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2024/2 バンコク旅行記 ep10:そして東京へ…
あらすじ
ルートビア美味しい! 一番好きなビールです!
バックナンバー(直近3回分)
本編
第1巡選択希望果物 バナナ(バンコク農業高校)
長かった本連載も、いよいよ終盤を迎えた。旅行最終日である。ただ、筆者が小学生時代から愛読する漫画『ONE PIECE』も、「あと半分」「いよいよ最終章」とかいいながらいつまでたっても続いている。読者としてはうれしい限りだが、本連載の読者がどこまでついてきているのか、分からない。
今日も今日とて、朝食ビュッフェで体を痛めつける。こうも毎日、同じマリオット系列のホテルでビュッフェが続くと飽きそうなもんだが、そうでもない。
例えばここ、アテネホテル ラグジュアリーコレクションホテル バンコクの朝食ビュッフェは、陳列している野菜や果物を指定して、その場でスムージーを作ってくれるサービスがある。目に入って気になった野菜や果物を適当にウェーバー方式で育成選手までの指名を終え、できあがったスムージーは全くひどい色だったが美味かった。とりあえずバナナと柑橘を入れておけばなんとかなる。
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その他、珍しいものとしては牛ベーコン。豚のベーコンは脂を楽しむみたいなノリがあるのに対して、牛ベーコンはなかなか嚙み切れず噛むほどにうまい。フレッシュさが絶妙に残ったビーフジャーキーという感じ。
バンコク滞在中に散見するもののまだ食べていなかった、つみれみたいな団子入りのヌードルも食べた。予想よりも団子の弾力が強く驚いた。
帰るのが一番面倒くさい
飛行機の時間が心の隅にふんぞり返り、気もそぞろになるので最終日は特に観光をせず、早めに空港に向かう。帰りのフライトは昼過ぎにバンコクを発つ。逆算すると午前中には空港についていないといけない。余談だが「電車の遅延を見越して早く来るように」という会社が多分世の中にはありそうで、それってどうなの? と思う。
電車の遅延を本当に見越すなら、電車になぞ乗らずに歩かなければいけない。だって脱線してそもそもその日は走らない可能性があるんだから。なぜ、数分~数十分の遅延を見越しただけの甘い見積もりで許されるのか理解できない。結局、それは人を管理したいだけのたわごと、あるいは「早めに家を出たんですけどね」といって安全を確保したいだけのくだらない保険に感じる。
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食事を終えてタクシーを手配してスワンナプーム国際空港へ向かった。空港からバンコクへの道は、ぼったくりにあった無力感と見知らぬ街に対する不安とワクワクがあった。今は名残惜しい。とともにはやく帰りたい。
旅行というのはあくまで旅行だ。何をいいたいかというと、結局最後は帰る。結局帰るなら、行く意味はない。とまではさすがにいわない。それは人間いずれ死ぬのだから、人生に意味はないというのと同じだ。
脱線した。要するに散々楽しんだ帰り道が一番面倒くさい。トイレに近づけば近づくほど高まる便意と同様に、家への距離や帰りの時間が近づくにつれて、ムクムクと帰りたい気持ちは強まる。筆者は、どんなに楽しい飲み会などでも心のどこかで「早く帰りたい」という思いを抱えて生きている。家にいない時間はあらゆる瞬間で、そう思っている。今はリモートワーク全盛だしフリーランスになってから「出社」という機会はないが、会社員時代は朝起きた瞬間から、あったかい我が家にいながら帰りたいと思っていたほどだ。
バンコクのタクシーはよく飛ばす。「ハッピーメーター」という概念があるが、タイの車はそんなのないんじゃないか? 日本と同じ100キロでもよっぽど早く感じてちょっと怖い。高速をスイスイ進み、小一時間で空港に到着した。
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土俵際まで食べ続ける
早々に保安検査を抜け、猿人・ハヌマーンのフィギュア系グッズを欲して練り歩くがどこにもない。無念。空港に着いてから、なぜか俄然ハヌマーンのグッズが欲しくなった。確か昔のウルトラマンに出てたよね、ハヌマーン。言葉の響きもいい。
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さて、早めに着いたのは飛行機の時間もそうだが、スワンナプーム国際空港にたくさんのラウンジがあるからである。筆者のような階級でもいくつかの空港ラウンジに入れる楽天プレミアムカードの威光によって、いくつかのラウンジを巡った。
まず行ったのはエールフランスのラウンジ。時間は12時前くらいだったと記憶する。客足はまばら。鶏むねにグレービーソースみたいなのがかかっている食べ物がおいしかった。パッタイもあったと思う。
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お次はMIRACLE Business CLASS LOUNGE。ここは珍しく、カウンターで注文するとカオマンガイをサーブしてくれる。味はまあ普通かな。これまで滞在中に食べたものよりは若干、落ちる。常設のチキンスープがうまかった。シンハーやチャーンビールだけでなく、LEOビールも置いてあった。
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最後、The Coral Executive Lounge。バーテンがいてカクテルを作ってもらえる。このバーテンの1人がやけに気立てよく、うれしい気持ちになる。缶ビールではなく生ビールだし、Federbrau Beerとかいう地元の高級ビールらしきものもあった。食べ物も豊富。訪れた3つの中でいちばんよかったかも。カオマンガイ用の鶏肉を無限に食べ続けた。しっとりしてて、かつ無駄にくちどけばかりが良いのではなく肉としての食感もあって異様にうまかった。
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はっきりいって、やっぱりこうやって書き直して考えると、ビールに飯にとやりすぎである。宵越しの銭は持たないスタイルなので、財布に残った微量の現地通貨をバーテンがいるスペースのチップ入れに全部ぶち込んでさっそうと出発ロビーへ。
最後の晩餐
出発ロビーは到着時と同じくサテライトのターミナルにあるので、空港内を走る鉄道に乗っていく。初日はやけに早くて怖かったが、今回はそうでもない。不必要にタイへ恐怖感を持っていたのだろう。何日も滞在するにつれてそうした感情は薄れていった。
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ロビーにつくと、周りは日本人ばかり。ああ、安心する。サクッと乗り込んで15時ごろ離陸。到着は日本時間22時過ぎ。とりあえず漫画でも読もうとしたが、ひとまず安心したのか眠気が来たのでちょいと仮眠。
起きると機内食のサーブが始まった。前の方から順繰りに近付いて来るCAの声に耳を澄ませると「ビーフヤキニク」と、あと何かもう一つあるようだ。俄然ビーフヤキニクが食いたい。往路の機内食は、2つのうち片方の売り切れており選択の余地がなかった。何とか残っていてくれよ。
果たしてビーフヤキニクにありつけた。調子に乗って赤ワインなんかもつけちゃって。甘辛系の味付けでメシが進む。実はメインの牛肉よりも右上にある魚の南蛮漬けみたいなやつの方が気に入った。満足である。
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腹ごしらえも済み、おやつとして配られたどら焼きも平らげて、いよいよ旅も残すところあとわずか。いやー、文字通り食い倒れの旅だった。そんなのんきなことを考えて、タブレットで漫画を読み始めたところ筆者を異変が襲った。
今回はここまで。お読みいただきありがとうございました。多分次回が最終回です。