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子供優先主義や子供第一主義について ~自尊心自己肯定感と甘やかしの暴走~

時代の影響や今風の教育方針の影響やらで、子供のことを第一にしようという風潮が強い気がします。何事もやり過ぎれば、毒なので、色々考えた事を整理しておこうと思います。




子供優先主義や子供第一主義とは

子供を行動理由や優先順位の上段におくこと。時と場合と人によっては、社会や他人にまで、その行動原理に許容と承認を求めること

自己定義


人により温度差はあると思いますが、子供が生まれると、子供を理由に行動原理が変化します。大別すれば3タイプで。


1、子供が生まれようが、これまでの生活から変化しない子供非優先
2、子供がいても、必要なことや何やらの時は、大人の都合で動く
3.子供が最優先で、大人はいつも後回し


赤ちゃんがいても深夜のドンキ行くけどなにか?みたいなのが1。お昼寝時間でも、ベビーカーやだっこ寝かせしておけば、買い物とか外出してもいいじゃんぐらいが2。子供のお昼寝はすくすく育つ時間。ひたすら静かに。夜の寝た後に、保育園準備やら持ち帰り仕事やら必要なことは全部やろう!というのが3ですね。

もっと細かく見れば、子供を一人で遊ばせて、自分は近くのベンチに座って、スマホをポチポチする人かそうでないかとか。子供にビデオを見せ続けて大人しくさせて、育児の手を抜こうとするかしないか等々。どこまで子供を優先するかの優先度の線引きは人により様々あります。





子供優先主義や子供第一主義の背景

子供優先主義の背景には、次の要因が関わっていると思います。


1、子供の価値存在感の上昇
2、子供の期待必要値の上昇
3、その時代の教育方針指針
(4、個人の気質性質、保有資源量)

核家族化や少子化に伴い、各家庭世帯(各家庭の成人対子供比率)の子供の数が減りました。大人5人で子供1人、母親1人で子供1人を比べれば、後者の方が、裁量権が増し責任感や影響力が強くなる結果、子供への密着優先が起きやすくなります。また、マクロに見て社会全体に子供の数が減れば、相対的に子供の価値が上がります。需要と供給で少ない方が価値があがり、価値が高いものほど大事にされやすく子供優先に傾きます。

社会の成熟化に伴い、成人した時に必要になる能力の期待値が上昇していきます。付加価値の高い稼げる仕事についてもらうべく教育への投資が増大するわけです。つまり、わが子の成長を促す必要性が上昇し、子供が優先されるようになりやすいわけです。ただ、経済成長が著しい未来が明るい場合ならば、なんとかなるさ~とそこまで執着しないかもしれません。しかし、デフレや厳しい経済成長経済状況で将来見通しが悪い程、子供への期待が増加します。言い換えるなら、暗い未来だからこそ、入念な準備をさせてやりたくなるわけです。

最近は、自己肯定観教育が流行っている気がします。その時代時代で教育方針に違いはあると思いますが、現代の自己肯定観教育は、”子供の心に寄り添う””子供の心を否定しない共感する”等々、子供の心や情感を大事にして、自信と幸福感を子供に手に入れて欲しいという教育観です。しかし、これは甘えさせと甘やかし、叱責と許容、肯定と否定や強制の境界線が曖昧になります。そのため、悪く言えば、子供の顔色をうかがうようになりかねないリスクがあり、子供の気持ちを大事にするあまり、子供優先に傾きやすい教育観です。

これらの要因は、それぞれ同士でも絡まり助長しあいながら、子供優先を推進する力学となって働きます。つまり、社会の成熟化は子供優先主義に繋がりやすいともいえます。さらに言えば、一度子供優先主義に陥ると、サンクコストの心理(既に色々つぎ込んだんだから、今さら後戻りできない)が働き、ますます誰彼の子供優先で子供密着は強まることでしょう。ただ、最終的には、各個人の気質や考え方や持っている時間お金の量等で、子供優先主義の振れ幅に大きな差はでてくるでしょう。





子供第一主義、子供優先主義の功罪

・子供の愛着形成がはかどり、自尊心が高まる
・子供を傍でよくみることになり、子供の適性や気質を把握できるようになる。子供への適時適切なサポート体制で、早熟や能力拡大を促せる。

・自身の存在理由が子供だけになる。他の事柄への興味関心が薄れる。
・余計に子供への執着や密着が起きやすくなる。子離れできず、成人後に自分のやりたいことや生きる意味を喪失して幸福度が下がる。
・子供への依存とも言える密着により、子供の健全な成長をむしろ阻害する可能性が生まれる。
・パートナーとの仲が悪くなる

自尊心自己肯定感を持たせるために、できるだけ子供の心に寄り添う。子供優先主義はその狙い通りの効果を発揮すると思います。また、そばでよくみることになる分、子供が今どんなことに興味を持っているのか、どういう性格なのかを把握しやすくなり、サポートがしやすくなります。能力が早く開花成長します。

しかし、子供優先で子供だけが今の支え、やることやるべきことになっていると、その子供が成人し手を離れるとぽっかりと心に穴が開いてしまいます。さながら仕事一筋だったせいで、定年後は家でゴロゴロしかしない男性のようです。

仕事にしか興味がないということで仕事に打ち込むことは、仕事の成果を上げるかもしれません。しかし、子供にしか興味がないとして子供に密着することは、子育てや子供の成長に必ず+に働くとは限りません。ヘリコプターペアレントといわれるような、子供のそばで常に子供を監視しているような環境下や振る舞い方をしてしまうと、子供に悪影響がでます。例えるなら、いちいち細かい面倒くさい彼女でしょうか。自分的には気にならなかったり、自分で決めたい時に、口を挟まれたり泣かれたり文句を言われ続ける。そうなってくると、いちいち言い争うのも面倒臭いから、常にその彼女の意見ばかり採用するようになる。これがはたして健全でしょうか。

子供優先主義は、パートナーとの関係性を悪くします。二人にとっての大事な子供にエネルギーを最大に注ぐことになんの問題があるのか?と思う人もいるかもしれませんが、子供を仕事に置き換えるとどうでしょう。二人の生活や将来に必要なお金のために仕事に最大限に打ち込む。デートや遊びや会話の時間さえも、仕事が優先されて、遊んだりしゃべることが難しい。なにをするにしても、あぁその日は仕事があるんだ……とばかり繰り返され、パートナー < 子供優先が続く。私と仕事どっちが大事なの!?子供と私どっちが大事なの!?という気持ちになります。過度の子供優先主義は二人の時間がなくなるせいで、不仲になります。そして最悪の場合、不仲になったからこそ、手元に残った子供に注力しようとますます躍起になり、子供優先主義が加速する可能性もあります。





自尊心自己肯定観教育への疑問

社会という荒波を、自ら乗り越え進める大人になって欲しい。そして幸せになって欲しい。それには、教育や成長への投資と、自信(自己肯定観)が必要だ。それなら、子供の適正や能力を見極めつつ、色々サポートしなきゃだし、子供の心に寄り添って、自信自己肯定観をつけさせよう!!!

こんな論旨で、子供優先主義は採用され重宝されている気がします。まさに心の時代の反映投影をしているなと思います、


最上段のこの狙いは正しいと思いますが、社会の荒波を渡っていく力を子供が得るには、自己肯定観教育、心への寄り添いが正解なのか疑問です。例えば、冬の荒れた日本海の波の中を、自信だけで乗り越えられるでしょうか。登山で遭難した時に、自己肯定観(自分はやれるできる)だけで全てを解決できるのでしょうか。

本当に必要なのは、確かな自信とそれを裏打ちする経験実績。そして、ほんの少し見栄を張ったり昨日の自分より少し大きく踏み出す勇気だと思います。言い換えるならば、ただ自信を、勇気を大事に!!と繰り返しても、そこに経験と実績という裏付けがなければ結局は失敗して、最終的にはうまくいかないと思います。

人により、様々な教育論はあると思いますが、私は問題解決力観教育といった狙いの方がしっくりくる気がします。

・自信、自己肯定観の構築
・経験や実践をさせること。似たことで成功したという自信と見通しの構築
・能力拡大の適切なサポート
・その子の気質適性を理解して、その個性での社会の渡り方のアドバイス

社会の荒波を渡るには、経験や体験に裏打ちされた実績能力がいる。加えて自信も必要である。その経験や体験を得る手助け、経験や体験からどうすればうまくいくのかを適切に的確に親が教えることで円滑に学べる。そして、荒波を渡るにしても、各自が選んだ船や漕ぎ方や泳ぎ方がある。その特性があるのだから、それを踏まえた荒波の進み方をレクチャーしてあげる必要があると思います。





おわりに

子供第一主義、自己肯定観教育にどっぷりつかっていた気がします。でやってみて3年間余り、なんかこう違うなぁ。これはこういう弊害がありそうだなぁと思ったので、色々と整理してみました。特に、パートナーとの関係が不仲になる効果は、想像していませんでした(二人だけでお出かけして、二人だけの体験をして語り合うのが大事です。当たり前ですが・・・。) また、甘やかしについても同様です。

親が近くにいなければ、一人で遊び始めますし、わがままや甘えを言わずに、一人でやりきるんですよね。親がいるから甘えられる、甘えてくる。この辺もモヤモヤしますね。庇護があるからこそ安心して羽ばたける!還ってこれる場所があるからこそ少しの勇気と挑戦ができる!という理屈を聞きます。そういう甘えさせてあげるの(庇護)は大事という反面、庇護があるから親に甘えて楽をすることを覚えて、手を抜くという影響もあると思います。最後は助けてもらえるんだから~と思って危機感がなければ、頑張ったり挑戦しない子もいるわけです。

自己肯定観教育は、健気で真面目ですこしだけシャイな子には有効かもしれませんが、その他多くの子供にはただの甘やかしの暴走に繋がりかねない、そして夫婦仲や個人の幸福感も減衰させかねない教育観に思えます。

最後になりますが、子供を成長させる一番の劇薬は、何かといわれたら、親が早くに死ぬことだと思います。いくつかの偉人で、両親が早くに他界して庇護が一切なくなり、厳しい中でもまれたから成熟成功したという話があるからです。これも全員に適用通用する教育観ではないのですが、それがその子にとって一番合っていたわけです。

子育ては難しく、その子に合う方法も様々あるので、自己肯定観教育にだけ囚われないようにした方が良いよねという話でした。



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