旅のサブスク®「HafH」、会員10万人、宿泊予約50万泊を突破。 HafHしばらく旅に出ます。
2019年の創業以来、皆様のご支援のもと、仲間たちと多くのチャレンジを続けてきたことで、HafH(ハフ)が10万人を超えるユーザーをもつ規模のサービスへまで成長したことを大変嬉しく思います。
しかしながら、今回新規会員の募集の停止という判断をいたしました。本来であれば、成長を続けながらサービスの抜本的な改修に取り組めることが一番でありますが、限られたリソースの中で、安定したサービスを維持しながら、市場のダイナミズムに向き合うためには、成長を一時我慢してでも足下を固めるべきであるとの判断に至りました。忸怩たる想いです。
特に影響が大きいのが、価格変動リスクの増大です。旅行業界は、オーバーツーリズムなどに代表されるように、常に需要のおおきな変動に悩まされてきました。これを解消する一つのアプローチが、日々の需要状況により大きく価格変動するダイナミックプライシングであり、これが現在の旅行業界ではより加速しています。当社は、この変動する価格のリスクを把握しマネージすることでユニークな価値提供をしてまいりましたが、これらのアルゴリズムの拡張性以上に市場の変動幅は激しく、また会員数の増加にともないそのリスクの絶対量が増大し続けておりました。
当社は、ビジョンとして「テクノロジーの力を使い、世界中の旅をより身近なものにリデザインする。」ことを掲げています。ホテルセールス人員の増強などに頼りすぎるのではなく、テクノロジーの力でこの問題を解決したいと考えています。
また、これまで5年間で積み上げたデータポイントは膨大な量になり、さらにユニークな価値体験を提供できると確信しています。この大型アップデートの準備も整えているところです。
HafHのこれまで
2018年11月にHafHのコンセプトを発表しました。「世界を旅して働こう」。リリースわずか数日で多くの方に支援を表明いただき、コンセプトに自信を深めたスタートでした。
しかし、当時ソフトウェアづくりのためのコードは1行もなく、ご参画いただくホテルも未定、数人の仲間で勢いのままに発表したのでした。"Fake it until Make it!" とはよく言ったものです。本当に何もありませんでした。
最初にリリースしたデザインは私が慣れないXDでなんとか描いて、こんな形でお願いしますというのを、今でも最前線に立ってくれている Masa & Yuki のスーパーエンジニア力で形にしてくれたのでした。お見せするのもなんとも恥ずかしい出来栄えです。
それが2019年の4月、7カ国53拠点からのスタートでした。
最初にクラウドファンディングで登録してくれた方々、コンセプトに共感していただいた旅好きの方々に支えられ、少しづつ掲載ホテル数も増えていきました。
そこへ来て、2020年1月、サービスリリースから1年も経たずにコロナ禍の足音が。。。
このあと3年もの長きにわたって、耳にタコができ過ぎてもう耳がタコになるくらい「コロナ」という単語と闘い続けることになるとは、当時思ってもいませんでした。
いつ終わるともわからない、長い暗闇のトンネルの中、転機となる成長のきっかけとなったのが、2021年7月の日本航空様との連携開始でした。
実証実験を経て、サービスを拡張し、HafHは今ではホテルも航空券も予約できる「旅のサブスク®️」サービスになっています。旅ガチャなんてのもやりました。出発地だけ決めて、ガチャで5回飛行機に乗るルートが自動で決まるという5連ガチャもやってみました。そのハードさから「HafHは頭おかしい」との喜びの悲鳴もたくさんいただきました。
また、HafHでも定番となっている星野リゾート様のOMOシリーズとの連携は2022年4月でした。この提携時に11施設であったOMOは続々と増え、今では17施設となり、HafHの楽しみを増やし続けていただいています。
5年でHafHは何をしたのか?
10万人のユーザーの皆様と、50万泊以上の宿泊をつくってきました。しかし、本質的には旅行予約の構造問題に取り組んできたと考えています。
- なぜ価格をフラットにできる?
- なぜ前日までキャンセルが無料なのか?
- なぜ安いのか?
需要と価格予測のアルゴリズムの開発に多くの時間を費やしてきました。いわゆるAIです。推定するにもデータが大量に必要ですし、データの取得のためには多くの取引が必要です。コツコツと取引を積み上げてきたことで、予測精度は十分に正確だと言えるくらいまできました。予測が正確にできるということは、変動するかもしれない確率、キャンセルするかもしれない確率がわかるということであり、わかるということはそのリスクを取るか、取らないかの判断を適切にできるということです。これらを適切にできると、高い手数料をいただく必要がありません。だから安くできます。
同じサービスを受けられる前提で、同じ広さの部屋を1ヶ月宿泊するのが、2年契約で賃貸契約する場合の1ヶ月分の賃料よりも何倍も高いのは、このリスクの程度が高いことによります。もし、長期に需要を安定させられるのであれば、1日づつの個別売りをしても価格を高くする必要がないはずなのです。
私たちは、本質的には、この短期と長期の確定予約のアービトラージに取り組み続けてきました。そして、これからもここが私たちのユニークなポイントであり続けると考えています。
その他にも、3つユニークなポイントがあります。
1. ホテルとの直接取引にこだわっています。
実は、世界195カ国、世界中の30万のホテルに宿泊できる予約プラットフォームですと言うこと自体はそれほど難しくはありません。卸売事業者が存在し、そのシステムにつないでしまうことで、ホテルと対話することなく仕入れを気にしないということはできるのです。しかし、これはほとんどビジネスにはなりません。なぜなら手数料がほぼないからです。エクスペディアは世界最大の卸売事業者の一社ですが、彼らから在庫を頂戴するということは、彼らに価格では絶対に勝てないことを意味します。つまり、相対的に高い価格を消費者に課すしかなくなるのです。
当社は、創業以来、ホテルに足を運び、一所懸命に新しいコンセプトをご説明してサポートいただくということを繰り返してきました。今では世界30カ国に2,000の施設パートナーを有するほどになりましたが、送客できるかもわからない事業者とホテルが直接契約することは相当なチャレンジであり、結果として競争優位性になりました。
これは、単にとにかく頑張ったというお話し。
2. 卸売価格で取引しています。
二つ目は、ビジネスモデルの話です。HafHは、コインという独自のポイントプログラムのみで予約できるという仕組みから、通貨建てでの表示がありません。つまり、価格が見えなくなっているのです。
これは、価格自体を比較するという点においては、わかりにくさを生んでいる大きなデメリットなのですが、一方で見えない価格によって普通は取引することのできない卸売価格で取引できています。これは、一般的には、他の予約サービス上で誰もが見ることのできる価格よりもお得な価格で予約できることを意味します。
すべての取引価格が卸売価格なわけではないのですが、これがHafHを全体としては安いという仕組みにできている大きな理由です。
3. 予約取引獲得のための広告宣伝費が不要です。
三つ目も、ビジネスモデルの話です。通常の予約サービスでは、一つの取引を成立させるために実は多くの広告宣伝費を投下しています。ある大手旅行サイトでは、15%程度と言われるコミッションのうち半分以上を広告宣伝費に投下しています。これは、旅行者が10,000円の宿泊費を支払う場合、コミッションは1,500円ですが、そのうち旅行サイトの取り分は700円、GoogleやMeta (FacebookやInstagram)などへ支払う費用が800円ということを意味します。
HafHは、新しく会員登録していただくために広告宣伝費をかけておりますが、毎月定額でコインを積み上げていくというビジネスモデルの特徴から、予約取引をつくるための広告宣伝費は必要ありません。この分をユーザーの皆様に還元していると言えます。
そして、これから、、、
いったん、新規登録を止めます。
これは開発に集中するためです。開発したいことは数多くありますが、まずは仕入れ側を抜本的に解決する時間をください。課題も方向性も見えているので、あとは時間が必要です。
HafHのサービスの方向性としては、今回「原点回帰」を掲げました。
HafHは、ふとアプリケーションを開いたら、旅に関するいろいろな情報があって、他のユーザーの声もあふれていて、ちょっと旅に出ようかなと思ってしまう旅をより身近に感じられる場所でありたいと思っています。
目の前に山積した数多くの課題を解決し、1日でも早く成長へ向けた軌道に戻すよう、よりいっそう精進してまいります。
旅行業界という非常に大きな業界で、伝統的な仕組みの構造問題にアプローチするのは簡単ではありませんでした。ここからは、ユーザーの皆様、ホテルパートナーの皆様、みんなからのパワーがさらに必要です。
今回、一旦、10万人のユーザーの皆様と、次のステージへ向けた準備作業に入ることといたしました。皆様のフィードバックをください。知恵を貸してください。ダメ出ししてください。その一つづつが HafH の血肉となって私たちをより強くしていきます。
世の中からは少し見えにくくなるかもしれません。最近の HafH どうなってるんだ?となるかもしれません。そのために、少し頻繁にここ note で状況報告していきたいなとも考えています。今回、4月末まで会員登録のドアを開けています。せっかくならと今回入っていただくのが一番嬉しいです。しかし、HafH はまだだなと今回思ったけれども、もし興味を少しでも持っていただけたなら、たまにウォッチしておいていただけると2番目に嬉しいです。
次にお会いするときを楽しみにしていてください。
HafH、(少しの間だけ)ちょっと修行の旅に出てまいります。
では。
KJ