【巨人傳】(昭和13年)故 伊丹十三監督の父、伊丹万作監督・脚本作品
大河内傳次郎、原節子
監督・脚本の伊丹万作氏の長男は「たんぽぽ」、「マルサの女」、「お葬式」などで有名な、故 伊丹十三監督
明治初頭の九州が舞台(?_?)。
原作はヴィクトル・ユーゴー「レ・ミゼラブル」(1862年)を翻案したものをベースに、西南戦争に至る物語を、伊丹万作監督が自身で脚色したものであるとのこと…。
伊丹万作氏の監督作としては、本作を遺作に、1946年(昭和21年)9月21日に満46歳で死去した。(本作の劇場公開時 38歳)
本作が劇場公開された後、伊丹氏は胸に障害を抱え7年間もの間、病床に就くこととなった・・
その短い生涯を終えるまでの、主だった活動としては「無法松の一生」(43年)の脚色を手がけたのみのようです。
或る村の村長 大沼の功績をたたえる銅像除幕式にて、大沼が簡単に鉄棒をねじ曲げる。
その様子を見ていた警官は、大沼がかつて「万力の三平」と呼ばれた極悪人ではないかと睨んでいた…。
荒くれ者だったが、僧侶に諭されて改心し、以後紳士として生きる。
村娘との不器用な恋愛も成就しかけるなか、気運を感じさせず西南戦争が突如始まる。
本当に突如なので軽く驚けるのだが、実は戦争が始まるときはそんな感じなのかも知れないですね・・
キャスト
大河内傳次郎 - 三平・大沼氏・未決囚三吉(三役、ジャン・ヴァルジャン相当)
原節子 - 千代(コゼット相当)
堤真佐子 - お國(エポニーヌ相当)
片桐日名子 - 幼時の千代(幼時のコゼット相当)
佐山亮 - 清家龍馬(マリユス相当)
丸山定夫 - 曾我部弥次郎(ジャヴェール相当)
汐見洋 - 和尚(ミリエル司教相当)
小杉義男 - 鳴門屋の主人(テナルディエ相当)
御橋公 - 仙波老人(フォーシュルヴァン相当)
今泉啓 - 五郎
清川虹子 - お仙(テナルディエ夫人相当)
英百合子 - お筆(ファンティーヌ相当)
小坂信夫 - 熊吉
柳谷寛 - 安造
島田敬一(新協劇団) - 検事
滝沢修(新協劇団) - 清家老人
正直、こうやって配役をコピペしてみても、もっとも原作に忠実に再現されていると評価の高いジャン・ギャバン主演の「レ・ミゼラブル」(1958)に触角がたたずVHS2本組の後半もカビさせてしまった。
ジャンルでもミュージカル映画が一番苦手なのもあって、配役がどうだとかいう比較を論じることが出来ない・・。
ヒュー・ジャックマン主演の「レ・ミゼラブル」(2012)のイメージからは到底本作と結びつくことはありませんでした。
いづれにしても、本作も視聴から2年近く経過しており、当時Twitter(現 X)にて呟いた文章に加筆できるほどの潤沢な記憶を持ち合わせていないのが現状でございます
じつは、伊丹万作監督作品は「権三と助十」と本作しか見たことがない。
作品は全22本、そのうち現存するのは8本(2本は断片)らしく、完全な形で見られるのは『新しき土』『故郷』『権三と助十』『巨人伝』の4作品。
『戦国奇譚 気まぐれ冠者』は75分、『赤西蠣太』は78分、『花火』は33秒のものが現存しているとの事です。