Gratis という単語
「Gratis」という単語をご存知だろうか。
ぼくがこの単語を初めて知ったのは、インドネシアに住んでいた時のことだった。
インドネシアのスーパーに行くと、「beli 1 gratis 1(1個買ったら1個無料)」や「20% gratis(20%増量)」といったフレーズをよく目にする。
つまり、「gratis」は「無料」という意味。
ぼくはこの単語をインドネシア語の単語だと思っていた。
ところが先日、とある家庭にお邪魔した時のこと。
ドイツで購入したという塩のパッケージに「Gratis」の文字を発見した。
「え⁉︎ gratis ってインドネシア語じゃないのか⁉︎」
と思って検索してみると、どうやら英単語らしい。
しかし、そのままスマホの画面を下にスクロールすると興味深いものを発見。
gratis は英語であると同時に、ドイツ語、スペイン語、インドネシア語でもあるらしいのだ。
gratis はもともとラテン語の単語で、そこから派生して今ではさまざまなヨーロッパの言語で用いられているとのこと。
ではなぜ、ヨーロッパから遠いインドネシアの単語にも影響を及ぼしているかというと、インドネシア語は借用語が多い言語だから。
インドネシアはかつてオランダの植民地であり、その時にオランダ語から借りてきた単語がいろいろある。
だからオランダ語の gratis が、そのままインドネシア語として用いられているというわけだ。
オランダ語とドイツ語は類似性が高いので、gratis がインドネシアとドイツの両国で一般的に使用されているのも納得できる話だ。
というわけで、些細な発見から新しい知見を得たという話でした。