フルリモートチームのプロダクトマネージャーが実践していること
bosyuというサービスはフルリモートのチームで運営されています。開発メンバーだけでなく、CSやマーケティング等のビジネスサイドのメンバーも、全てリモートワークで仕事をしています。メンバー同士で顔をあわせることは年に数回程度です。
業務委託のメンバーを含めると現在は15名程度のチーム(開発メンバーは10名程度)と大きいチームではありませんが、メンバーのモチベーション等を含め、非常にうまく回っているチームだと感じています。
このnoteでは、フルリモートチームのプロダクトマネージャーとして働く私が、チームを前に進めるために実践していることを記します。
bosyuのプロダクトマネージャーの守備範囲
話の前提を揃えるため、bosyuのプロダクトマネージャーとしての主な仕事を記しておきます。
まだそこまで大きなチームではないこともあり、あまり分業はせずにチーム全体をまるっと見る役目を担っています。そのため、狭義のプロダクトに割ける時間はそこまで多くありませんが、その分幅広いジャンルの仕事をしています。
・プロダクトに関する課題発見、解決策の立案(メンバーと共に)
・開発チームのマネジメント
・マーケティング施策の立案、実行
・定例等の設定、コミュニケーションラインの整備
・チームビルディング、採用
オフィスで行うマネジメントとの違い
かつては私もオフィスで仕事を行なっていた人間ですが、フルリモートだからといって普段の仕事に大きな違いは無いというのが体感値です。
むしろ、オフィスにいる時よりも「自分の仕事」も「チームの仕事」も前に進むように感じています。
例えばマネジメントを行う立場の場合、オフィスにいると「打ち合わせ」か「メンバーからの相談事項」か「メンバーを見て回るポーリング活動」に働く時間の9割以上を取られてしまうことが多いと思います。
他方、リモートワークの場合はメンバーからの「相談事項」をチャットで並列で処理できるようになったり、会議室の物理的な移動等もなく、メンバーの状況も本人の分報チャンネルを覗いたりすれば事足りるため、メンバーのマネジメントという観点では大幅な時間削減に繋がっています。
他方でメンバー目線で見ても、マネージャーを捕まえるという行為に時間を割かなくて済む(チャットをすれば良い)ため、全体で見ても効率化に繋がっているように感じます。
リモートワークならではの課題はあるか?
ここ4年弱フルリモートでマネジメントをしていますが、リモートワークだからこその課題というものは感じたことはありません。
もちろん、プロダクトを育てていく上での課題はたくさんあるのですが、それらの多くはオフィスで仕事をしていた時と同様の課題でした。
つまるところ、オフィスでの仕事と同じく「人の問題」が一番の課題だと日々感じています。
「人の問題」に対するリモートならではのアプローチ
人の問題に関しては、結果的にリモートワークだからこそ取れるアプローチが有効になるケースも多いと感じています。
ここからは、私が実践しているリモートワークならではの「人の問題」に対してのアプローチを紹介したいと思います。
信じて任せる
メンバーが仕事をしている風景を見ることが物理的に不可能なため、信じて任せることがより大切になります。
現代のマネジメント手法の多くは「人はサボる」ということを前提としたものであり、それらの手法は「信じて任せる」ことと噛み合わないことが多いです。
そのため、この部分はマネジメント側の思考の転換が必要だと感じており、慣れるまでは少しそわそわしてしまいますが、そこをこらえて信じて任せ切ってみましょう。
メンバーが雑談しやすい環境を作る
リアルの場で「もっと発言しよう!」といって、メンバーの発言数が増えた経験があるマネージャーはどの程度いるのでしょうか。
これはもちろんリモートワークの場でも変わりません。放っておいて発言が増えるなんてことは、ただの幻想です。
そのため、なんらかの仕組みで解決する必要があります。
例えば、私たちは下記のような仕組みを取り入れ、チーム内での発言数を意識的に増やすようにしています。
・Geekbotによる、始業時と終業時のBOTからの声かけ
・シャッフル1on1による、メンバー同士が一対一で話す場の実現
・分報チャンネルによる、個人の思考の可視化と呼びかけやすい場の実現
・コミュニケーションと息抜きの場と割り切った週一回の定例の実施
基本的には雑談を推奨しており、雑談のきっかけを作るためにGeekbotを使ったり、シャッフル1on1を行ったり、分報をみんなで行ったりしているような形です。
メンバーのころちゃんも書いていますが、雑談が増えることで結果的に仕事に関連する内容のアウトプットも増え、まわりまわって良いマネジメントへと繋がっていくと考えていますし、事実としてそのような良い循環が生まれているように感じています。
チームをもっと前に進めるために実践していること
最後に、チームを前に進めるために私が実践していることを紹介します。ここはリモートチームに限らず効果的な手法だとは思います。
作業に充てられる時間の絶対量を増やす
チームでサービスを運営していると、1日の大半がミーティング、、、なんてことになってしまいがちです。
チーム内で議論を行ってプロダクトをブラッシュアップしていくことは大切ですが、ミーティングは何も生み出しません。プロダクトを前に進めるのは「作業」だけです。
そのため、作業時間の絶対量を増やせるような仕組みを常に模索していくべきだと考えています。
例えば私たちの場合、共有や報告のミーティングは20分までというルールにしていますし、定例はその存在意義を適宜見直すようにし(新しく定例を作った一ヶ月後にはその定例の要不要のジャッジポイントを設定)、打ち合わせに必要以上の時間をとれらにような仕組みを取り入れています。
ツールに頼る
世の中には便利なツールがたくさんあります。
例えば、figmaは離れた場所にいるデザイナーさんとのやりとりをよりスムーズにしてくれますし、Miroはオンラインでのコラボレーションをより簡単にしてくれます。(Miroは便利機能も多く、リアルの場でホワイトボードを使って議論するよりも便利だと個人的には思っています)
これらのツールを遠慮なく用いることで、チームを前に進むスピードを加速していけると考えています。
ツールの利用料金を節約しようとするパターンをよく見かけますが、これは悪手だと考えています。
結局のところコストが一番高いのは多くの場合「人」であり、月々数百円程度のツールであれば、一人当たり毎月10分程度でも節約できれば十分にペイするからです。(それすら節約できないツールは、そもそもとして導入する意味はありません)
チームの分散化
一定人数以上のチームをマネジメントしていくことは、メンバー視点でもマネージャー視点でも非常に負荷が高いと感じています。
そのため、bosyuの場合は4-5人程度のチームに分けて権限を分散させ、その上で、OKRとチームを紐づけてチームごとの役割を明確にしています。(エンジニア、デザイナー、CS/ビジネスを混ぜた少人数構成にしています)
分散化によりマネージャーへの必要以上の確認プロセスをなくすことができ、さらには自分たちのやることによりフォーカスしていくことができると考えており、これは今の所うまく回っていると感じています。
マネジメントは、日々悩みしかない。
フルリモートチームのマネジメントの経験をシェアできればと思いnoteを書いてきましたが、正直なところマネジメントの悩みは尽きません。
どうすればプロダクトがもっと前に進むか、メンバーが気持ちよくアウトプットを出せるか、チーム同士の連携はどうすべきか、チームの情報共有の最適解は何か、、、等々、考えることは山のようにあります。
とはいえ、その中でも一定の解が見えているものはありますし、これらをみんなでうまく共有しながら、危機的状況下のリモートワークも、戦略としてのリモートワークも、うまく前に進めていけたら良いなと思っています。
この文章が少しでも建設的な議論のきっかけになったり、新しい良い手法が生み出されるきっかけになれば良いなと願っています。
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P.S. リモートワークのプロダクト運営で気になることがあれば気軽にDMしてください!少しばかりは力になれるはずです!