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2024/8 中欧旅行記 ep4:酔いどれに金をせびられる
前回のあらすじ
広島東洋カープ、ついに天敵・阪神大竹に土を付ける
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本編
●バスで移動、ベーカリーで朝飯
フライトと乗り継ぎを合わせると総計20時間ほど、やっとハンガリーはブダペストに到着した。ひとまずバスで中心地へ向かう。だいたい30分ほどだったろうか。何が、というわけではないがどことなくロードサイドの風景に日本らしさを感じる。
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終点の Deák Ferenc térで下車して、朝食をとるために近所のベーカリーへ。その辺にあったスーパーに一瞬入ると、電動キックボードを携えて店内に入ってくる奴がいてたまげた。
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まだ朝も早い時間なので、通りには観光客が目立つ。訪問したのは「Vaj」なる店。観覧車のあるエルジェーベト広場からすぐ近くにある。
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時間的に、空いている店が少ないこともあるだろうか、そこそこの賑わい。メニューが英語ではなくハンガリー語なのでよくわからん。読み方も分からないが、それっぽくモゴモゴ注文した。飲み物は、暑いコーヒーを飲む気にもならず、メニューにあったコールドブリューを注文するも、用意がないとのこと。うまく聞き取れなかったが、同じような冷コーっぽいのはあるらしいのでそれをオーダーする。
食べ物は、ハンガリーの国宝豚であるマンガリッツァを(たぶん)使ったサンド。クリームチーズが多い。あまりクリームチーズは好きではないのだが、酸味が肉のスモーク感とマッチしていてうまい。全体の満足感はあるが、肉をもっと食いたい感じである。
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●渋沢栄一のせいで怪しまれる
のんびりしているうちに、街に人が増えてきた。いろんな店も開き出す時間だ。換金所へ向かって円をハンガリーの通貨であるフォリントに換える。何の気なしに、最近福沢諭吉に代わってその座を射止めた渋沢栄一の万札を出したところ、めちゃくちゃ怪しまれるも無事にフォリントへ両替成功。
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今回はスーツケースを持たず、荷物はリュックのみ。とはいえ、6泊分の荷物は相応に重たい。いったんホテルへ荷物を置きに行くことに。地下鉄に乗るために、10枚つづりの切符を自動券売機で買ったら発券がとんでもなく遅かった。1枚当たり10秒以上はかかっていた。
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そういや空港からのバスチケットを買うマシーンものんびりしていたな。日本のように分単位の行動を前提にしていたらすり減るだけ、徐々にルーズな感覚へ身体を慣れさせる必要がありそうだ。
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●酔いどれに金をせびられる
さて、この日から2泊するホテルはBenczur Hotel。地下鉄M1の「Bajza utca」駅から歩いて5分ほど、路地裏に面しているが目抜き通りのアンドラーシ通りから1本入った路地であり、大使館なども多く治安は良さそう。駅近だし、英雄広場やセーチェニ温泉へのアクセスも良く、構えも立派でE感じ。
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昼飯の時間までほぼフリーみたいなもんなので、英雄広場のある市民公園をぶらぶらする。英雄広場はアンドラーシ通りの北端にあり、国にゆかりのある偉人の像が立ち並んでいる。一部工事しているところもあったが、まあ壮観。それ以上の感想は、特になし。
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市民公園にもいくつか銅像があるが、同国の政治家とかばかりでよくわからん。まあ、のんびり歩くだけでも異国の雰囲気は味わえる。南東へと歩いていき、昼飯の店として目星をつけていたレストラン「Paprika」に到着。
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どうも観光客に人気が高い店らしく、予約したかったものの電話対応のみ。事前予約は断念し、早めに店へ行く戦略を取った。開店時間は正午。20分ほど前に着き、先客はゼロ。テラス席は全て「予約」の札があるけど、まあ中まで全部満席ってことはなかろう。店の前で立ち尽くしている間に酒瓶を片手で持った飲んだくれみたいなやつから金をせびられるも、ハンガリー語は当然として英語も全く分からん阿呆のフリをして乗り切る。酒瓶で頭をカチ割られるとかされなくて良かった。
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●久方ぶりのまとまった飯 グヤーシュとジプシーステーキ
開店時間になり、無事屋内席に案内される。ログハウスみたいな内装で雰囲気が良い。ハンガリーの郷土料理・グヤーシュと、ジプシーステーキをオーダーす。
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前者は根菜や牛肉を煮込み、パプリカパウダーで味付けしたもの、いうならば日本の味噌汁みたいなもんか。いろんな店でメニューにある、素朴なスープである。吊るして提供するのが一般的なのかね。この後いろんな店で頼んだけど、全部こんな感じだった。後者は豚肉をたっぷりのにんにくとソテーしたトンテキみたいなもので、カリカリに焼いた脂たっぷりのベーコンも一緒に供される。
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空港ラウンジや機内食でちょこちょこ栄養補給してきたが、店での飲食は、出発前の羽田以来30時間ぶりくらい。寝不足ではあるが食欲十分、分厚いトンテキと滋味深いスープが染みる。ビールと合わせれば抜群にうまい。ベーコンも一見脂身だけではあるが、かなり念入りに火入れされてカリッカリなので、意外とイケる口である。噛むとクリスピー、脂はすぐに香ばしい香りと甘みを残して溶けていく。
グヤーシュはそのままでも牛肉と根菜のダシが出ていてうまい。が、味変要員の辛味ペーストみたいなのを混ぜ込むと、さらに味に広がりが出る。辛い食べ物はあまり得意ではない筆者でも、匙が進む。
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いやー美味かった。体力も若干回復、「よし、午後もいけそうだ」と店を出た筆者。この後地獄のような熱波とアップダウンが襲うとも知らず――。
今回はここまで。次回は、前段落の通り。