スライス後のレイヤー内肉厚を一定にするモデリング手法
前回の記事までの試作を通して、造形物全体で透明度を一定にするためにウォール厚みを1.2mmに統一して作ることを決めたが、三次曲面でどのようにそれを実現するかの試行錯誤にかなりの時間を要した。
今回の記事ではペンケース制作を通して得たスライス後のレイヤー内肉厚をどのようにして一定にするかを形状ごとに整理して紹介する。
※この記事でまとめる手法はあくまでサーフェスモデリングソフトであるRhinocerosとCuraを用いた場合にレイヤー内肉厚一定を実現するための方法であり、ナンセンスな操作に感じられるかもしれない。形状や3Dプリント物に求められる要件によってはGcodeを直接生成したほうが良い場合も考えられる。そのためこの方法こそが絶対であると述べるつもりは無く、あくまで一つの事例であることをお伝えしておきたい。
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今回まとめた手法を用いたペンケースを頒布しています。
時々在庫を復活させているので、お手に取っていただけると次の制作の資金になるのでうれしいです。※記事執筆時点では半透明の在庫あり
積層方向に並行に伸びる円柱や壁
サーフェスをオフセットすればレイヤー内肉厚を均一にできる。
※書くまでもないが、念のため。
積層方向に対して傾いた平面や二次曲面
積層方向に対して直角に並行移動させた面を作ることで、レイヤー内肉厚を均一に出来る。
ちなみにこの後の三次曲面でも同様だが、サーフェスを単純にオフセットすれば良いわけではない。オフセットは法線方向に平行な線、ないし面を作る処理のためスライス時に各レイヤー間で厚みが一定にならず、ツールパスが均一にならない。
三次曲面
三次曲面の場合は単にオフセットや平行移動すれば良いわけではない。
今回のペンケース制作で行った方法をこの後まとめてみる。
※三次曲面の形状や積層方向との位置関係次第では他の方法も考えられるということは念のためお伝えしておく。
具体的手順
①三次曲面の準備
今回の記事では下図の黄緑色のラインで囲まれた範囲の面を用いる。辺DBはオーバーハングを考慮して垂直から徐々に45°に変化させた曲線である。また、辺AB、辺CD、辺ACは端点が接するラインと曲率連続性を持たせた曲線である。辺AB、DB、CD、ACの4辺を用い、辺ACは位置、それ以外は曲率連続でマッチさせたNetworkSrfによって面を生成した。
※制作したペンケースではここからさらにエッジをブレンドするなどしている。
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