固定客(ファン)の持つ危険性とは…
固定客を維持しようとするとき、
実は売り手だけでなく顧客側でも無理が生じている場合があります。
継続して来店する固定客はやがてそのお店のファンになります。
その間には濃い人間関係が出来上がりひとつの財産となります。
そのことから「固定客のファン化」を提唱している流れがあるのも事実です。
しかし本当にそれでいいのでしょうか。
手放しで「固定客のファン化」を進めていいのでしょうか。
ある焼肉店で聞き取り調査をしたところ、こんな意見がありました。
「何回か来ていたが、時々商品が良くないことがあった。接客も雑なことが あった。でも今日はたまたまと思い通い続けていた。でも直らなかった。いまさらクレームを言うこともできないので何となく足が遠のくようになった」
この意見には大きな意味があります。
売り手と顧客の間に親密な人間関係ができ顧客がファンになると
顧客は売り手に何か不備や不満があっても
「今日はたまたま、本当は違う」と贔屓目の判断してしまうことがあります。
これは顧客自身が一度認めた店を否定したくないという思いからきているようです。しかしこの状態が続けばやがて無理が生じます。
そして何も言わず足が遠のいていきます。
「固定客のファン化」には大きな危険が潜んでいます。
率直なクレームが表面化されず改善点が埋もれてしまします。
だからこそ固定客のクレームを真摯に受け止める仕組みが必要になります。
来店の数日後お礼を兼ねて連絡してみたり、直接訪問することも有効な手段です。
主語を変えて言えば、 「顧客がクレームを言える仕組み」です。
「売り手がクレームを集める仕組み」とは違います。
より発言しやすい機会や環境作りをしてください。
イベント集客などで来店をお願いするなど、固定客に甘えることは悪いことではありません。
しかし「これぐらいは大丈夫だろう」という幼稚な甘えの連鎖は禁物です。
反対に固定客が「わがままなモンスター」になることがあります。
これも要注意です。
一時の売上げ、利益のために理不尽な要求を受け入れたくもなりますが、
それはやがて収益を圧迫し自身を苦しめることになります。
私が営業マンであったころ、常に夜遅い面談を要求する顧客がいました。
売上げを上げるため深夜に面談を重ねましたが、
やがて無理が生じその顧客も離れていきました。
顧客側にも一定の節度を求めてもいいのではないでしょうか。
わがまま固定客には毅然とした態度で臨むことも必要です。
● ファンの危険性とその対処
・ 固定客がファンになると改善点が埋もれる
・ 固定客に対する幼稚な甘えの連鎖は禁物
・ わがままな固定客には毅然とした態度で臨む