見出し画像

本帰国を決意した理由

本帰国まで残り2か月を切った。

私は現地採用でここに来たので、ある程度は自分の意志で任期を延ばすことが可能だし、他の現採の仕事を探すことも選択肢としてはあり得る。
しかし、もう今後は日本に腰を据えて生きていこうと思っている。

本帰国を決意した理由はいくつかあるが、最も大きな要因は自分の価値観の変化だ。
それは、インドでの生活によるものというよりも、年齢を重ねたことが大きいように思う。

私はもともと「誰と」よりも「何を」を重視するタイプの人間だった。
水族館にもカラオケにも焼肉にも、何のためらいもなく一人で行くことができる。
それは、一人で行動するのが好きというよりは、誰かと予定を合わせることがただただ面倒くさいからだ。
今この瞬間に焼肉を食べたいわけで、誰かと予定を合わせて「来週ね」となったところで、来週は焼肉を食べたい気分かどうかはわからない。
じゃあ、今一人で行こう、というわけだ。

私は一人旅をすることが多いが、これも別に一人旅が好きだからではない。
自分の行きたいところややりたいことを優先させた結果、単純に同行者がいなかっただけに過ぎない。
しかし、最近は「一人で何かやることの虚しさ」を感じることが増えた。
やりたいことはある程度やり尽くしてしまったからなのかもしれないし、あるいは精神的な成熟の証なのかもしれない。

大学卒業後、いくつかの任期付きの仕事を渡り歩き、そのたびに住む場所を転々としてきた。
どこにいても心のどこかで「仮暮らし」の感覚があり、それは自由で楽しい一方で、寂しさも伴っていた。

私は内向的な性格で、人間関係を築くのが得意ではない。
さらに「どうせいつか引っ越してしまうから」と考えることで、深い関係を築くことにブレーキをかけていた。
だが、最近はそのことが心にぽっかりと穴を開けているように感じる。

20代前半に東南アジアで3年間過ごした。
東南アジアには、様々な立場(駐在員、現地採用、学生など)のたくさんの日本人が住んでいる。
私が住んでいた都市にも同年代の日本人はたくさんいて、よく一緒に遊んでいた。
一方、現在の居住地には若い日本人が少なく、接するのは年上の人が多い
彼らは安定した仕事に就き、家庭を築いている。
そうした姿を見るうちに、「安定した生活も悪くない」と思うようになった。

数年前の自分にはなかった価値観だが、30歳を迎えるにあたって「子孫を残すべし」という生物的な本能が頭をもたげてきているのかもしれない。
それが結婚願望なのか、それとも別の願望なのかは自分でも分からない。
家庭をもったからとはいえ、その寂しさを埋められるかは分からない。
しかし、まずは安定した生活を手に入れることが、今の自分には大切なのだろう。


そうした価値観や心境の変化を経て、私は本帰国を決意した。
冒頭にも書いたように、他にも細々した理由がいくつかあるので、気が向いたらそういったことも書き残してみようと思う。

いいなと思ったら応援しよう!