洋服の在り方

先日あるファッション対談を聞いた。
その中での話が頭から離れない。

それは、
誰も想像しなかったこの騒ぎで、
スーツやネクタイ、所謂ビジネススタイルの在り方がまた大きく変わっていくだろう。
という話。

そもそも昨今ではファッションのカジュアル化が進み、クールビズというスタイルが世の中で当たり前のようになった。
スーツを着てネクタイを締めるなんて人はかなり減った。
それに加えて今世界を震撼させているウイルスの影響で新しい働き方、
「在宅ワーク」が日常的になってきたのだから
このカジュアル化の流れは余計に加速するだろう。

とは言え、人間の心情って言うのは面白い物で、
誰に言われたわけでもなく、何か重要な事がある時にはスーツを着てネクタイを締める。

それは自分の気を引き締める為なのか、
それとも相手に信頼感を与える為なのか。

私は洋服屋。
洋服屋と言っても主にスーツやジャケット等を販売している為、基本的にスーツを着用する事が多い。
ただ一般的なビジネスマンとは違い、
ネクタイをする時もあれば、日によってはスーツだけど中はTシャツなんて事もある。
私達は世の中がクールビズ真っ最中でも
ネクタイをする。
ネクタイを「装飾品」として考えているからだ。
コーディネートにネクタイが必要で有ればするし、
無くてもいい時はしない。

とは言え、〜式や、〜会の様なかしこまった時には
私達も同じ様にスーツを着てネクタイを締める。
その時は「装飾品」としてではなく、
自分の気を引き締める為、相手に信頼感を与える為に締めるのだと思う。

何が言いたいかと言うと、
自分の好きなスーツやネクタイが将来的に無くなる心配をしていたが、在り方は変わっても無くならなそうで良かったなってちょっと安心したって話。

だから私達は新しい生活様式に合わせて、
用途に合った洋服を提案する、そういう形で
お手伝いが出来ればいいと思う。

そもそも洋服は
行く場所、会う人、用途によって変化する。

不謹慎だが、
この自粛期間のおかげで洋服の事、自分の仕事について改めて考える良いきっかけになったかも知れない。