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「常識」に潜む落とし穴?自治体営業において過信してはいけないこと3選!


はじめに

こんにちは!リクロスの木藤です。

今回は、自治体営業において言われがちであるものの過信には気を付けた方がいいと思うことを3つ書いていきます。

誤解を与えてはいけないので何度かお伝えしますが、それぞれの内容自体は間違いなく正しいです!

が、言葉通り受け取りすぎると自治体ビジネスの成功から遠ざかる内容でもありますので、解説していきます。

よろしくお願いいたします!

自治体営業において過信してはいけないこと3選

①「総合計画を必ずチェックしましょう!」

総合計画とは、地方自治体が策定する自治体のすべての計画の基本となる、行政運営の総合的な指針となる計画のことです。

百聞は一見に如かずですので、ご参考までに、名古屋市総合計画を見てみてください。

法人への営業活動の際にHPやIR資料を事前にチェックするのと同様に、自治体営業においても「総合計画を必ずチェックしましょう!」と謳われていることが多いです。

しかし、私の公務員時代や自治体営業支援の経験から、真に受けすぎると企業様はギャップを感じるのではと考えています。

いくつか理由を挙げます。

そもそも職員の方が把握できていないことも

総合計画は企画部門が取り扱っていることが多いので、企画担当課の方はもちろん内容を把握しているでしょう。意思決定が主な仕事である管理職の方も、意思決定の根拠となる計画の内容は押さえていることと思います。

しかし、民間企業の方が自社のIR資料を必ずしも把握しているわけではないのと同様に、自治体の担当職員の方々も、自身の担当分野であったとしても総合計計画の内容を把握できていないことはあります

実際、自治体ビジネスに関わる企業様と話していても、

  • 総合計画の内容を職員が把握していないことはある

  • 総合計画に記載されている内容に沿ったサービスであっても、反応が悪いことも

  • 逆に、記載されていない内容のサービスが食いつき良いことは全然ある

といった話を聞くことも珍しくありません。

総合計画自体が形骸化している場合もある

また、総合計画自体が形骸化している場合もどうしてもあるようです(私の専門ではありませんので、詳しくは公益財団法人日本生産性本部の記事に譲ります)。

事実、仕事で知り合った企画課の職員の方から「総合計画に記載があるのに、財政課の判断で予算がつかないことは全然ある」と聞いたことがあります。

コロナ禍や選挙など大きな出来事に限らず、自治体の方向性に影響を与えることはいくらでもあります。

その場の意思決定として、首長や財政課が総合計画の記載とは必ずしも合致しない判断をすることは、批判できるものではないでしょう。

弊社が自治体営業を支援する中でも度々感じますが、仮に「サービス導入」を成功とするのであれば、総合計画への記載の有無よりかは、自治体担当者の熱量や企業側の営業努力の方が大事なのは間違いありません(サービスを導入した後の課題解決がいちばん大事なことは言うまでもないでしょう)。

少ない営業人員で全国約1,700自治体にアプローチするには、総合計画を見ている時間がないこともあるかと思います。

もちろん話が進んでいった際は計画をチェックした方がいいと思いますが、自治体担当者の方が把握していないことも想定し、「計画の内容を把握しつつも、言質を取ったかのように言及するのはやめておく」くらいがちょうどよい塩梅だと考えています。

②「自治体営業は○月にアプローチしましょう!」

自治体のスケジュール把握の重要性を訴える内容は多くあります。予算要求前に要求内容を当然検討しますので、「○月」は6,7,8月あたりになることが多いでしょう。

上記の内容は全く間違っていないですし、私も「1年間で3か月だけしか営業できないとしたら、6,7,8月頃にしましょう」と提案します。

しかし、「自治体営業は○月にアプローチしましょう!」というメッセージが強調されすぎるあまり、年に1回その時期だけアプローチする企業様が少し多い気がします。

そのせいで(おかげで)、私が公務員時代に年に何度も連絡してくださったり、訪問してくださった企業様のことは今でもバッチリ覚えています。もちろんイチ職員として良い印象を持っていました。

自治体営業によって自社のサービス導入に繋げたいのであれば、単純に自治体職員との接点をもう少し多くしてみましょう。

私がリクルート(旅行領域)在籍時、強い競合がいました。私に限らず他のメンバーも、競合の営業担当に負けないよう毎週のようにメールでの情報提供を重ね、宿泊施設の近くに寄ったらちょっと顔出して挨拶することも当たり前のようにやっていました。

自治体営業においてそこまでやっている企業様は少数ですし、全自治体にそこまでやれないとは思いますが、営業力でかなり差をつけられるのは自治体ビジネスの特徴だと考えています

(単純にサービスの良し悪しだけが明暗を分けるのであれば、使い勝手の悪いシステムなどはもっと減っているでしょう。)

③「事業者選定プロセスはフェアです!」

大前提、間違いなく自治体の事業者選定プロセスはフェアです。当然フェアでないといけないのであらゆるルールが規定されています。

しかし、事業者選定プロセス前はどうでしょうか。

プロセス前においてはルールがない部分もあり、やろうとすれば以下のことができる自治体も多いのではないでしょうか(やろうとすれば、です。念のため)。

  • 随意契約している事業者以外の話は一切聞かない(お断りする)

  • 仕様書を確認してもらうのは意中の一社だけ

  • 予算が確保できたことを伝えない

  • 公示したことを伝えない

そのような中で自社が選ばれるには、やはり自治体担当者としっかり関係構築するのは必要不可欠でしょう。

年1回のアプローチで関係構築できれば理想ですが、そう簡単ではないと思います。

自治体ビジネスに取り組むor取り組みたい企業様におかれましては、自治体職員の方と長期的な関係構築を念頭に置いて活動していただけますと幸いです。

最後に

自治体営業において過信してはいけないこと3選を書いてきました。

書いていて感じたのは、自治体営業は確立されたやり方があるように見えて、表に出ている情報と実態に乖離があることです。

今後も少しでも企業様の役に立つ記事を書き、間接的であっても全国の自治体に良いサービスが届くことを願っています。

引き続きよろしくお願いいたします!

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