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珍味⑤ ウツボカズラ飯が呼んだ

出会いは常に不思議なもので。

写真家の青柳陽一さんの著書に『岩魚が呼んだ』というのがあり、岩魚がさまざまな人の交流をするきっかけになり、まさに岩魚が人の縁を呼んだといった内容なのですが、

私の場合も、食虫植物をきっかけに、色々な方とのご縁がありました。

hiyokoさんと出会うきっかけになったのが「ウツボカズラ飯」で、mixiで珍味のコミュニティーを運営し、日記に食虫植物のことを書いていたところ、「ウツボカズラ飯」のことを教えていただいたのです。

マレーシアの山岳民族の間で、ウツボカズラの袋の中に米を入れて蒸す料理「ピッチャー・ライス」があると。

食虫植物を園芸植物として見ていたので、料理にもなると知った時にはかなり衝撃的でした。

喩えて言えば、グッピーやベタをからっと揚げて食べるような。

人間、鑑賞、飼育、栽培する(愛でる)モードと、食するモードをどこかで切り替えているんでしょうね。心の中で命を貰うことに感謝しつつも、どこか冷静に切り替えているものです。でないと、罪悪感で心身のバランスを崩してしまうからだろうなぁ。

でも、この二つはきっと近い…もっと言えば通底しているんでしょうけど。

そんな固定概念がひっくり返されたのが、「ウツボカズラ飯」でした。

何度も本の中でも紹介しているのですが、原産地の人が、野生のウツボカズラの捕虫袋の中に米をつめて、蒸した料理です。ココナッツミルクを入れることもあれば、塩と豆と鶏肉を入れることもあるらしく、消化液は捨てずに使うこともあるようです。民族料理として、お土産物屋でも販売していると、現地ガイドから聞きました。ちなみに、5リンギ(日本円で160円くらい?)と、

割と高いです。

『ボルネオの熱帯雨林 生命のふるさと』横塚眞己人著 (福音館書店)

にも、ウツボカズラ飯の記述があり、

「ボルネオの先住民イバン人は、お米をウツボカズラの袋に入れてご飯を炊く。味はふつうのご飯とまったくかわらない」と、写真付きで紹介されています。

そのまま鍋でスチームする方法もあるようですが、この本では、竹筒の中で蒸している写真が載っています。


私が作ったのは、計6回ほどですが、ウツボカズラの味は総じて酸っぱいです。

上記の本には、ふつうのご飯と変わらないとありますが、多少酸味が移る感じがします。

ちなみに、消化液は使わずに、蓋が開いていない袋を使用しています。

蓋が開いていない袋は熱に弱く、しんなりしやすいので、火の入れ方に用心が必要です。

現地だと、蓋が開いたしっかりとした袋を使っているのだろうと思います。アンプラリアとビカルカラタの自然交雑した株の袋を使っているように見えます。

ウツボカズラは酸っぱい、ドロセラとハエトリソウは辛い。

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