ICT教育の中身は?
IT業界で時々話題となる2020年から開始された小学校でプログラムを教えるというのでどんなものかと見てみました。色々な人の話が飛びかっています。プログラミングと言う科目でできる、いや各科目の中でプログラムを活用するので科目ではない。新センター試験では情報科目があるらしい。プログラミングを教えるからIT技術者が雇われるので人材不足になる。人のうわさは誠に勝手です。ここは情報リテラシー(information literacy)の基本である情報元を確認する事です。平成26年度(2014年度)に海外のプログラミング教育を調査するなどし、実査されました。そのレポートの中で最初に登場するイングランド(≒イギリス)の例を見てみます。
調査時から少し改革していますが、イングランドのICT教育は明確なComputing教育となっており、「Decomposition」(分解)、「Pattern recognition」(パターン認識)、「Abstraction」(抽象化)、「Algorithms」(アルゴリズム)の4つの要素の思考プロセスつけさせるのが目的となっていてフレームワークはkey stages 1 to 4となっていて、年齢が5-7、7-11、11-14、14-16と割り当てられています。中身はと言うと5から7才の1stでは
・アルゴリズムとは何か
・簡単なプログラムの作成とデバッグ
・論理的な推論を使用して単純なプログラムの動作を予測する
・テクノロジを使用して、デジタル コンテンツ作成、整理、保存、操作、取得
・学校を超えた情報技術の一般的な使用法を認識する
・テクノロジを安全かつ敬意を持って使用し、個人情報のプライバシーを守る。えっ高等教育の授業かとみまがう様な項目が並んでいます。
とは言え実際にはBee-BotのようなPCを使わないプログラマブル フロア ロボットの使用や児童がロボットに扮して動作するなどで基本的な事を学ぶようです。
コードを書くプログラミングは3stから手です。驚くことに全員(100万人)にコンピュータが配布されます。2016年にから、国営放送のBBCが開発協力したにシングルボードコンピュータ(マイクロビット/Micro:bit)が無償配布したのです。横5cm縦4cmの手平に載る小さなコンピュータにはLEDは 5x5の配列で配置され、USBやBluetooth、CPUにNordic社(ノルウェー)製32bitARMを搭載しています。センサへも搭載され加速度センサ、温度センサ、光センサ、コンパスが載っているので組み込み装置として理解するには最適の物です。ここで初めてPCやWebを使ったプログラミングが始まります。使用言語は学習スピードに合わせてScratchX、JavaScript、Python、C++か利用できます。
※Python例として登場する三角形を描くは1967年に教育言語として開発されたLOGO言語のタートルグラフィクスを起源に持ちます。
日本の将来を担うICT教育プログラミングはこのレポートも参考なされたとは思いますが、文部科学省は2019年に「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について、を公表します。これはSociety5.0の時代に対応できる人を育てるそうで、これに沿って教育要綱が策定されました。最初に導入されたのでイングランドよりは見劣りはしますが是非、情報リテラシーやアルゴリズムに力を入れてさらに力を入れてほして所です。
間違っても、言われた通り作るだけのプログラミングだけは避けてほしいと思います。
ITCはプログラムだけではありません、IoTなどはハードの知識が不可欠です。ハードウェアはどうなのでしょう。イングランドのMicro:Bitボードコンピュータのため良くも悪くもコンピュータが組み込まれてハードウェアを制御していることを学びます。IoTを自然と学んでいると言ってよいと思います。世界を牛耳るGAFAのAppleはiPhone、iPadを作るハードウェア製造メーカ、Amazonは配送のロボット化を進めるロボテックス開発に余念がない、Facebook(メタ・プラットフォームズ)はVRゴーグルなどハードと仮想空間Horizon Worldsとの融合、GoogleはVRを縮小しAR分野に注力するようです。以前出していたAR用のGoogl eGlassは開発停止となったので直接は作らないがハードウェアメーカと関係を持ちながら動いています。
アメリカでのハードウェアベンチャーへの投資も順調です。Haas (Hardware as a Service)の言葉もありますが、日本で聞いたこともありません。以前VCにハードベンチャーに聞いたらROI(Return On Investment)が低い、コピーの原価が少ないソフト以外に興味が無い!だそうです。
以前電子立国と言われ日はまた昇る日出国の日本、今は町工場の高齢化で次々に無くなっていく状況で物作りは10年20年後には消滅してしまうかもしれません。対策が急がれますが、今の円安は国内生産しても輸出できる競争力を取り戻す政策なのでしょうか? いい機会なので海外技能実習生も呼んで単純作業ではない技能と言えるような町工場の技術を習得してもらい町工場の維持に貢献して欲しいものです。
教育は人を育てて国を支える重要な役割です。デジタル庁もできた事ですし是非協調して明るい未来になる人材教育をして欲しいと思います。
文部科学省 平成26年「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」
「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について
文部科学省 令和2年2月 小学校プログラミング教育の手引(第三版)
https://www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_jogai02-100003171_002.pdf
文部科学省/mextchannel
文部科学省 小学校を中心としたプログラミング教育ポータル
https://miraino-manabi.mext.go.jp/example/a
イギリスのコンピューティング学習プログラム
National curriculum in England: computing programmes of study
日本の教育で使われる開発言語
スクラッチ(Scratch)
ビスケット(Viscuit)
ロゴ(LOGO)
イギリスのコンピュータ教育で配布したmicro:bit
Micro:bitに負けたコードバグ
最初のプログラム体験をするBee-Bot
ハードウェアベンチャーサービスの状況 HaaS!
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