ロックへの道 ~Guns N’ Roses初来日~
毎日ガンズを聴きまくっていた中二のある日、なんとガンズが来日する事を知った。
私は焦った。
何故なら、外タレのライブのチケットの取り方を知らなかったからである。
どうしよう、どうしても行きたい、でもどうすれば良いか分からない。
そんなある日奇跡が起きた。
学校の教室の後ろにある黒板に「ガンズのチケット売ります(伊藤)」と書いてあったのだ。
私は喋ったこともあまりない不良の伊藤君に話しかけ、チケットを譲ってもらう事に成功した。伊藤君たちはいい席が取れたので末席であったチケットを売りに出したのだそうだ。
私はガンズのCDを貸してくれたお兄ちゃんの妹、つまり私の友人を誘い、
人生初めてのロックコンサートに行った。
お出かけをする時はよそゆきを着ていく。中坊の私は、白のブラウスとベージュのフレアスカートを着て、友人は白いTシャツとGパンだった。
NHKホールに向かって歩いて行くと徐々にガンズのライブに行くっぽいお兄さんお姉さんたちが増えていく。
あれ?
なんか、猛烈に浮いてないか?私たち。
当たり前だが、ガンズのライブである。革ジャン、皮パン、チェーン、網タイツ、ミニスカ、バンドTシャツ、、
近所では見た事のない恐ろしげなナリをしたお兄さんやお姉さんで道が埋め尽くされていた。私と友人は知らず知らず身を寄せ合っていた。
「す、すごいね。こわいね・・」
「うん、すごいね・・」
席は2階か3階か忘れたが、とにかく一番後ろの席だった。確かにこれは売るわ、、というくらい悪い席だったが、
私と友人は初めてのロックコンサートに興奮を禁じえなかった。
ついに幕が開き、大歓声の中アクセル・ローズが登場。
私はあの時の感動を忘れない。
今、私はアクセルと同じ空気を吸っている!
正直、席が悪すぎてアクセルは肉眼では米粒くらいだった。
オペラグラスで見ても小さかった。
しかし、私と友人はガンズの生演奏に気絶するくらい感激していた。
しかし、まだ1時間も経たないくらいだったか、急にアクセルローズがマイクを床に叩きつけて帰ってしまった。
後で記事を読んだところ、PAの調子が悪かったか何かでアクセルが気分を損ね、たったの9曲でライブが終わってしまったのだ。
外に出たらコワイお兄さんたちが
「こんなクソバンドのグッズなんか買ってんじゃねぇよ!!」
と叫んでいた。
私と友人は震えながら、ガンズのTシャツやバンダナを買った。
「アクセル、怒ってたね」
「うん、怒ってたね」
「怒ってるのもカッコよかったよね」
「うん、すごいカッコよかった!」
今となってはむしろ伝説の短時間ライブを観れて良かった。
アクセルがリアルで怒る瞬間なんて、早々生で見れるものではない。
我々はホクホクして家路についたのであった。