書評 NHK取材班『白夜の大岸壁に挑む クライマー山野井夫妻』(NHK出版、2008)

はじめに

この本は、ネパールと中国の国境にあるギャチュンカンで遭難事故に遭遇し、重度の凍傷を負いつつも帰還した山野井泰史さんと妙子さんの再起をかけたグリーンランドの1300 mオルカ大岩壁初登攀のドキュメンタリーです。「オルカ」とは、最初からつけられていた固有名詞ではなく、山野井泰史さんが、大岩壁を海の王者のシャチにたとえ、その英語名からつけた名です(p.65)。

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