【出来ない校長 と デキル校長】あなたの学校の校長はどっち?
ある年、サッカー部顧問の教員2名が同時に異動で学校を去った年がありました。
翌年、学生時代にサッカー経験のある先生が赴任しましたが、大学を卒業したばかりの教員1年目ということで、部活をうまく運営することはできませんでした。
夏の大会を前に、部の保護者からクレームが殺到して校長は困り果てることとなったのです。
コレ、中学校では…まあまあ、あることだと思います。校長はどうすればよかったのでしょうか?
「教育委員会には言ってあるから!」では意味がない。
❝仕事ができない校長あるある❞に「人事のことは、❝教育委員会に言ってある❞から大丈夫!」という発言や発想があります。
当たり前ですが、人事異動では、いなくなる人の穴を誰かに埋めてもらわないといけません。
そのときに、「来年度はコレコレこういう人が欲しい!」「この先生がいなくなると困る!」という要望を中学校の校長は市町村教育委員会に伝えるわけです。
当然、先ほどのサッカー部の件でも、校長はサッカー部の運営ができる教員の補充を打診していました。しかし、それは叶わなかったのです。
相手の立場に立て!
校長の落ち度は何だったのでしょう?
それは、誰もが親や先生から言われ続けたであろう言葉「相手の立場に立って考えなさい」を実践しなかったことにあります。
公立の小中学校では、毎年10月以降、人事の調整が始まります。
校長は、教育委員会に来年の人事について希望を言える場があります。
このとき、校長の行動パターンは、大きく2種類に分かれます!
【1種類目】とにかく、希望を伝えまくる校長
来年度、欲しい人材や自校の困りごとを連呼するパターンです。切実な想いをぶつけ、次年度も学校がうまく回るように教育委員会に働きかけるのです。
…ここで、疑問がわきませんか?
『その要望はどの程度、聞き入れてもらえるのか?』と!
冷静に考えてみてください。「あの人欲しい!この人欲しい!」と市町村内すべての校長が言っているのです。どうして、あなたの学校だけ優先して人事を配置してもらえると思うのでしょうか?
希望だけ言われても教育委員会の担当者も困るだけです。これは、全く相手の立場に立てていない行動といえるでしょう。
私が「教育委員会に言ったから大丈夫!」という校長を❞仕事ができない校長❞に分類する理由はここにあります。
そして…そういう校長は高確率で❝大丈夫じゃない❞状況に追い込まれます。
【2種類目】要望に優先順位をつける!&ネガティブな人事も受け入れる校長
デキル校長は、ヒアリングの時間を自分の希望を主張することだけに使いません。教育委員会の困りごとを助ける発言をします。
具体的には、人事評価の高くない先生であっても、引き受ける用意があることを伝えるのです。ここで言う、人事評価の高くない先生とは、授業や学級経営が毎回うまくできなかったり、生徒や保護者、同僚とのコミュニケーションがうまく取れない人のことです。
これらは、定例で行われる校長会などで、他校の校長と雑談をする中で容易に引き出せる情報と言えるでしょう。
(#できる校長は、いつでもどこでも❝情報収集❞を欠かさない!)
「今、○○学校にいる▲▲先生って、もうそろそろ異動でしょ?もし、よかったら来年度、ウチの学校に配置してもらっても結構ですよ!」
自分の要望ばっかりを言う校長がいる中で、こういう提案をしてくれる校長がいたら、教育委員会の人事担当者はどう想うでしょうか?
そういうことなのです!(^^)
そして、デキル校長は、「マスト事項」>「可能な限り」>「叶ったらラッキー」のように希望に優先順位をつけて、人事の希望を担当者に伝えます。
これで来年度、ほぼ希望通りに人事が配置されることが確定します。
『評価が高くない先生も配置されるから大変になるのでは?』という声も上がりそうですが、その心配はありません。なぜなら、相手の立場に立てる校長なら、校内人事でも適材適所の人材配置ができるからです。
ニンゲンの能力は、環境に影響される部分が大きいと言われます。その人の、苦手なことがわかっているなら、それが顕在化しにくい役職に配置するのは理にかなった判断と言えます。
担任業務が苦手なら、副担任に!
授業が上手くないなら同じ教科の先生がいる学年に配置してTTとする!
同僚とのコミュニケーションが苦手なら、人徳が高い学年主任がいる学年に配置する!
私の知るところでは、どの学年にも所属させず、電話対応専門職にした校長もいます。
これについて、左遷対応じゃないか!とか、仕事が少ないのに給料は同額なんてズルい!という意見があるかもしれません。しかし、私はこの対応で良いと思っています。
理由は、学級や授業や部活が崩壊して、得をする人は誰もいないからです。
(#本人、生徒、保護者、同僚)
それに…もし、本人が現状の仕事に満足しないというなら、その年度内で自己研鑽に励めばいいのです。他の先生の授業や、学級経営を見る時間も以前より多くなっているはずです。
少し、話がそれましたが、これがデキル校長の仕事の仕方です。
では、いったいこれが一般教員の何に役立つのでしょうか?
私は、自分が働いている学校の校長が、どちらのタイプかを知ることは大きな意味があると考えています。
校長になった人は、きっと❝優秀❞なのだろう…
校長が決めたことは、❝正しい❞のだろう…
という呪縛から、自らを開放することができるからです!
考えナシに、校長の指示や言われたことを請け負って、うつ病を発症したり、病休に追い込まれた同僚を私は何人も見ています。
そして同時に、会議の途中や職務命令でない範囲のことに関しては❝マナーを守って❞、意見や提案、質問をして、校長の考えを訂正させたり、子どもの成長につながる本質的な業務に専念をしたりして健全に仕事を楽しんでいる同僚もいます。
皆さんの働き方が、後者の同僚のように改善されたら嬉しいです。
余談です。
先日、私の勤務校の校長が「市教委から来年の校外学習の実施日を変更して欲しい、という依頼があったんだけど、冗談じゃないムリだと突っぱねた!」と職員室で声高らかに報告していました。
『この後、人事でお願いすることがいっぱいあるはずなのに、もったいないなー』と私は思うのでした。
周りから助けてほしければ、まずは周りを助ける。
学校文化からは学ぶことがたくさんありあます。
なお、この話は現職の複数の教育委員会の関係者から聞いた内情と私の経験をもとに書いたものです。作者の主観が大いに詰まっていることをご承知おきください。
by カボス田きよみ🍊