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介護人材不足を解決する方法
2つのアプローチがあると思います。
① 介護人材を増やす
② 1人の介護職が支えられる利用者の数を増やす
①はわかりやすいと思います。
②がどういうことかというと。
例えば、利用者3人に対して1人の職員を配置しなければならないといった人員配置基準を緩和して、利用者5人に対して1人の職員配置でOKとするようなことです。
ただ、ここでお伝えしたいのは、施設の人員配置基準を緩和するということではありません。
利用者が自宅で受ける訪問系サービスを起点として人材不足を解消する方法です。
これまでの介護保険の訪問系サービスは、1回○○円、1時間○○円という、積み上げ式の報酬体系でした。
これを月額定額制のサブスク型のサービス(定期巡回・随時対応サービス)に移行することで、介護人材不足を解消する方法です。
積み上げ式の報酬体系は、利用者の自立を支援して、利用者のができることが増えると、サービス量が減るため、サービス提供事業者の報酬が下がっていく仕組みです。
少し話が逸れますが、積み上げ式の報酬体系においては、サービス量(いつ行く/何分/何をする)を決定するのは、利用者との間に立つケアマネジャーです。
そのため、サービス提供事業者は、ケアマネジャーが決めたサービス(いつ行く/何分/何をする)を受るか、受けないかの2択です。
そして、サービス提供をする中で、サービス提供事業者が、これは利用者自身でもできるのではないか?と気付いたり、
もっとこうすれば利用者がサービスに頼らなくてもすむのではないかと気付き、
ケアマネジャーに対して、利用者ができること(できそうなこと)を、利用者自身でやってもらうように、
サービス量を減らす提案をすることにより、利用者の自立支援に繋がるのですが、
先述の通り、サービス量が減れば減るほど売上が下がるので、自立支援を追求すればするほど、報酬が下がります。
介護福祉士の専門性を追求し、利用者の自立支援を追求すればするほど報酬が下がる。
積み上げ式の報酬体系では、そんなジレンマを抱えています。
そこで、このジレンマを解消すべく。
そして、介護人材不足を解消するために、月額定額制のサブスク型のサービスである、定期巡回・随時対応サービス(以下、定期巡回)を普及させます。
この定期巡回は、月額定額制のため、1人の利用者に対するサービス量が減れば減るほど、利益が上がります。
さらに、積み上げ式の報酬体系とは違って、サービス量(いつ行く/何分/何をする)は、サービス提供事業者が、利用者のその日の状態に応じて柔軟に決定できます。
積み上げ式の報酬体系のように、時間に縛られることも無いため、数十秒の訪問も可能です。
定期巡回では、自立支援を追求した結果として、1人の利用者に対するサービス量が適正化されます。過剰でもない、過少でもない、本当に必要なサービス量に適正化されます。
1人の利用者に対するサービス量が適正化された結果、1人の職員が支えられる利用者の数が増えます。
冒頭の②に記載した、1人の職員が、5人の利用者を支えられる状態になるという形で、介護人材不足が解消されます。
続きがあります。
月額定額制のサブスク型サービス(定期巡回)において、1人の職員が支えられる利用者の人数が増えるということは、1人の職員当りの売上が高まるということです。さらに言えば、1人の職員当りの給与を高められるということです。
そして、給与を高めることができれば、介護人材を増やすこと(冒頭に記載した①)が実現できます。
積み上げ式の報酬体系においては、1時間のサービスに対する報酬額は決まっています。
質の高い、低いに関わらずです。
1時間の報酬(売上)が固定されている中では、給与を上げることはできません。
積み上げ式の報酬体系においては、報酬(売上)を高くするためには、サービス量を増やさなければなりません。
同じく、給与を上げるためには、サービス提供時間を増やさなければなりません。
さらにいえば、サービスの質を高め、介護福祉士の専門性を追求し、利用者のできること(できそうなこと)を見つけ、自立支援を追求して、サービス量を減らした分だけ、報酬(売上)は減ってしまうのです。
一方。月額定額制のサブスク型サービス(定期巡回)では。
サービスの質を高め、介護福祉士の専門性を追求し、利用者のできること(できそうなこと)を見つけ、自立支援を追求して、サービス量を減らした分だけ、報酬(売上)が上がります。給与が高められます。
積み上げ式の報酬体系においては、時間を増やすことでしか報酬(売上)を増やせず、時間を増やすことでしか給与を上げることができません。
月額定額制のサブスク型サービス(定期巡回)においては、介護福祉士としての専門性を高めることにより、給与を上げることができるのです。
時間を給与に変える仕組みから、専門性の高さを給与に変える仕組みへの転換。
これにより、介護人材不足を解消することができます。