木内ゆか

詩の練習をしています。

木内ゆか

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最近の記事

アレグロ/アンダンテ(詩)

バランバランの 粒々さ サランサランの バラバラなのさ 玄米さ 種だった 意味などない 煎られている フライパンで あいうえお かきくけこ a b c d e f g ・・・・・・ 意味などない 種なのさ バランバランの 粒々さ  サランサランの バラバラなのさ あいしている あっちへ行け あの日のあの人 アレグロ アンダンテ バランバランの 粒々さ 熱くてパチパチいうだけなのさ 意味などない あいしている あっちへ行け あの日のあの人 アレグロ アンダンテ

    • ソラにのぼる樹

      僕の彼女は あかるいソラ。 ファビュラスなソラ(蒼いソラ… 暗い森で彼女をまってる 僕は独りの【樹状】です。 また春がきて  ソラにのびる(僕の突起…) 指先だけがチリチリするんだ  あいたくて 懐かしすぎて フルエてる僕(点滅するんだ… 憧れの キラめく君に指をのばす どこまでだって吸い込まれたい ひとつになりたい (ソラの海溝…) 逢いたくて 木質化した下半身を もっと地中に挿し込むから キヨラカな 枝をのばすと指先だけがチリチリするんだ 神経系で(おもいだしてる…

      • 屹リツ滿ツ森

        森の小径は 細くて長い  ミライへ続く 卵管なのに かの女の中の 腐葉土は 詩篇がほぐれて〈創世記〉の匂いがする ひと雨ごとに深くしずんで 祈りの形でまるまって (もう一度…) リリスの香水くゆらせて 鏡の中からあるいてきたのは  もう一人の(詩人の僕だ… なつに羽化する(二卵双生… サナギの記憶をたぐり寄せると 複眼系の脈が光った (あのとき君は しあわせでは なかったの? せりあがる かの女の水位! あぁ又なのか!)逃げおくれて 逆巻いて 押し流された 沼のほとりは

        • お盆の詩(金魚)

          夢のなかで 実家に戻ると 昔の金魚がはさまっていた 書架の隅で  手のひらサイズに熨されてしまった 赤い金魚は 埃にまみれて (まだ生きている) ガラスの扉をスライドさせて 注意深く手に取った(生きている…)  金盥(かなだらい)に水を張り 金魚をそぉっと中に放つ  しばらくすると元気になった 形もふつうの金魚にもどった  ふと気がつくと(きらめく残像…) 金魚が部屋を泳いている(身をくねらせて躍ってみせる…) ホオズキみたいな脱け殻だけが ペルシア絨毯の連続模

          夏の詩(もどき)

          また恋をした(胸に溜まった)      白濁を  搾乳しては 棄てている  洗面台は   三面鏡だ       緑の硝子に       しらない女が          無限にいて             同じに動く・・・         【  三  面  鏡  】         *    *            *      野放図に  裂きみのる      庭のザクロの  草陰で     女神ふたり  しゃがんでいた        【  ザ 

          夏の詩(もどき)

          初夏の詩(もどき)

          はつなつから  うすくほどけて    剥離してゆく ほらモンシロが  草の穂先 顔をかくして  交尾をしている    リ リリ・・・     リ リリ・・・ 小雨にぬれて  おもみにゆれて     「白無垢」    *     *     「夜間飛行」 ゼンマイ仕掛けの 時計の中を サテンシルクが ながれてゆきます     サラサラサラ・・・ 音楽は 今日はサファイア色でした 変更線を越えたので そろそろリボンにもどりましょう    リリ ク し

          初夏の詩(もどき)

          リトルロックはあっちです。

          「リトルロックはあっちです」そう云って 僕はここに立っている 乾いた荒野の道路標識 いつまでも・・・ 「リトルロックはあっちです」そう云うと 人々の疲れた顔に小さな笑みがチカリと瞬く 心に安堵の泉が広がる 「ホッホッホ~、このままアラスカまでドライブしたい気分じゃよ~?」 「ダーリン、あともう少しよ」 人々は希望を胸にアクセルを踏む そしてみるみる彼方に消える 夜になると満天の星々と僕だけの世界 甘い静寂・・・ やがて星が溶けはじめる ひたひた ひたひた・・・ 胸を満たす

          リトルロックはあっちです。

          【ストロー体。】はソラに墜ちる

          あぁ樹は イチョウは そこに立って 千年先まで ソラに墜ちる 「瀧だ! 瀧だ!」(無音爆音・・・) 私たちは移動をする 時空をつかって移送をしている 一本の 棒かもしれない瀧かもしれない 立ったまま ソラに墜ちる! 転がり果てた今いるどこかで 小さく花がさくだろうか  〈タンポポの種〉を移送する(無音爆音…) 【気密の宇宙ストロー体。】 縦横無尽に気密をおよぐ 双極螺旋のアカとアオは すれちがいざま (目と目があうから)分かれたことも 今はうれしい

          【ストロー体。】はソラに墜ちる

          母さんにはもう僕が見えない

          母さんにはもう僕が見えない でも僕には母さんが見えるよ 兄弟たちはよく食べる ドングリを運ぶ母さんを 今日僕は何度も見たよ あの日の朝を僕は忘れない  母さんが僕を見つけた朝 春の陽ざしに照らされて 毛むくじゃらの寝ぼけた顔を持ちあげると リスの母さんが立っていたんだ  ツヤツヤの黒い瞳で 不思議そうに僕を見ていた  僕の産毛の匂いを嗅いだり くるりと巻いたシッポをたしかめると  母さんは 僕を抱っこして 巣に持ち帰ろうとした! ・・・でも できなかった 

          母さんにはもう僕が見えない

          俺の小樽

          どんどこザブンだ どんザブン 寄せては返す ブルースで どんどこザブンだ どんザブン 小樽は詩人の街だった 粉雪舞う夜 真っ白い 羊の皮のコート着て 胸元から 白い子猫の顔のぞかせて 父さんは 店のみんなと 家族を引き連れ 焼肉屋 いつものパーティー 子どもはジュース どんどこザブン どん座布団 どんどこザブン どんぶり勘定 洋服売ってた 蝶々のドレス 夜の蝶々がひらひら来て 月賦で買った その取り立ては 時に包丁沙汰だったけど 誰しも生きていか

          俺の小樽

          気密の蚯蚓(ミミズ)

          どうして目は  左右に仲良く埋まっているの? 父と母の古墳のようだ。草木の 丸い瞼の(寄せては返す…)むつごとは 【気密の家庭】のざれごとで(拮抗作用のシステムなのに) にょっきり突き出た社会の中では真逆の正義を吠えている。 拮抗ドームの 右の眼窩で 父の夜が 母の夜を 照らして吠えて裁いている。 ふたつの螺旋で力を生みだす 一本の 【拮抗ライト】は古代の【機密のシステム】で 遥かな宇宙トンネルだ(半分だけじゃ気密になれない)ビニール製の 【ストロー結束組織体】 垂直に立つ

          気密の蚯蚓(ミミズ)

          コンビニ妻③

               この女は ひょっとしたら      場合によっては 状況によっては        俺と 俺の母さんを          殺るのではないか・・・  というような 潜在する狂気の一滴 殺意の名残り 凄みが 私たちには無いのだそうです。それはそうです。云ってみれば 私たちは サンリオのぬいぐるみの男性版ですもの。ここが 「コンビニ妻」の限界です。ここからはもっとマニアックなルートでの展開となるでしょう もっとリアルで現実的な問題としては ヘッドギアが発する電磁波の影響があ

          コンビニ妻③

          コンビニ妻②

          桃源郷 ありとあらゆる桃源郷・・・ しかもリアルな桃源郷・・・ 私はあなたに要求しません(アイスクリームやエプロンなどの小さなおねだりは設定可) 私は浪費をしません(毎日三時間ほど充電してください) 私は暴力を振るいません(小さな胸ドンドンは設定可) 私は病気になりません(体温は37.5度までです。低温やけどを防止します) 私は太りません(お好みの範囲内です) 私は年を取りません(お好みの範囲内です) 私は突然実家に帰ったりしません(定期的に本社に送ってメンテナンスはしてもら

          コンビニ妻②

          コンビニ妻①

          こんにちは❣ 私は「コンビニ妻」の今紅子、コン・ベニコと申します。近日中にニコニコ・マートから発売される予定の「コンビニ妻」の試作品です。 今、お客さまがご覧になっている私の容姿は、お気に召して頂いて おりますでしょうか?(くるりと一回転する・・・) 私の容姿はお客様のお好み次第で、いかようにも変化いたします。アイドル、女優、昔の恋人、初恋の人、OL風、女子高生などなど・・・お好みに応じて設定して頂きますと、ホログラムとして空間に投影されます。 そして、触ることもできるのです

          コンビニ妻①

          ねこ神社

          その南の国では猫は「神様のお使い」として大切に遇されている。ノラ猫が石灯篭によじ登って花で飾った供物を食んでいても、人々は気にしない。そのしなやかな獣を微笑ましく眺めている。寺院では黄色い法衣をまとった少年僧らが磨き抜かれた床に座って経典を唱和しているが、その間を縫うようにして一匹のトラ猫が泰然と歩いている。まるで導師であるかのように。 日本国でもようやく機が熟したようだ。今では大抵の家で猫が大切に飼われている。「猫を切らさない」というのは密かにその家の主の矜持でさえある。

          カミ族の子ども

          うちのクラスにはカミ族の子が三人いる。カミ族は体が薄い。前から見ると普通の人間なのに、横から見るとまるで紙みたいにペラペラだ。だからカミ族の子は隠れるのが上手い。かくれんぼをする時はみんなでその子たちの洋服の色を覚える。三人とも白い洋服だったらお手上げだ。カミ族の子はなんとなく人気がある。薄くて軽やかでいつも笑っていて、気がつくと凧にのって空にいたりする。 カミ族はカミ族の家から生まれる。お父さんとお母さんがカミ族だったら子どももカミ族。片方が「カミ」で片方が「普通」なら、

          カミ族の子ども