「その気になったら1ヶ月休める会社を増やしたい!」 私がたどり着いた次のチャレンジの話
2024年も残すところ1ヶ月強となりました。
みなさん、そろそろ今年の振り返りや、来年に向けての目標設定、やり残したことについて考え始めている頃ではないかと思います。
という私が、今まさに一生懸命に考えている真っ只中です笑
特に昨日、今日とまる2日かけて
・今年の売り上げや支出は?
・書いたnoteの数やビュー数は?
・携わったワークショップや研修、人事施策、企業の数や参加人数は?
・取材に行けた先の数は?
・入ったサウナは?
など、この1年の数字を眺めながら、1人で今年の振り返りをしていました。
特に10月は、1ヶ月ほど、デンマークとフィンランドの働き方について取材や働き方を学びにいくスタディーツアーを実施しに行っておりました。
参考として1つ、行った際のエントリーを貼っておくのと、最後にいろいろと吊るしておくので興味がある方はぜひお読みいただけたらと思います。
取材旅行やスタディツアーを終え、日本に帰国したのが10月21日。気がついたらあっという間に1ヶ月です。
もともと取材に行きたいと思った最大の理由が「働き方の先進国である北欧社会に行けば、今後の日本が進んでいくヒントが得られるのではないか?」というものでした。
実際、行ってみて思いましたが、行ったおかげで、かなり重要なヒント、方向性が見えてきたのではないかと思います。
そんな中で、改めて2025年以降に取り組んでいきたいテーマが見えてきたので今回はそんな話を書いてみたいと思います。
それがタイトルにある通り、
「その気になったら1ヶ月休める会社を増やしたい!」
です。
パッと見た瞬間、従業員的な視点からだと「めちゃくちゃいいじゃん!」ときっとそう思ってくれるのではないかと想像します。
一方で、企業で数字を達成するためにマネジメントをしている人たちからすると、「何をバカなことを言っているのだろう」とか「そんなことできるわけないじゃん」とか「できたらいいけれど、実際問題無理だよね」と思うのではないかと思いますが、この1年ほど、私なりに真剣に考えた結果です。
今からそれについて書いてみたいと思います。
この話、企業から見るか、個人から見るか、社会から見るかと、立つ場所によって、全然違う景色が見えてくるため、それぞれの立場から書いてみたいと思います。
ということで、以下、今回の目次です。
①企業から眺めた時に
先ほど、企業側から見た時に「バカなことを言っているんだろう」と思うのではないかと書きましたが、実際、考えてみると、そうバカなアイデアでもないのではないかと思ってもらえるのではないかと思います。
と言いますのも、最近、私の届く案件の相談もそうですし、ニュースを見てもたびたび目にするのが「どこもかしこも人手不足」という話です。
「もうとにかく人が採れない」という声があちこちから聞こえてきます。
そんな人手不足が深刻な中で、「1ヶ月も休めるようにしよう!」なんていうアイデアはバカなんじゃないだろうかと思うかもしれません。
ただ、もう少し考えてみると、また別の景色が見えてきます。
人手に困っている会社の方とお話をする時に、
「実際、人手不足を解決しようとした際に、どんなことに取り組んでいますか?」
と聞くと、まず最初に返ってくるのが
「がんばって働いてくれるかもしれない人との接点を増やそうとしています」
という声です。
もう少し具体的に言うと、
「ウェブページを刷新する」
「契約する採用エージェントを増やす、プランを増やす」
「インターンを充実させる」
「友人を紹介してくれた人(リファラル採用)に報酬を出す」
「採用用の予算を増やす」
という話がよく聞かれます。
逆にいうと、それ以外の施策を聞くケースというのは、あまりないかもなという印象です。
その後
「その結果、どれくらい良くなっているんですか?」
と聞くと、非常に難しい表情をされるケースが多いです。
中には、「転職エージェントにお金を払って、人を紹介してもらい、なんとか内定まで進めることはできているんですが、その後、そう長くない期間で退職するというケースもあります。これだと、エージェントに払うお金が増えるばかりで、課題は解決されないままです」
という声が聞こえてくることもあります。
まず、打てる手として上記が挙げられるわけですが、なかなか成果にはつながっていないようです。
ただ、実際問題、これ以上の施策を打とうとすると、難しさの難易度が跳ね上がるため、これ以外の施策をとるのが難しいというのも容易に想像ができます。
そういうことであれば、私が考えている「その気になれば、1ヶ月休めるようにする」というアイデアは悪くないのではないかと思ってくれるのではないかと思います。
というのも、上記に出てくるアイデアは、まず会社のこれまでは変えずに、そこにフィットする人を増やそうという施策ですが、それだけだともう難しい状態の組織が少なくないのではないか、と私はそう感じているからです。
むしろ、これからは、「いかに働き手から見た時に、その会社が職場として魅力的に見えるように価値づくりをするか?」しか、この問題は解決できないのではないかと。
その際に、一番インパクトがあるのは、「給料をあげること」でしょうが、それもそう簡単な話ではありません。
「であれば、休みを増やせるようにする」と考えるのはごく自然の発想ではないでしょうか。
それも「単に休めるだけではなくて、長い期間連続で休めるようにする」というのはインパクトがあるのではないかと考えています。
なぜかというと、日本の会社組織で、長い期間休める会社というのは、まあなかなかお目にかからないからです。
働き手のニーズと、企業側の供給のギャップという点から考えて、ものすごくインパクトがあるのではないかと考えています。
また、後述しますが、「1ヶ月まとめて休みを取りたい」と思う人というのは、「1ヶ月休みをとらないとできないような何かを持っている人」=「主体性の高い人である」と言える確率が高いのではないかと思っています。
仮に「もう誰でもいいから人手が欲しい」という状態だったとしても、「どうせきてくれるのであれば意欲的、主体的に取り組んでくれるような人に来てもらいたい」と思うのではないでしょうか。
また、1ヶ月連続で休もうとすると、これまでの仕事の仕方を抜本的に変えないと対応できない場面が多々、出てくるのではないかと思います。
具体的に言えば、
属人的な仕事の仕方はできるだけやめていこう
デジタルツールで代替できる業務は可能な限りデジタル化していこう
生産性の低い仕事は勇気をもってやめていこう
中長期で、持続的に価値を生み出す業務にリソースを集中させていこう
といったイメージです。つまり、DXも含めて、企業変革も進めていかざるを得なくなってきます。
それも、通常のDX推進施策は企業側にはメリットがありますが、DX推進活動に批判的な層を中心に、従業員側にはさほどメリットがなかった、ないし、伝わっていなかったということがあります。
メリットが十分に感じられていない中で、ただ変わることへのコストだけがかかってくるという形で伝わっているため、全然進まないというケースが見られていますが「DXを進めることで、休みが増やせる!」という旗印を掲げれば、ついてきてくれる人は少なくないのではないかと思います。
つまり、「連続で休みを取れるようにする」というアイデアは、これまでずっと解決できずにいた企業の課題を解決するためにもとても良い機会になるのではないかと考えています。
いわゆる「ボーリングのセンターピン」(これが倒れれば、付随してさまざまな課題解決へと効果が広がっていくポイント)ですね。
12ヶ月単位で働いてくれる人を10人取るのは難しいですが、11月単位で働いてくれる人を11人取りに行くならできるような気もします。
この場合、人件費をどうするかとか、休んでいる間の給料をどうするかというのは、それはそれで大きな問題としてありますが、いったん、そこは先に考えるとして、まずはそのビジョンを掲げることが重要ではないかというのが私が考えていることの1つ目です。
②個人のキャリアから眺めた時に
次に個人のキャリアから見た時についてです。
この場合については、言わずもがな、メリットはたくさんあります。
たとえば、以下のような形でしょう。
ゆっくりと体を休めたい
一度、働きたくなってくるまで仕事から体を離したい
溜め込んでいたゲームやドラマや映画の視聴、積読を消化したい
短期の休みではいけない遠い場所まで旅行にいきたい
自分の将来についてじっくり考える時間が欲しい
普段なかなか会えていない人のところに行って話を聞いてみたい
短期でも良いから留学に行ってみたい
フォルケフォイスコーレ(生きることについて向き合う学校)に参加してみたい
別のスキルを高めるために勉強を始めたい
副業や異なる業界での業務経験、越境体験をしてみたい
上に並べたものは、基本的に、上から下に行くにつれて、消費活動から生産活動になっているのですが、特に下の方に並べているものは通常の業務+休みの中で、効果を感じるまでに行うのは難しいのではないかと思います。
私も今でこそ、個人事業主となったため、北欧社会まで1ヶ月弱、取材に行くことができ、それにより、さまざまな知見に触れることができました。
自分自身のキャリアにおいても、自分が提供するソリューションにおいても、大きく幅が広がり、また質が高まったと感じています。
ただ、会社員時代に会社の枠組みの中でこれをやるのはかなり難しかったのではないかと思います。
私の場合は、自分の子供がいないなど、リスクやコストが低いため、そういった判断・決断ができましたが、これは必ずしも多くの人たちができるやり方ではないようにも思います。
いわゆる普通の会社員であってもこういうことができる状態を作るというのはとても大事なことではないかと感じています。
これによって、従業員の体力が回復し、仕事へのモチベーションが上がってくることは想像に難くないですし、また通常の業務の中では生み出し得なかった価値が生まれてくることもあるでしょう。
労働者のライフの充実という意味だけでなく、労働者のワークの充実、生産するものの価値の向上という意味でも素晴らしい取り組みになる可能性を秘めているアイデアだなと考えています。
また、先ほど書きましたが、現状、1ヶ月以上の休みを取ってでも何かをしたいと思っている社員の場合、既存の会社で取れないことがわかると退職するという選択をとっているケースがあります。
これは採用で新しく誰かを取るのとは比較にならないほどのもったいない現象と言えるでしょう。プロスポーツで言えば、「残留が最大の補強」「FAで優秀な選手を取る前に、優秀な選手がチームから抜けなくなっていく方法を考えた方がいい」と同じです。
③社会から眺めた時に
最後に、社会から眺めた時にこの施策がどう見えてくるかについてです。
私は、これは社会から見ても良いことがたくさんあるのではないかと考えています。まず、上記の2つがあるだけでも素晴らしく良いことだと思いますが、それに加えて以下の要素が挙げられます。
休みが増えることで消費活動に刺激が生まれる。
消費活動に刺激が生まれることで、企業側の収益向上にもつながる可能性がある。
短期の海外旅行以外での海外との接点が増えることで、日本人のグローバルマインドに一定の刺激が生まれる可能性がある。
国民のリスキリング・リカレント教育が進む可能性がある。
国民のウェルビーイングが高まる可能性がある。
国民の労働意欲が高まる可能性がある。
若い子達が労働に対して前向きになる。
以下の記事は1つの参考情報としてですが、日本人の労働意欲の低さは世界最低水準にあることが問題視されています。
そのような前提の中で、今回ここで書いた「その気になれば1ヶ月連続で休める職場を作る」は、国民民主党の玉木さんが掲げている「手取りを増やす」と同じくらい重要なコンセプト、スローガンになるのではないかと考えております。
まとめ
ここでいろいろと書きましたが、ここで書いたことは、どこにも事例がない話ではなく、まさにデンマークやフィンランドなど、北欧社会では当たり前のように行われていることです。
私は、今回1ヶ月程度、北欧に向かい、そこで話を聞かせてもらったり、働き方の視察をしてみたりした中で何よりも強く感じたのが以下のことでした。
それは、働き方の前にまず休み方が重要であり、休むことと働くことを良い形で行き来し、双方の質を高めていく好循環を生み出すことの重要性です。
詳しくはこの本やこのラジオにあるので、興味をもった方はぜひ一度、ここで描かれていることに触れてみていただけると良いのではないかと思います。
ということで、いろいろと書かせてもらいましたが、ここに書いてあることを実践していこうとすると、私はもっともっと専門性を高める必要がありますし、社労士さんなど専門家とのコラボレーションや、こういったテーマを持つ企業の経営者の方々との連携が不可欠になってくるなと思っております。
いきなりすぐは難しいだろうと思いますが、3年後、5年後に向けて、「実際に休めるようになってこんな成果が出るようになってきました」という声を増やせるようにがんばっていけたらと思っています。
2025年は、こんなテーマでチャレンジしていこうと考えているので、興味がある方は声をかけていただけたらと思います。ぜひ、一緒にチャレンジしてまいりましょう。
ということで今日も素晴らしい学びの機会をどうもありがとうございました。