勤続15年!次期管理職候補のママ、ゆんさんが選んだフリーランス・在宅ワークの道
時短勤務でマミートラックに直面
ゆんさんは4人家族で夫と4歳の長女、1歳の長男と暮らしています。現在の職業はWebライターですが、以前は金融系企業の総合職として働いていました。
「金融系企業に入社した理由は、採用選考の過程で社員の方が仕事について楽しそうに話してくれて、一緒に働くと楽しそうだと思ったからです。お給料や福利厚生の面にも満足していました。入社して15年間勤めてきて、子育てが始まるまでは会社を辞めたいと思ったことがありません。人に恵まれていたと思います」(ゆんさん、以下同)
いわゆるホワイト企業に勤めていたゆんさんは、定年まで同じ会社で働くものだと思っていたそうです。しかし、第一子を出産し育休を1年取得した後、その気持ちに変化があり「今の仕事を続けたままでいいのだろうか?」と悩み始めます。
時短勤務として復職したゆんさんに待ち受けていたのは、マミートラックでした。
「育休期間が終わって時短勤務で会社に復帰しました。時短だから任される仕事が少なくなったり、できる範囲が狭まったりするのは仕方ないですよね。でも、私はもう少しレベルを上げた仕事も任せてもらいたくて…。それを会社に言うとワガママかな…とか、時短を取らせてもらっているし…とか、いろいろ考えてしまったんですよね」
安定を選ぶか、ワクワクする道に進むかという葛藤
マミートラックに悩むゆんさんは第二子を出産した後、仙台に移住し、ライター活動を始めます。そして、2023年3月に開業届を提出して正式にフリーランスとなりました。
順調なのかと思いきや、会社勤めのメリットも捨てがたいと感じ、モヤモヤした日々を送る時期もあったそうです。
「会社勤めに未練がないわけではありません。会社勤めは収入の面ですごく安定していて、フリーランスは自分の手を止めたときに稼げなくなる怖さがあります。家族が体調を崩したときに、フリーランスの大変さを実感しました」
「いつも天秤にかけるのは『安定性』と『自分がワクワクするかどうか』でした」と話すゆんさん。
「会社勤めを選ぶと安定するけれど『この仕事、楽しくないな。いつまでやるのかな?』と思いながら仕事をするのは目に見えていて……。その背中を子どもに見せるのが嫌なんですよね。子どもには、楽しく仕事をしている背中を見せたいと思っています」
会社勤めの安定とフリーランスのワクワク感。どちらを選ぶべきか迷いながらも、フリーランスの道を選んだゆんさんに、その動機を聞いてみました。
「もし会社に復帰していたら 2、3年後に管理職になるんですよ。管理職は残業代が出ない代わりに雀の涙の管理職手当が出て、定時後の打合せも多く、労働時間はさらに長くなります。たぶん、仕事を終えて帰る時間に子どもたちはすでに寝てしまってるだろうな、と。土日だけ一緒に過ごすのかと思うと、なんかそれも嫌だなと思って…」
ゆんさんが家庭で一番大事にしているのは「できるだけ家族みんながご機嫌でいられて、笑顔でいること」だと言います。
「収入を確保するため、働くことは大前提。私は実家が裕福でなく、お金が理由でできなかったことが多かったので、子どもたちには同じ思いをさせたくないと思っていて。仕事にストレスはつきものですが、家族の前に持ち込まないように意識しています」
「働いている父親・母親がイライラしていると、子どもたちにそれが伝染して、笑顔でいられないと思うんです。子どもたちに働いている姿を見せつつも『ママ、楽しそうだな』と思ってもらいたい、子どもたちにいつも笑顔でいてほしい、という気持ちで行動を起こしました」
有意義な時間が生まれた移住・フリーランス生活
「家庭を大事にしたい」「楽しそうに働く姿を子どもたちへ見せたい」との思いからフリーランスの道を歩み始めたゆんさん。その後、実際にどういった変化があったのでしょうか。
「一番変わったのは時間の使い方です。会社勤めのときは、とりあえず会社に行けばお給料がもらえていたことに気づきました。一方、フリーランスは自分がどれだけ手を動かしたかが報酬に反映されるので、時間の使い方や体調管理など、今まで気にしていなかったことを意識するようになったと思います」
家庭の中での変化を聞いてみると、お子さんを急かさなくなったとのこと。気持ちに余裕が生まれ、お子さんと一緒に遊んだり、向き合ったりする時間が増えたそうです。
「ママはやることが多くて忙しいですよね。特に会社員のときは例えば『朝、この時間までに家を出なきゃ』という焦りがあります。家から帰ってきてからも『なるべく早く寝かせなきゃ』みたいな。早く寝ないといけないので、早くご飯を食べて、早くお風呂に入って……と、休むことなく動き続けていましたね」
「フリーランスになってから、今やらなくていいことは後からでもいいと思えるようになりました。例えば、おもちゃの片付け。本当は常に家の中をきれいにしておきたいけれど無理なので、1日の最後にみんなで片付けようと自分に言い聞かせています。好きなようにおもちゃを出していいよという心構えになりました」
また、東京から仙台に移住したメリットについても話してくれました。
「家の中も家の周りも広くなったので、子どもは走り回るのが楽しいみたいです。気のせいかもしれないけれど、子どもたちのニコニコしている時間が増えた気がします。子どもたちが走り回って楽しそうにしていることが、私はすごくうれしいですね」
「今は長女が幼稚園に通っているので早い時間帯に帰ってきます。帰ってきて長女が『自転車の練習がしたい』と言えば付き合ってあげられる余裕があり、移住して良かったなと思います」
地方創生に貢献!ワクワクする人生が目標
ゆんさんは今後、ライターとして仙台や東北の人・モノ・コトを多くの人に知ってもらい、人や企業を元気にする活動がしたいと考えています。
「書くことで仙台や東北に貢献できるライターになりたいです。私は福島の出身で、大学時代を仙台で過ごしました。就職で東京に出て、東京は刺激的でとても楽しかったけれど、その分、地元や東北の良さを改めて感じるところもあって。仙台に移住して、もっと東北のことを知ってもらいたいという気持ちになりました」
「地方創生のメディアには全国各地のライターが集まり、みんな同じような思いを抱いているので、そこから私もエネルギーを得ています。知られていない魅力的な場所が東北にはたくさんあるので、まずは書くことで広めたいです」
実は、ゆんさんはライティングに限らず挑戦したいことがあります。その思いの根底にあるのは「ママになっても人生をワクワクさせたい」という前向きな気持ちです。
「いつか携わりたいと思っているのは高校生の進路指導です。女性の場合、優れた会社に入っても、出産すると会社でのキャリアが途絶える可能性があります。それを私が高校生の頃には誰も教えてくれなかった。自分が出産して初めて知りました。優れた会社の定義は人によって異なるし、出産するかしないかも人によるのですが、高校生にこのような観点も考慮するきっかけを与えられる人になりたいです」
「また、今はライティング一本ですが、前職が総合職で何でも屋だったこともあり、実はWebデザイナーやオンライン秘書、インスタの運用代行も面白そうだと感じています。少しずつですがさまざまな情報を収集しているので、自分を柔軟に変化させながらワクワクする人生を歩みたいです」