でもネット店舗でも複数回買った」が最も多かった(86票)のだ。
2番めが「リアル店舗で複数回買った」(54票)
「ネット店舗で複数回買った」(27票)が続く。
「(リアルでもネットでも)一度も買ってない」がもっと多いかと思ったら、わずか7票。
興味深いのはコメントで、総合すると、みんな、服というものは「自分のため」に買ってるということがわかった。当たり前といえば当たり前だが、これは「買う心理」の本質を突いてる。
つまり、「何かが必要だから買う」というより、「自分の心を満たすために買う」である。食事もそうだよね。飢えを満たすため、というのは現代日本では考えにくい。それより、「心を満たす」ため。
「心を満たす」は幅広い。
✓ 孫の笑顔が見たい
✓ 恋人を喜ばせたい
✓ 仲間と楽しみたい
✓ 頑張ってる自分を癒したい
✓ 子どもの頃から憧れていたこの景色をリアルに体験したい(ぼくは一度でいいからアフリカ最南西端、喜望峰 Cape of Good Hopeに行ってみたいんだ)
そして、いざ買うにあたっては、「どうせお金使うのであれば、親しい◯◯さんから買いたい」「信頼の置ける◯◯さんに相談したい」という心理が働く。
そこで冒頭の「市場ファースト、製品セカンド」に戻る。
商品は、なくてもいい
つまり、まず関係性が先なのだ。
これは昔ながらのスターとファンの関係が立証している。
ジョン・レノンのファンは、ジョンが出す曲であれば何でも受け入れる。
おそらく、NiziUのファンは新曲が出るたびに応援するだろう。曲やダンスの質はもちろん大事だけれど。
アップルのデザインに惚れてるひとは、「アップルが家を売り出す」と聞けば絶対見に行くはずだ。だって、一昔前まで、まさか時計を開発するとは誰も思ってなかったけれど、アップルウォッチが出たらストアに行列出来た。
「個人で7億売る」というカリスマ添乗員平田進也さんに取材したことがある。彼のファンは、いろんなことを相談してくるそうだ。家、車、果てはレーシックまで。つまり、彼は旅行だけではなく、家も車もレーシック手術も売ることができる。なぜか。「どうせ買うから平田さんから」「平田さんの言うことなら安心」という心理が働くからである。すでに「平田進也」が市場(マーケット)化しているのだ。
これからの商いは、まずコミュニティを作るところから始めよう。
商品は、決めなくていい。コミュニティが自然と「こんなんないの?」とか「こういうの、作って」と「ニーズ」を聞かせてくれるから。