見出し画像

要約「キーエンス解剖」


<覚えて帰りたい言葉>
「相手の目的をはっきりさせる」
「目的に向かって最善を尽くす」

<刺激を受けた文章>
”キーエンスの社員に待ちの姿勢は一切ない。
先へ先へと様々な想定をして顧客と伴走し、顧客の仕事のサイクルを回す。顧客の潜在ニーズを具体化して仕事のスピードを上げ、質を高める。キーエンスの社員と仕事をしていると自分が引き上げられるように感じる”



第1章【顧客を驚かせる会社】

1万種類以上あると言われているキーエンスの新商品は約7割が「世界初」か「業界初」だと言われている。

■「ほかにお困りごとはございませんか?」

工作機械の部品を手掛けるエーワン精密の山梨工場で機械が故障する。これまで通りのパナソニック製の製品を買おうとしたらキーエンスの営業が声をかけて「レーザーマーカーを購入される予定ですか?」と聞いた。
種を明かすとこの営業担当者は同じ会社の別部署に同じ商品を売ったばかりだった。その去り際にいつもの習慣で「ほかにお困りごとはございませんか?」と聞いている。
そしてなによりも動きが速い。数日後に再び訪問し、1分ほどで機械の準備をしてデモを披露。質問への回答もよどみなく、その場で購入させた。パナソニックの営業担当が営業の電話を掛けたのはすでに商品が売れた後だった。

■代理店を使わない

キーエンスの強みの一つである「直接営業」。代理店を使わない。キーエンス社員の一人あたりの売上高は8710万円とも言われている。
代理店を挟むと通常数営業日掛かっている回答に対して、キーエンスの営業は即日回答をする。ページから資料をDLすると1時間以内には営業が電話している。
キーエンス社員に「待ち」の姿勢は存在しない。顧客の興味が湧いた瞬間にアプローチをして、自らのペースに巻き込んでいく。

■ずば抜けた商品知識

異動のことも把握しようとするキーエンス社員。
キーエンスは情報を可視化して共有するのが当たり前。営業がいつだれと出会い、どんな会話をしたのかがすべて共有されている。
「キーエンス社員は商品知識もずば抜けている。競合他社の商品の使い方までレクチャーしてくれる」。顧客に「依存心」すら抱かせる



第2章 営業部隊が先回りできる理由

キーエンスは若手の成長スピードが早い。他社が10年かかるところを3年でやる。会社の半数は営業(OB談)。直販モデルで最近話題なのはイーロンマスクのEV(電気自動車)メーカー、米ステラなど

■ロープレ

10~15分で手短に。若手からベテランまで毎日やる。高頻度×熱心にやっている。重要なのはデモ。恐らくだが、デモをやるだけで成約率が格段に上がるんだろう。どれだけデモを見せたかも営業のKPIにしている。「言葉の選び方。話す順番を変えるだけで伝わり方が全然違う」ロープレはあくまでも手段である。しかも台本も用意されている。作るのは販売推進部門。これでまずは型を作り、その上で応用編も覚えていく。ロープレは表現力・説明力・プレゼンの練習で合って、決して瞬発力や対応力を見るものではない。いいロープレにするためには指導役が大事。「指導役から無理難題を言われた」とか「うまく答えられずに怒られた」と思わせてはいけない。ロープレをうまくやることが目的ではない。何らかの優劣を判断する機会であってはならない。「通り道」でしかないのだ。通り道をうまく通れなくて怒る必要はない。「こうやって通るとうまく抜けられるよ」で充分なのだ。

■外報

キーエンスの営業は1日30~80件電話アポが当たり前。商談も5~10件する。外報=外出報告書。顧客との商談前と後に①どんな準備をしたのか ②どこを訪問するのか ③誰と会うのか ④反応はどうだったのか・・・などを書き、上司に報告している。また「5分以内に書く」というルールもあった。主観が強くなったり、細かいことを書くことが億劫になる。顧客が何を求めているのかを鮮度高くデータ化して、次の営業活動の戦略に役立てる。

■SFA(セールスフォースオートメーション)

これの記入を徹底している。販売推進部は営業部の強い味方でなくてはならない。「半年以内に更新期限を迎える企業」や「こういう課題を持った企業にはこの提案の受注率が●%」などの有益な情報を営業に与える存在。SFAの記入は面倒かもしれないが「行動していたとしても、書いていなければやっていないのと同じだ」という文化が根強い。

■目標の立て方

キーエンスは成果主義だと思われるが意外とプロセス重視。目標は「やれば確実にできるもの」を設定しているケースが多い。例えば電話の回数や商談の回数。電話は10回かければ10回分確実にできるものである。売上100万円は商談1回で決める時もあれば100回やっても決められない時もある。また負けず嫌いを採用し、全員のデータを見える化することで、競い合う文化も生まれている。数十個のKPIを設定する。プロセスを示す指標であり、数字を伸ばせば確実に成功できる指標だ。具体的に言うと「累積取引者数」「商談に関わった人数」などなど。意思決定者に会うための「キーマン施策」などもあった。また「何かの数字を改善した時には、その裏の数字や影響を調べなさい」という文化もある。例えば商談件数が増えた場合、その手前の電話の件数が増えたり、商談件数が増えたことで成約率が下がったり・・・などを示す。

■勝ちパターンの宝庫

「あの人は営業がうまい」を可視化する。「現場の人がいる商談率が増えた」などのファクトがわかれば営業時に「現場の人も同席させたい」などの営業活動ができる。セースルイネーブルメント。

■ハッピーコール

流通業界で、販売員の顧客に対する販売促進活動の一環っとして、購入商品の利用状況を問い合わせることをハッピーコールと呼んでいる。「11月25日の15時に弊社の●●が商談したと思いますが、提案内容はご満足いただけましたか」などのフォローを入れる。これによって営業の社内報告のウソがバレるので、虚偽報告の防止にもなる。ただ監視のようにも思えるこの行為を「監視」と取るか「フォロー」と取るかは人それぞれ。そんなにかしこまったものではないく、「Aさんで説明できなかったものをBさんで説明する」くらいのテンションであることが出維持。大事なのは顧客の役に立つこといいことも悪い事もよく見る上司でいたい

■「裏にあるニーズがなにか、しっかり確認してきてください」

顧客から聞き取った上でこういわれる。これは顧客が最初に言語化できるニーズは本当のニーズではない、ということ。「タブレットが欲しい」と言われたらタブレットを用意するのが営業だが、その本心を聞くと「出張中の部下が即座に上司に報告できるようにしたいからタブレットが欲しい」というところまで引き出せると報告ツールと一緒に提案できる。「なぜこれが必要なのか」「これを導入したどんな成果を望んでいるのか」を知ることが大事。真のニーズは形として見せられるまで気づけていないのだ。


■ニーズカード、ID制度

ニーズカードは月に1回社内に提出する。「顧客のこういうニーズに応えられなかった」という悔しさを投稿する。ただただ「こういうのが欲しい」だけではない。質の高いヒアリング力から出される、顧客のちょっとした一言などでいい商品が生まれる。
ID制度は「この顧客にはこういう商品が需要ありますよ」と紹介して、実際に成立すると一定額の賞金が貰える制度。これによって部門間の連携が盛んになりいい文化が生まれる。社員はお小遣い稼ぎ感覚で情報共有がしてくれるのでウィンウィンだ。



本noteはここで終了です!

続きが気になる方はぜひ本誌をご購入ください!

いいなと思ったら応援しよう!