お盆の詩(金魚)
夢のなかで 実家に戻ると 昔の金魚がはさまっていた 書架の隅で
手のひらサイズに熨されてしまった 赤い金魚は 埃にまみれて
(まだ生きている)
ガラスの扉をスライドさせて 注意深く手に取った(生きている…)
金盥(かなだらい)に水を張り 金魚をそぉっと中に放つ
しばらくすると元気になった 形もふつうの金魚にもどった
ふと気がつくと(きらめく残像…)
金魚が部屋を泳いている(身をくねらせて躍ってみせる…)
ホオズキみたいな脱け殻だけが ペルシア絨毯の連続模様を
カラカラ コロコロ・・・ 転がって 尾ヒレが砕けて
「このままでは 死んでしまう!」
泳ぐ金魚をつかまえて ぱっくり空いた背中の穴にもどすのだけど
上手くいかない逃げてしまう
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