研究ノート 最近の柏崎刈羽原発の安全技術の調査 世界のBWR原子炉建屋は、地下二階、地上5階ですが、柏崎刈羽原発1-7号機のみ(6 & 7号機ABWR)、地下五階、地上三階になっており、原発は、岩盤立地で、岩盤の深さは、普通、約20 mですが、柏崎刈羽サイトのみ、地下40 mで、原子炉建屋全体を下げねばならず、建物の60 % が地下に埋まっているため、世界一の発電能力の原子力発電所(7基合計821.2万kW)でも、非常に小さく見え、安全技術や耐震補強の現場調査をして感じたことは、・・・
案内者・面会者
案内者 林勝彦副所長
写真撮影など担当 女性社員
面会者 稲垣武之所長兼東電HD常務執行役
石川東電HD新潟本部副本部長
小林東電HD新潟本部福本部長
同行者 東電HD幹部四人
資料入手手続き
私は、稲垣武之氏から、「原子力発電プラント重要機器・構造物の体系的かつ効率的な経年劣化管理に関する研究」(東大博士論文、370ページ)のコピー著作権承認書をいただきました。
写真撮影
原発サイト内では、セキュリティ優先のため、見学者が、写真撮影することができませんが、東電担当社員が、同行し、多くの写真を撮影しており、セキュリティチェック後、頂けるようになっているため、入手でき次第、updateします。
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原子炉建屋構造
世界のBWR原子炉建屋は、地下二階、地上5階ですが、柏崎刈羽原発1-7号機のみ(6 & 7号機ABWR)、地下五階、地上三階になっており、原発は、岩盤立地条件で、岩盤の深さは、普通、約20 mですが、柏崎刈羽サイトのみ、地下40 mで、原子炉建屋全体を下げねばならず、建物の60 % が地下に埋まっているため、世界一の発電能力の原子力発電所(7基合計821.2万kW)でも、非常に小さく見えます。
高燃焼度・長期炉心装荷燃料集合体
BWR燃料集合体は、1970-80年代、8×8本配列(3年間装荷)でしたが、それ以降、高燃焼度・長期炉心装荷(5年間装荷、軽水炉の燃焼度は、55 GWd/tU)のため9×9本配列(ウオータロッド付A型、ウオータチャンネル付B型)、WH社は、PWRメーカーですが、BWR燃料集合体も製造しており、最新燃料集合体11×11本配列(7年間炉心装荷、ウオータロッド付、70 GWd/tU)を製造し、欧州の一部の原発で採用されています。
BWR炉心の構造を変更せず、8×8本配列燃料集合体から9×9や11×11に変更するには、燃料集合体内のウランと水(中性子減速材)の割合を同じにするため、メーカーは、燃料棒の直径を小さくして配列しますが、多くの燃料棒配列条件(ウオータロッドなど含む)で中性子輸送計算(ウランと水の割合の最適化による熱中性子最適寄与効果の確認)や伝熱流動計算(燃料棒最適冷却効果確認)を行い、最適条件を決め、製品化しますが、原発で炉心条件を変更するには、高度の安全解析能力が求められます。
7号機には、2024.4.26に、9×9本配列(ウオータロッド付A型)が装荷され、来年6月には、6号機にも同燃料が装荷予定。
耐震補強
耐震補強は、1-7号機とも、基盤地震動1000 gal.(原子炉建屋最下階床面、地震振動周期0.02 secの値、一階上がると地震動は20 %高くなる、五階床面で2000 gal.、さらに、地震加速度応答スペクトル形状に拠れば、機器・配管に影響する0.02-0.2 secでは、二倍になり、最下階で2000 gal.、五階で4000 gal.)で実施されており、地震動の原子炉建屋内三次元分布が理解できなければ、耐震解析や耐震補強の意味が理解できません。
運転体制
6 & 7号機の運転体制は、二交替制(PM9:00交替、ひとつの班は、シニア指導員・直長・副直長・主機操作員、補機操作員の計8人)
私の全体的な感想
私は、柏崎刈羽原発には、新規制基準適合直後の13年前に見学・調査しており、サイト平均海抜20-30 m、高台(海抜62 m)には、貯水池ができ、近くの空き地に、電源車や消防車が各数台、原子炉建屋の屋根の一部には、事故で発生した水素を逃がすための事故時開放口が設けられたり、フイルタベント設置位置の掘削工事が開始されていた頃であり、今回見学・調査で驚いたことには、サイト全体の雰囲気が大きく異なり、同じサイトとは思えない様変わりであり、最も強く感じたことは、
①東電社員1200人(女性数%)、関連会社社員5000人(女性数%、セキュリティゲートのチェック業務など)、出勤時渋滞回避のため会社別一時間の時差出勤、
②竜巻対策のため(サイト内の電源車や消防車などの大型車は、地面との間で鎖固縛、しかし、全乗用車の固縛は、数が多いため、不可能)、サイト内への乗用車出勤は、禁止し、サイト外の産業施設駐車場に契約駐車し、会社の送迎バスでサイト間移動、
③原子炉建屋・タービン建屋への出入管理は、13年前よりもはるかに厳密に行われており、結果的に、時間がかかり、苛立つくらいであり、
④制御室への出入りも厳しく、ゲートが新設され、IDカードなどの認証、
⑤東電社員でも、特別な機器・電源施設室への出入は、一人ではなく、少なくとも二人にしており、ダブルチェック、
⑥原発のコンクリート構造物・機器・配管などは、耐震条件で決まるのではなく、構造物の設計条件となる技術基準、すなわち、構造設計・構造強度・熱設計・遮蔽設計などで決まり、もちろん、特に、高い地震動の原発では、耐震条件も重要な要因ですが、さらに、特別な耐震条件を考慮しなければならない場合、耐震解析・耐震補強解析(地震により発生する変位や歪みを最小にする条件の検討)により、耐震補強、
⑦柏崎刈羽7号機内各階の機器・配管・ケ-ブルトレイなどの耐震補強の支持構造材・支持構造・構造強度などの問題意識を持ち、見学・調査しましたが、的確どころか、大きな安全余裕度を設けている、
⑧所長は、毎朝、正門に立ち、出勤者に挨拶、士気高揚、
⑨再稼働の条件は整っている、
などです。
その他
私は、柏崎刈羽原発の見学調査には、1988年以降、通算6回目であり、平均六年間に一度の割合であり、年齢的に、最後の機会のように感じ、今回の訪問時期には、気象条件が悪化し、寒波・積雪が報じられたため、防寒着を着込み、念のため、登山用のネックウオーマー、さらに、ホカロン20枚も用意しましたが、19-20日とも、さほどではなく、以前に降った雪が数cmくらい積もっていたものの、特別な光景でもなく、寒波・降雪どころか、薄日が射すほどの比較的良い気象条件でした。
上野-長岡間は、行きが1時間40分(途中停車駅は、大宮、高崎、上毛高原、越後湯沢)、帰りが1時間20分(途中停車駅は大宮のみ)で、20分の差に意外。