見出し画像

異界の住人そばにいる


山の紅衣がひらひら哀しく

焚き火の音を踏み締めて

芋の匂ひをほのかに味わい

時折鋭利な風を思う

骨髄の蒸発に悲しみを覚え

朽ちた大木の隙間には

ギロギロした目玉が詰まる

屍鬼の迫った水面の杭に

わずかな希望のシルクを見届け

ぬかるみに片足突っ込むと

ミミズ千匹絡みつく

カラスは静かにエサを待ち

夕日の目眩し利用して

異界の住人そばにいる



いいなと思ったら応援しよう!