研究ノート 森重晴雄 『差し迫る、 福島原発1号機の倒壊と日本滅亡』 ( せせらぎ出版、2023)の感想 条件の設定によっては、結果が、yesにもnoにもなり、私は、原子炉圧力容器スタビライザーと原子炉格納容器スタビライザーの機能の位置づけ、鉄筋入り円筒形コンクリートペデスタルの内側コンクリートが、溶融物の熱により、溶融損傷しても、鉄筋の太さと数からすれば、鉄筋のみでも、原子炉圧力容器を支えることはでき、3.11時程度の地震でも、耐えられると推定

森重晴雄 『差し迫る、 福島原発1号機の倒壊と日本滅亡』 ( せせらぎ出版、2023)
目次
はじめに
第1章 福島第一の1号機の深刻な状況
福島第一の1号機の構造を簡単に説明すると
1号機は、いまどのような状況にあるのか
インナースカートの上に生じた数mm の隙間
すべて溶融していた内側のコンクリート
ペデスタル上部が約50mm沈下
大きく損傷したペデスタルの耐震性を検証
震度6強の地震で転倒の恐れのある理由
原子炉圧力容器の転倒を周辺構造部材は支え切れない
原子炉圧力容器の転倒を原子炉格納容器は支え切れない
原子炉圧力容器の転倒方向の検証
使用済燃料プールをめがけて倒壊する1号機
使用済燃料プールの損傷により大惨事が発生
コラム1/東京電力の技術力不足が生んだ水素爆発
第2章 1号機の倒壊を防ぐ方法
修復が困難なペデスタルの損傷
原子炉圧力容器の転倒を防止する考え方
転倒を防止するための具体的な工法
転倒防止対策後に耐えうる最大加速度
危機的な状況にも腰を上げない政府
コラム2/燃料デブリを取り出す方法
注釈
参考資料・国会における質問主意書と首相答弁書
おわりに

感想
森重晴雄さん(名大原子核卒)は、元三菱重工業で(四半世紀勤務)、加圧水型原子炉の耐震設計に携わっていたエンジニアであり、原発のシステムと技術と問題を良く把握しており、着眼点と分析視点と解析能力に、受け入れられない要因はなく、著書にする前、日本原子力学会で口頭発表し、手順を踏んでおり、ただし、問題提起をするため、保守的条件設定で解析しており、条件の設定によっては、結果が、yesにもnoにもなり、私は、原子炉圧力容器スタビライザーと原子炉格納容器スタビライザーの機能の位置づけ、鉄筋入り円筒形コンクリートペデスタルの内側コンクリートが、溶融物の熱により、溶融損傷しても、鉄筋の太さと数からすれば、鉄筋のみでも、原子炉圧力容器を支えることはでき、3.11時程度の地震(平地で震度六強、福島第一1号機の地下二階床面で460ガルであったため震度五強(東電編『東日本太平洋沖地震に伴う原子炉施設への影響について』、添付5-3参照、2011.9)、サイト地表面の約半分、実際には、原子炉圧力容器などの縦方向まで含めた三次元的地震加速度分布まで考慮しなければならない)でも、耐えられると推定しており、福島第一1号機のコンクリートペデスタルの安全問題は、経済産業省と原子力規制委員会でも解析しており、3.11時地震程度ならば、安全確保が可能であるとされており、これまで、森重さん以外、学術的に、検討されてこなかったわけでは、ありません。

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