コインパーキングの利用規約（タイムズパーキング利用約款）を読み解いてみた
利用規約ウォッチャー みなしボウイです。
今回は、「タイムズパーキング利用約款」をウォッチしていきます。「タイムズパーキング」は、駐車場管理業者としては日本国内最大手であるパーク24グループが管理するコインパーキングであり、都市部に限らず地方でも馴染みが深い駐車場だと思います。
コインパーキングの利用規約は、利用する割にはあまり読まないものだと思います。私もそうなのですが、今回、重要な4つのポイントに注目して運送約款をウォッチしていければと思っています。
安心安全にサービスをご利用頂けるポイントになりますので、最後までよろしくお付き合いください。
月極駐車場と時間貸駐車場の違い
一般的な駐車場の形態として、月極駐車場と時間貸駐車場があります。今回取り上げていくのは、コインパーキング＝時間貸駐車場になりますが、その違いについて軽く触れておきます。
月極駐車場
貸主（オーナー等呼び方は色々）が駐車場を設置した施設内に借主が駐車することを一定期間約束する場合は「賃貸借契約」となり、賃貸借契約書を作成することになります。契約書の表題は「駐車場賃貸借契約書」となりますが、実務上は「駐車場使用契約書」とされることも多く、どちらでも差し支えないとされています。
時間貸駐車場
一般的に「コインパーキング」と呼ばれる形態です。不特定多数の人が利用できる駐車場（一般公共の用に供する駐車場）のうち、利用時間に応じて料金を徴収する駐車場のことになります。
駐車場法の定めにより、一定要件を満たす場合は「路外駐車場」として、都道府県への届出が必要となります。
時間貸駐車場については、国土交通省が「駐車場管理規程例」をサンプルとして出しており、巷のコインパーキングではこの内容に近しい利用規約となっていることがほとんどです。
タイムズパーキング利用約款の前提条件
タイムズパーキング利用約款を見ながら、いくつかの前提条件について触れていきます。
前文
タイムズ２４株式会社（以下「当社」という。）が管理する時間貸駐車場タイムズパーキング（以下「タイムズ」という。）は、下記の規定に従ってご利用頂きます。但し、駐車場に他の規定が掲出されている場合は、この限りではありません。
タイムズ24が管理するタイムズパーキングについては、今回の利用約款が適用されますが、立地上の制約その他により個別条件が適用される可能性があります。基本的には、その駐車場に掲出されており、記載条件が適用されることになります。
駐車スペースの提供
1. 駐車スペースの提供
タイムズは、短時間駐車するためのスペースを有償で提供することを目的とするものであり､車両をお預かりするものではありません。また、当社の承諾なく、タイムズにおいて営業行為を行うことは禁止します。
「車両をお預かりするものではありません」とわざわざ書いてあるのは、物を預かると「寄託」という別の契約関係が生じてしまうからだと思われます。物を預ける・預かるということは、預かった物に対する責任が生じますので、コインパーキングの場合はあくまで自動車を置くための場所を一時的に提供しているに過ぎない、という解釈となります。
免責
2. 免責
当社は､タイムズ内における車両、その付属装着物又は積載物の盗難､紛失又は毀損については、当社の責に帰すべき事由による場合を除き、一切責任を負いません。当社は､タイムズの利用者が､駐車場の他の利用者もしくはその他の人の行為又は駐車場内に存在する車両又はその付属装着物もしくは積載物等に起因して被った損害､その他タイムズ内で発生した当社の責に帰すべき事由によらない原因に起因して被った損害について責任を負いません。
こちらもあくまで自動車を置くための場所を提供しているに過ぎない、というスタンスから来ているものになります。利用者同士のトラブルは、利用者間によって解決する必要があります。
時折、入庫も出庫も難しめのタイトなスペースになっている場合があります。例えそこで事故等を起こした、あるいは起こされたとしても、その解決は利用者間になりますので、注意が必要です。
放置車両の取扱い
タイムズパーキングの場合、事前に届出を行うことなく7日間を超えて車両を駐車している場合は、その車両を放置車両として取扱うとされています。
9. 放置車両の取扱い
(1) タイムズの利用者が、当社への届出を行うことなく7日間を超えて車両を駐車している場合、当社は､これらの利用者に対して､駐車場において掲示することにより､当社が指定する日までに当該車両を引取ることを請求することができるものとします。
(2) (1)の場合において､利用者が、車両の引取りを拒みもしくは引取ることができないとき又は当社の過失なくして利用者を確知することができないときは､当社は､車両の所有者等(自動車検査証に記載された所有者及び使用者をいう｡以下同じ｡)に対して通知し､又は駐車場において掲示することにより､当社が指定する日までに車両を引取ることを請求することができるものとします｡この場合、利用者は、当該車両の所有者等への引渡時に一切の権利を放棄したものとみなし､当社に対して車両の引渡請求、又はその他事情のいかんを問わず何らの異議を申し立てないものとします。
(3) (1)(2)の請求を書面により行ったにもかかわらず､当社が指定する日までに車両の引取りがなされないときは､当社は､車両の所有者等が引取りを拒絶したものとみなすことができるものとします。
(4) 当社は､(1)の規定により指定した日を経過した後は､車両について生じた損害については､当社の故意又は重大な過失によるものを除き､賠償の責を負わないものとします。
(5) 当社は､(1)の場合において､利用者又は所有者等を確知するために必要な限度において､車両(車内を含む｡)を調査することができるものとします。
(6) 当社は､(1)の場合において､管理上支障があるときは､駐車場において掲示して予告した上で､車両を他の場所に移動することができるものとします。
(7) 当社は､所有者等が車両を引取ることを拒み､もしくは引取ることができず､又は当社の過失なくして所有者等を確知することができない場合であって､所有者等に対して通知し、又は駐車場において掲示することにより期限を定めて車両の引取りの催告をしたにもかかわらず、その期限内に引取りがなされないときは､催告をした日から3ヶ月を経過した後、所有者等に対して通知し､又は駐車場において掲示して予告した上で､公正な第三者を立ち会わせて車両の売却、廃棄その他の処分をすることができるものとします｡この場合において､車両の時価が売却に要する費用(催告後の車両の保管に要する費用を含む｡)に満たないことが明らかである場合は、所有者等に対して通知し､又は駐車場において掲示して予告した上で､引取りの期限後直ちに公正な第三者を立ち会わせて車両の売却､廃棄その他の処分をすることができるものとします。
(8) 当社は､(7)の規定により車両を処分した場合は､遅滞なくその旨を所有者等に対して通知し､又は駐車場において掲示するものとします。
(9) 当社は､(7)の規定により車両を処分した場合は､処分によって生じる収入から､駐車料金並びに車両の保管､移動及び処分のために要した費用があればこれを控除し､なお不足があるときは所有者等に対してその支払いを請求し､残額があるときはこれを所有者等に返還するものとします。
かなり厳密な取扱いになっていると感じられますが、放置車両と言えども、他人の所有物を無断で処分した場合には、管理会社側が刑法上の器物損壊罪等に問われる可能性があるほか、民事上においても損害賠償責任等を負う可能性があります。そのため、駐車場の管理会社は、法的リスクの低い方法で取扱いを行っていきます。
登録事項等証明書の取り寄せなどは認められていますので、管理会社は放置車両の所有者を特定し、通告等を発することになります。
積雪等で出庫出来ない場合について
タイムズパーキング利用約款の場合、積雪時の扱いを明記していませんのでわかりにくいですが、自然災害等の不可抗力については、タイムズの責に帰すべき事由によらないと解釈されることが濃厚であり、積雪で出庫出来なくても利用料金はそのまま加算されると思われます。
同業他社の三井不動産リアルティ「三井のリパーク駐車場利用約款」には、免責事項として明記がありますが、タイムズパーキングでも同様の考え方になると思います。
2.免責
当社は、以下の各号のいずれについても当社の責に帰すべき事由による場合を除き責任を負いません。
（中略）
(8)天災地変、自然災害（地震・落雷・台風・洪水・降雪）、戦乱、暴動、火災その他の不可抗力、不正駐車による出庫妨害、その他の第三者の行為、電力事情の変動等に起因して発生した損害
また、無理に出庫させようとして事故が生じた場合、利用者の賠償責任となり得ます。
私も月に何度もコインパーキングを利用しますが、その利用規約を意識して駐車することはほとんどありません。普通に駐めて普通に出る分には、特に問題は無いように思われますが、私たちの利用しているコインパーキングがどういった位置づけで運営されているものであるのか、一度は再確認してみたほうが良いかもしれません。
今回は、このあたりで終わります。ありがとうございました。
なお本投稿における、発表内容は発表者個人の見解に基づくものであり、本投稿にて取り上げられている組織及びサービスの公式見解ではありません。
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