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私の財産
これまで多くの商人を取材し、ご縁をいただいてきました。その中で、多くのことを教えてくださり、人生の模範となるような人たちとも出会ってきました。
鹿児島県鹿屋市、北田・大手町商店街振興組合顧問の本村正亘さんもそんなお一人。いつかもう一度お会いしたいと願っていたところ訃報を知り、ようやく霊前に線香をあげることができました。
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本村さんは鹿屋で行われるまちゼミの事務局を務め、ご自身も黒にんにくの作りかたの講座をされ、黒にんにくを商品化して人気商品に育てた人物。いつも穏やかに微笑み、仕事に誠実に向き合う姿勢にふれるたび、自分もあんな生きかたをしたいと思っておりました。
本村さんのまちを思う心、商店街を元気にしたいという志は今も多くの人に受け継がれています。それは鹿屋はもちろん、鹿屋を超えて全国のまちゼミ実践者に及びます。
メキシコの古い言い伝えには、人には三度の死があると言います。一度目の死は心臓が止まるとき、二度目の死は墓に葬られるとき、そして三度目の死は今を生きる人たちの記憶から消えるとき。三度目の死は、本村さんには無縁でしょう。
ご自宅で奥様と二人のお子さんにもお会いできました。息子さん、お嬢さんそれぞれに、本村さんの誠実さとひたむきさは受け継がれていました。本村さん、どうか安らかにお眠りください。また、参ります。
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