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フィンランドに来て、ついにわかってしまったかもしれません。日本に今後必要なのは、「簡易領域の拡張なのではないか」という話


人事の修学旅行と題したフィンランドを舞台に、働き方についての学びを深めるツアーの2日目が終わりました。

この日は日本でいう高校にあたる職業専門学校に訪問しました


施設内の素敵な階段


今日もいろいろな方の話を聞いてきました。めちゃ面白いなと思ったことがたくさんありました。

そんな中で「ついにわかってしまったかも!!」と思ったことがあったので、今回はそのことについて書いてみます。

なお、「わかってしまったかも」と書きましたが、フィンランドの文化や、幸福度ランキングの裏にあるであろう秘密については、まだちょっとずつ理解が深まりつつある程度で。それにはまだまだ、まだまだ時間が必要だなという感じです。(そりゃそうだろう)

じゃあ、何がわかってしまったかというと「私がここで学んだことをこの後、どう日本社会に活かしていったら良いか」についてです。

この発見の種は、1枚目の写真にある灰色の椅子を囲み、この椅子についての説明を校長先生から聞いていた後、学校教育関連の方々と話をしていた時に、天から降ってきました。

その後、1日、フィンランドを囲むいろいろな方々に話を聞いているうちに、芽が出てしまいました。

言い方を変えれば「ととのったー!」と叫びたい気持ちです笑

何がなんやらと思うと思うので、もう少し書いてみます。

この灰色の直方体っぽいものは、職員室にある椅子です。


なんですが、座るとシーソーのように体を揺らすことができます。

(なお、フィンランドでは、先生たちも一人の人間であり、役職から離れて自分という存在に戻る時間が必要ということで、職員室には子供が入れないというルールになっているそうです。

こういうところから、日本とフィンランドの人権に対する感覚や、労働に対する感覚の違いを大きく感じます)

その時に、校長先生が言っていたのが以下の言葉でした。

「座ってもらえればわかるように、この椅子は座りながら体を揺らすことができるものです。それによってADHDの子も、座って授業に集中しやすくなる効果があるんです」と。

なるほどなーと思うわけですが、その時に、今回日本から来ていた先生たちと話題になったのは、

「実際、そうだったとしても、この椅子をADHDの子に向けて用意できる学校と、できない学校がありますよね。」

「一部の学校では、いかなるエビデンスがあったとしても、それはダメでしょと言って禁止されて終了ということが起こりそうですよね」

「それでいうと、◯◯区や◯◯市は先進的な活動がどんどんと展開しているから、できそうな気がしますし、もうやっているかもですね」

という会話でした。

そして、ここからが私に閃いたものについてです。

それが、タイトルにもあったように、呪術廻戦においての簡易領域の話です。

フィンランドまで来て呪術廻戦の話をするなという声が聞こえてきそうですが、このモデルで説明すると私的にはあまりに通りやすかったので、そのまま説明させていただきます。

(わからない方は申し訳ないのですが、呪術廻戦を読んでください。先日、ついに感動の?フィナーレを迎え、年内には全巻発売されるそうです)

思うに、日本社会には、ある領域が展開されていて、仮にそれを「領域展開・1940年体制」と呼ぶことにしましょう。(この名前に異論はあっても全然OKです笑)

この領域の中では、とっても便利なさまざまなものがある反面、ところどころで、人間にとって非常に攻撃性が高い仕掛けが張り巡らされています。

気を抜くと斬撃だったり、裁判だったりが襲いかかってきたりします。

これに抵抗するためには、自身も(簡易)領域を展開する必要があって、その押し合いに勝てれば、平穏に過ごせますが、押し合いに負けると必中必殺の術式が飛んできて、体や心が時にズタボロになったりします。

北欧社会の一部で見られる「そこで生活する人たちのウェルビーイングを最上位の目標として、それに向けて民主主義と資本主義を効果的に活用していこうとする姿勢」と「そのための対話を通じて、納得感の高い、合理的な意思決定を進めていこうとする姿勢」というのは一種の簡易領域のようなもので。

日本に全部そのまま入れるのは不可能だなと思いますが、一部で展開するのは十分に可能なのではないかと思いました。

具体的に言えば、日本の大半は、以前として1940年体制?なんだけれど、自分自身の生き方や、所属するチーム、所属する会社、生活するエリアなどにおいては、上記の運用で展開され、人々が短い労働時間で、生産性高く、アウトプットを生み出し、ウェルビーイングもサスティナビリティも高度に保たれているというイメージですね。

これ、今回、改めて言葉で整理したらこういう表現になりましたが、実は、北欧社会に興味を持ち始めた5年くらい前から同じようなことを考えていたのが、今回、ここにきてあちこちから人の話を聞いているうちに、呪術廻戦のおかげで綺麗に整ったという状況だなと思いました。

このスッキリ感をくださり、芥見先生にも大変に感謝でございます。


ということで、フィンランドで聞けたあれやこれやという面白い話をほとんど書かずに、私の発見しか書いていないんですが、今はそれですっきりしてしまったので、今日聞けた話はまたどこかのタイミングでどこかに書いていけたらと思いました。

最後に、先日、「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果が出せるのか?」の著者の針貝さんから質問をされた時に私が回答したのもまさにその話だったなと思ったので、最後にそれだけ共有して今日のエントリーは閉じたいと思います。

それは、「私の本の読者から、『ここに書いてあることはその通りだと思うのですが、実際に、自分の会社でやろうとしてもなかなかうまく進まないということが浮かんできてしまいます。どうやったうちの会社でこれができるようになるでしょうか』と相談されるんですけど、森本さんだったらどう返しますか?」という問いについての答えです。

「この方の気持ちはめちゃくちゃよくわかります。。。私もそれが知りたいと思ってきたんで、私が知りたいくらいなんですが、現時点で私が言えそうなことをお伝えします。

まず、最終的に組織が変わるかどうかは、結局、トップによるところがあまりにも大きいというのが、私の実感です。

トップが「こっちだ!」と指し示し、それに対して本気で取り組めば組織が変わっていくかもしれませんが、トップにその気がないのに、ボトムアップで一生懸命がんばったとしても、生み出せる変化が限定的だなというのが私の正直な体感です。

なので、この方の組織のトップの方がどう思っているかというのがまず最初のポイントになるだろうなと思いました。

トップが話が通じそうであればいけそうな気もしますが、トップに全然そんな関心がないようであれば、かなり厳しい挑戦になるのではないかと思います。

ただ、それだけだと夢がない話で終わってしまうので、もう1つ付け加えたいのが以下の話です。

幸いにして、2024年はどこもかしこも人手不足となっていて、一定以上の成果が出せる人は、引くて数多と言っても過言ではない状態です。

また、組織の中にもいろいろな組織があり、古い体質のままにっちもさっちもいかない組織もある一方で。

スモールベンチャーなどを見てみると、革新的な事業内容に向けて、優秀なメンバーが集まり、極めてスマートな働き方のもと、夢中になって取り組んでいる組織というのも決して少なくないなというのも私の体感です。

もちろん、これはこれで大変さがあるので、だからそこに入れば大丈夫と言うことではないのですが。

また、やりがいなどを抜きにしても単純にホワイトな企業というのもあちこちに増えてきているでしょう。

なので、「自分の組織をどうしたら変えられるか?」という問いを立ててしまうと、負け戦のシナリオが濃厚になってきますが、「どうすれば自分が望む理想のワークライフを描けるようになるか?」という問いについて考えれば、この方の望むものは十分に手に入る可能性があるのではないかと思います。

その代わり、そちらの道に進むにしても、そういった組織から選ばれる自分である必要があるため、そこに対して努力をするのが良いように思いました。

残念ながら、そういう行動をとる人が増えていかないと変わらないでいる組織は変わらない気がしますし、そういう行動をとる人がたくさん出てくることで初めて、変わるきっかけになっていくと思うので、私はそれが良いと思いますね。

というものでした。

これが、まさに私が今回書いた、簡易領域拡張理論です。

1個1個の簡易領域をまずはしっかりと成立させて、それを増やしていくのが良いのだろうなということを思いました。

そのための具体的な手立てもちょっとずつ見えてきたので、帰国したら、日本の組織に北欧的、簡易領域を展開する方法というテーマで、整理したいなということを思っております。

ということで、改めて、フィンランドまで言って呪術廻戦の話を書くなという声が聞こえてきそうですが、今日も素晴らしい学びの機会をどうもありがとうございました。



先生たちの休憩室にお邪魔した時の様子。フィンランドはマイクロブレイクと呼ばれる短時間の休憩を大切にしているそう。
生徒の教室で、フィンランドの学び方や休み方について教えてもらいました。
フィンランド内外からやってきている生徒さんたちとの交流の様子
アフリカ(コンゴとカメルーン)からも生徒がやってきていて戯れている様子

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