ぐにゃぐにゃの道で楽しい⑤はじまりの島、沼島へ
久しぶりの、ぐにゃぐにゃの道で楽しい島旅シリーズ。
先日、淡路島の南に浮かぶ沼島(ぬしま)を久しぶりに訪れた。
北海道の友人が遊びに来て「関西で1番のおすすめスポットを案内してほしい」とのことだったので、沼島をチョイス。
南あわじの土生港から10分程度で到着するこの島は、世界最大級の断層「中央構造線」の真上にあり、特徴的な地形の上に成り立っている。(タモリさんも来た!)
また、別名「おのころ島」とも呼ばれており、神話の舞台としても重要な島だ。
神話で描かれていることをすごく簡潔に言うと、いざなぎさんといざなみさんという神様が、他の神様から授かった矛で海をコオロコオロと掻き回して引き上げた時に、ちょんと垂れた雫が於能碁呂島(おのごろじま)となったというお話だ。
話自体はふーんそうなんだという感じだが、かきまぜる際の「塩コオロコオロ」という表現が何となく気に入っている。
地形、歴史、神話と話題に事欠かない島ではあるが、私は島の漁師のおいちゃんたちが港のベンチで日がな一日だべっている、沼島ののんびりと柔らかい雰囲気がただただ大好きなのである。
淡路島の南の方の、そこにいるだけで副交感神経優位になるような心地よさをより一層濃縮したような、そんな空気が流れる島だ。
島に降り立つと、なんて事のない普通の漁港が広がる。浜焼き小屋も観光案内も何もない、日常の風景としての普通の漁港。こういうのでいいんだよ。
港から海っぺりを5分ほど歩くと、沼島八幡神社に到着。
さて、八幡神社から島の反対側へ15分ほど歩いて沼島の一番の見どころ上立神岩へ。
国生み神話ゆかりの、30mもの高さの矛先のような形をした巨大な奇岩である。(詳しくはこちら)
この日は凄まじい荒波で、巨大な岩にどぱんどぱんと波が打ち付け、なんというか圧倒的であった。
ふたたび港の方に戻り、お昼ごはんで旅館木村屋さんの食堂で「太平」へ。
タチウオフライ定食をいただく。
船の時間まで少し時間があったので、山そのものがご神体として祀られているおのころ神社へ行ってみる。
そしてお昼過ぎの船に乗り、南あわじへ帰還し、淡路人形浄瑠璃などを観に行ったのだった。
沼島は島そのものが大きな物語を抱き込んでいるため、その神秘性も魅力のひとつではあるのだが、一方でいつ行っても変わらないのどかな漁村のくらしの風景に触れることによって得られる心の穏やかさは、ちょっと他には無いものだと思う。
ここにいると、なんだかほっとする。その一言に尽きる。
関西一のおすすめスポットにしては若干人を選ぶ気もするが、これからもこの良さを分かってくれそうな人々に沼島愛をこそこそと伝えていきたい。