Trovatoreさんの質問「原子炉級プルトニウムでも実戦配備可能な核兵器は作れるというのは常識らしいですが、原子炉級プルトニウムで核実験が行われ成功した例は一回でもあるのでしょうか。できるできると放言しているだけでしょうか」への回答 世界で、核兵器を保有している国は、プルトニウム生産専用炉(天然ウラン燃料、重水減速重水冷却)で、プルトニウムを生成しており、軽水炉燃料の再処理で抽出したプルトニウムを使用した記録はなく、この事実は、誰々の主張が、嘘か本当かの判断の根拠になります

2023年9月2日 15:34
Torvatoreさんからの質問
原子炉級プルトニウムでも実戦配備可能な核兵器は作れるというのは常識らしいですが、原子炉級プルトニウムで核実験が行われ成功した例は一回でもあるのでしょうか。できるできると放言しているだけでしょうか。

回答
昔、米国が、英国の商業用コールダーホール型(天然ウラン燃料、黒鉛減速炭酸ガス冷却)原発の使用済み燃料から抽出した原子炉級プルトニウムを使用して原爆を製造し、実験だけした記録がありますが、その頃のコールダーホールは、燃焼度が低く、プルトニウム239の割合が高く(70-80 wt%)、燃焼度の高い軽水炉の使用済み燃料から抽出したプルトニウムとは、プルトニウム組成が大きく異なり、燃焼度の高い軽水炉の使用済み燃料から抽出したプルトニウムは、プルトニウム239の割合が、50-60 wt%で、相対的に多いプルトニウム241の崩壊でアメリシウム241が、多くでき、ガンマ加熱(プルトニウム金属を溶融させる温度)の源になります。
燃焼度の高い軽水炉の使用済み燃料から抽出したプルトニウムを使用し、実験した記録は、ありませんが、一時的に、実験することはでき、戦闘機に搭載し、敵地の上空から、投下直前、長崎型のようにプルトニウム容器を密閉し、ガンマ加熱が影響する前に、爆発させることは、できますが、「できる」とか、「実戦配備」と言う場合は、大陸間弾道ミサイル搭載が前提ですから、ガンマ加熱の対策をどのようにするかによります。
世の中には、ガンマ加熱対策は、解決済みと主張している人がいますが、文献を示しておらず、あるいは、米軍関係者の証言も、政治的であり、工学レベルの話とは思えず、証拠の文献を示さなければ、何も分かりません。
質問者の「常識」という表現は、実戦配備可能な戦闘機搭載型ならば、否定しませんが、大陸間弾道ミサイル型ならば、否定します。
世界で、核兵器を保有している国は、プルトニウム生産専用炉(天然ウラン燃料、重水減速重水冷却)で、プルトニウムを生成しており、軽水炉燃料の再処理で抽出したプルトニウムを使用した記録は、ないため、この事実は、誰々の主張が、嘘か本当かの判断の根拠になります。
両者が、同質同性能な原爆が製造可能ならば、各国とも、設備の二重投資などしないはずです。
世の中の議論では、「できるできない」「実戦配備」の基準を曖昧にしており、本当のことは、製造経験者以外、誰も、分かっていません。

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