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U-17W杯で気になった選手を俺にベストイレブン形式で発表させてほしい。

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
これまで書いてきたマッチレビューとはまた違った趣向で自分の記憶を書き残そうじゃないか、という試みです。(いつか誰かがマドリー来たら面白いし。)
「FIFA U-17 ワールドカップ インドネシア 2023」を観ていて気になった選手をベストイレブン方式で11人、フォーメーションは今大会で多くのチームが採用していた4-2-3-1で。

・ベストイレブン

☆GK

Taha Benrhozil(モロッコ)

所属クラブ:Academie Mohammed Vl De Football

「今大会、良GK多くね?」これは今回のU-17W杯を観始めた筆者が最初に抱いた印象。
そんなGK豊作の今大会、公式の大会最優秀GKには優勝国フランスのArgneyが選出されたが、敢えてここはベスト8まで進んだモロッコを最後尾で支えたBenrhozilを選びたい。

公式スカッドリストでの登録身長は179cm。GKとしては小柄なBenrhozilの強みは圧倒的なスイープ能力とその判断精度
ボックス外への絶妙なタイミングの飛び出しで最終ライン裏にできるスペースを広範囲カバー。
PK戦にもつれ込んだベスト16イラン戦では2本のPKストップでモロッコのベスト8進出に貢献。
ゴールの左右どちらかに片方へ露骨に寄って仕掛ける相手キッカーとの心理的駆け引きには、小柄なGKなりの工夫があり、エンタメ力抜群であった。
(PKの際に動くのが早いという悪癖のせいで2回もVARチェックを受け、その内1回PKがやり直しになったという珍現象があったことも書いておく。)

憧れの選手はテア・シュテーゲンらしい。「モロッコなんやし、ボノでええやん。」って思ったことは言わないでおこう。

☆右SB

Da Silva Moreira(ドイツ)

所属クラブ:FC St. Pauli

最初は本当に舐めてた。その見た目とよく分からない雑なプレー選択。競る気のない空中戦。誰が届くねんみたいな対角フィード
しかし、大会を通してみるみるパフォーマンスが向上。(本来これぐらい実力がある選手だったというのは勿論あると思う。ですよね?違う?確変...?)
優勝国ドイツの右サイドを攻守で支え続けた。

基本的にはSBというよりはもう少し攻撃面に特徴を持つ選手で、どちらかと言うとWBの方が現状は適役かなと。
しかし、そんな中で大会を通して加速度的に守備も向上

最終的にはその成長速度に「U-17W杯とはDa Silva Moreiraが世界最高RSBになるまでの物語なのでは?」というヒロアカ的展開まで想起させられてしまったほど。
ピッチ上を駆け回る姿はまさに“頑張れって感じのDa Silva Moreira“だった。

☆右CB

Joachim Kayi Sanda(フランス)

所属クラブ:Valenciennes FC

後の章でも述べるが、CBコンビの補完性とその完成度が高い国が順当に勝ち上がって行った印象がある今大会。
右CBには統率力があり、守備面での総合的なバランスに優れた選手が多かった
ドイツのJeltsch、アルゼンチンのJuan Giménezあたりもその流れを汲む良CBであったが、ここは俺たちのKayi Sandaアニキを選出したい。

「所属クラブのトップチームデビューとなる試合でわずか9分で退場」という狂った記録を持つ問題児Meupiyouの手綱を隣で握り、フランスのキャプテンとして準優勝に貢献した頼れるCB。
対人の強さとカバーリング能力に秀でており、ラインコントロールも巧み。
フランスは準決勝までの5試合を全て無失点で勝ち上がっており、その堅守を語る上で彼の存在は無視できない。

2006年生まれというのも嘘だと思いたくなる風格。多分きっとほんとは32歳ぐらい。年齢詐称系CBとして今後その名を轟かせような。

☆左CB

David Odogu(ドイツ)

所属クラブ:VfL Wolfsburg

統率者が揃う右CBとは反対に、その隣を務める左CBには守備範囲が広く激しいアタックを繰り返せるフィジカル優位性を有した所謂ロマン型の選手が多かった印象。
前述の問題児Meupiyou、アルゼンチンの面白CBのPalaciosなんかはその代表格。
その中でも特に輝いて見えたのがOdogu。(ちなみに筆者が選ぶ今大会MVPはこの選手だったりする。)

「守備のフリーマン」と形容したくなるほど彼は非保持で自由を謳歌。
相手ボールホルダーへ迎撃を重ねて面白いようにボールを奪い切る。
対角フィードも綺麗な軌道のボールを蹴ることができ、“Nextリュディガー“という世間の期待の声もあながち間違っていないと思う。(あとは奇奇怪怪な身の振る舞いを身につけるだけ)
JeltschとのCBコンビの補完性は抜群で、2人の良いバランスもドイツを優勝へ押し上げる1つの要因であった。

最近はチェルシーやアーセナルといったプレミア勢からの興味の噂も聞こえてきており、嬉しいばかりである。
俺の目が正しかったことを是非証明してほしい。

☆左SB

小杉啓太(日本)

所属クラブ:湘南ベルマーレ

左SBは我らが日本代表からキャプテンを選出。忖度とかでは全く無いです。
身長は168cmと小柄だが、その分重心の低い守備を活かした対人能力に優れた選手で、今大会の日本の4試合全てで先発フル出場。
激しいデュエルを繰り返しながらずっとピッチに立ち続けた鉄人ぶりにも脱帽。

そして、特に印象に残ったのはベスト16のスペイン戦。
今大会のスペイン代表アタッカー陣でも一際輝いていた我らがマドリー所属のYáñezとサイドで対面し、封殺。
前半でYáñezが交代したことも合わせ、日本人マドリディスタを複雑な気持ちにさせる堂々のプレーを見せた。
また、筆者は同じく左SBでもプレーする神村学園の吉永夢希の強火ヲタクでもあるため、小杉と吉永が担っていくであろう未来の日本A代表の左サイドには今後も注目していこうと思う。

現在A代表のキャプテンを務める遠藤航も小杉と同じく湘南ベルマーレユース出身だが、湘南ユースは日本代表キャプテン育成プログラムみたいなのを開いてたりするのだろうか。

☆DM

Pau Prim(スペイン)

所属クラブ:FC Barcelona

ボランチの片方にはバルセロナのラ・マシアでプレーするPau Primを選出
今大会ではスペイン代表のキャプテンとしてピボーテの位置で躍動した。

スペインらしいTHE・4-3-3といったシステムにおいて、中盤の底を務めるこの選手は何と言っても頭の良さと盤面把握能力が突出していた印象
特に痺れたのがドイツ戦。ドイツの特徴的な「中盤ドブレによる相手IHの徹底マンマーク+トップ下によるアンカー消し戦術」を逆手に取ったポジショニングとオフザボールの動きでスペインの保持を支えた。
もちろん基礎技術は抜群なのだが、Pau Primにはスペイン人ピボーテにありがちな、“自分が保持を司る“という意識に捉われすぎることがなく、自分を消すことで味方を使う/使わせる術と有用性も確りと理解している印象を受けた
ブスケツ、ロドリに次ぐまた新たな覇権スペイン人ピボーテになってくれれば。

余談だが、瞳が異常に綺麗。ほぼヴァイオレット・エヴァーガーデンのギルベルト少佐の瞳と同じ色。いつかPrimの瞳と同じ色のブローチでもグッズ展開しよう。

☆DM

Hamidou Makalou(マリ)

所属クラブ:Guidars FC

今大会を語る上でマリを3位に導いたMakalouは外せない。
ピッチを駆け回る姿は宛らエンゴロ・カンテ。なんならアフリカナイズされたカンテといった感じでまた違った怖さを上乗せした選手。
同じくマリの中盤を担ったSekou Koneとのコンビは強烈で、今大会最も支配的な中盤を作ったのがこの2人であった。

アフリカ人らしい身体的素養は言わずもがな、ボールキャリーやスルーパスといった技術的な面でも頭抜けており、しまいには高精度の直接FKという飛び道具持ち
更に準決勝のフランス戦、後半AT7分という最終盤にとんでもない初速と最高速度でゴール前を駆け抜けたシーンは彼の化け物スタミナを裏付けるには十分すぎるほどの衝撃であった。

色んなクラブが喉から手が出るほど欲しくなりそうなパーソナリティ持ちの彼にはザルツブルクが熱視線とのこと。
筆者が思う今大会の「将来どのクラブでも多分成功してそうな選手ランキング」1位がこのMakalou。
憧れの選手はベリンガムらしい。センスまでよろしい。

☆右SH(WG)

Estevão Willian(ブラジル)

所属クラブ:SE Palmeiras

今大会びっくりするぐらい大味なサッカーをしていたブラジルにおいて、最も理性的、なおかつブラジル人らしい個の打開力を安定した出力で吐き出していたのがEstevão。
又の名をメッシーニョ。バルセロナの権化みたいな愛称。
めちゃくちゃクレらしい。改心するなら今のうちである。

ブラジルは毎試合何十本も雑にシュートを撃ちまくる狂気的なサッカーをしていた(9-0で勝利したニューカレドニア戦では81本のシュートを浴びせた。本当にイカれてる。)のだが、その面子の中でも圧倒的なシュートスキルを有していたのも印象的。
ニューカレドニア戦で沈めたカットインミドル、エクアドル戦で逆サイドネットを突き刺した対角グラウンダーシュート、彼の左脚の恐ろしさを世界に知らしめるには丁度いい大会だったのではないだろうか。

遅かれ早かれビッグクラブへ移籍するのは当確だと思うが、ラミン・ヤマルがいるバルセロナ、ケンドリー・パエスがいるチェルシーなど、微妙に食い合いそうな若手左利き化け物アタッカーがいるクラブへの移籍の噂が濃厚なのは気になるところ。
いつかクラシコで相対する機会もありそう、今の内に改めてチェックしておくべき存在かもしれない。

☆OMF

Claudio Echeverri(アルゼンチン)

所属クラブ:CA River Plate

トップ下には今大会最注目プレーヤーと目されていたであろうEcheverriを。
グループステージの日本戦、序盤から日本の心を折りに来る彼の直接FKによる得点を覚えている人は多いのではないか。
今大会、アルゼンチンの試合巧者っぷりは際立っており、序盤からペースを握って相手を飲み込む出力の中心にいたのがこの選手。

特筆すべきは圧倒的なアジリティ
その上でボールプレーも勿論抜群に上手いため、彼の一挙手一投足にきりきり舞いさせられるDFは数知れず。
そんなアジリティのおかげなのか謎にハイプレスが上手く、相手の出鼻を挫くプレーの急先鋒にもなっていた。
縦関係でコンビを組んだRubertoが8得点を奪って得点王に輝いたように味方を活かす事ができる上に、自身も紛れもないエースとして君臨する姿はやはり世代屈指のタレントであり、アルゼンチンを引っ張るキャプテンとしての矜持が見えた。

つい先日マンチェスター・シティ移籍が決定したEcheverri。(実際シティに加入するのは2025年1月)
デ・ブライネやフォーデン、同郷のフリアン・アルバレス等、ライバルは多いが今後はどんな選手になっていくのだろうか。
急に右SBとかやってたらおもろいけどな。

☆左SH(WG)

Joel Ndala(イングランド)

所属クラブ:Manchester City FC

左WGにはイングランドのNdalaをチョイス
勿論公式が選ぶ大会MVPに輝いたドイツの左WGのBrunnerには文句が無い。
しかしこのNdalaという選手がまぁ〜目立つ目立つ。

細身で長い手足、「俺はドリブラーですよ」と言わんばかりのそのビジュアル風貌佇まいは毎試合最低2枚の相手DFを引き付けていた
その分、周囲の状況を把握することや、浮いた味方を上手く使っていくプレーは今後の課題にも感じた。
ただ“何かやってくれる感“は今大会でも随一な選手であったことは事実で、実際グループステージ2戦目となるイラン戦では後半90分に角度の無いところからシュートをねじ込む千両役者にも。
今後はただの脳筋ドリブラーとして今一つ突き抜けられない選手になるか、プレー選択のバリュエーションを増やしてアンストッパブルな選手になるか、何れにせよ弩級の才能を有していることには変わりがない。

今大会のイングランド、面子的には良い選手が揃っていた(特に中盤とサイドアタッカー)割には然程“チームとしての“凄みは感じなかったんですけど、どうしたもんかね。

☆CF

Mathis Lambourde(フランス)

所属クラブ:Stade Rennais FC

我らがカマヴィンガを輩出したレンヌユースのストライカー。
今大会記録した得点は初戦ブルキナファソ戦の1得点。
正直、8得点を決めて得点王となったアルゼンチンのRuberto等と比べて地味な存在であったかもしれない。
しかし、フランス人CFへの偏執狂を拗らせている筆者が惚れたのはそのプレースタイル

身体にバネがあり、空中戦でも頼りになる。
ロングボールをジャンプしながら胸コントロールで収めるなどの芸当もできるため、前線の基準点としても機能。
プレーエリアも広く、サイドに流れながらの仕掛けや、フリーランで味方のスペースを創出する動きも装備。
フランス人CFなんてプレーエリア広くて器用なのが1番良いですからね。(なんなら右腕に包帯を巻いていた。もしやそういうことなのかもしれない。)

大会中アフロになったり編み込んでみたり、髪型をコロコロ変えていた。
流行ってるのかもしれないが、お前のことを覚えにくくなるから、初見のサッカーファンのこともちゃんと考えて髪型は固定してほしい。
いっそ坊主にしてみてはどうだろうか。相性は“おにぎり“になってしまうかもしれないけど。

☆フォーメーション図

以下、ベストイレブンの図です。

これは優勝できますわ。

・今大会の傾向と雑感

今大会で感じたトレンドをサクッと。

①GK、CBの充実
どこの国も質の高いGKを擁しており、シュートストップ、足元の技術、飛び出すカバーエリアの広さ、PKストップ、キックレンジなどなど、各々アピールポイントの差異はあれど大会全体で見てGKのレベルが高水準。

そして同様に良い選手が多かったポジションがCB。
CBコンビの役割分担や個性の噛み合わせによる補完性が意識されつつ、其々選手のキャラクターもハッキリしている国が多く、知らない選手ばかりのユース年代を観る上で非常に助かった。

この大会を勝ち上がるためには最低でも守備の要となるここ3枚のクオリティが担保されていないと話にならず、そんな最低条件を揃えた上で相手の強固な守備を砕けるアタッカーの有無が最後の勝負を分ける、といった一発勝負ならではの様相が色濃く映った今大会。
実際、決勝まで進んだドイツやフランスは何よりGK・CBの安定感が頭1つ抜けていたかなと。

②フィジカル優位とそれを活かす方向性の多様化
17歳以下という世代における身体能力の差、選手のアスリート化が進む現代サッカーの潮流、いずれの観点から観ても“フィジカル“が今大会1つのポイントになることは自然な話で。
特に今大会3位まで勝ち上がったマリはアフリカらしく11人全員が速く強く高い、単純なフィジカル優位で相手を圧倒できる大会メタのようなチームであった。(それだけに準決勝で1人退場となって敗退したフランス戦が惜しい)

そして、今大会MVP(ゴールデンボール)に輝いたドイツのBrunnerにも焦点を当てよう。
186cmのサイズとブレないフィジカルを活かしつつ、基本に忠実に半身の姿勢で相手を押さえ、サイドでボールを収める基準点として献身。
味方に息継ぎする時間を独力で担保し、その破天荒な見た目に反して今大会で最もチームプレイヤーとしてあり続けた。
数字に表れない部分以上に今大会の彼の貢献を測ることができる物差しはなかったと言えるだろう。

前時代的なCFやCBなどゴール前を生業とする選手だけでなく、 MakalouとSekou Koneコンビのような中盤やBrunnerのようなWGといったポジションでフィジカル優位を備えつつ、それを活かす新たな方向性を既にこの年代で証明するように選手達が輝きを放った事実は、サッカーの未来予想図をより明瞭なものに発展させたのではないか。

③アディショナルタイムが長すぎる
ほんといいかげんにしてくれ。

・おわりに

いかがでしたか?

とりあえず決勝のドイツとフランスから2名、その他は各国1名ずつという縛りで選出してみたが、やはり11人という枠に収まらないほど将来が楽しみな選手が沢山。
今大会で目立った選手、勝ち取った選手、悔しい思いをした選手、それぞれ得た物は違うが、いつかこの大会を糧にまた大きな舞台で輝いてくれることを祈って筆を擱こう。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
またそのうち何か書けたら書きます。
(ギュレルが活躍したらその試合のマッチレビュー書くって密かに決めてるんですけど、いつになるやら。)

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