手が平熱
道化師のまなざし溶けてしやぼん玉
蝶沈む残照を野のなぐさめに
クロッキー手が平熱を苦しめば
らんちうは誤植のやうな泡を醒め
まなぶたに血管透けて遠き雷
八月や千円札に血の掠れ
手花火のあとさきに頰もてあまし
きちきちばつた空のいづこも苦からう
忘れた鞄が流れ星を生んだ
湯に浮かぶ躰は月の器として
黄落や眠りの満ちてゐるやうな
鷹の弧へ肉はほろびぬニュータウン
聖ザビエル祭の離れ眉のくらがり
室咲の火影にドストエフスキー
探梅の顔でさみしくなつてをり
(第1回鱗kokera賞応募作)
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開店前から注目していたのに、屋根裏バル鱗kokeraにはなかなか行けなかった。予約しておきながら、直前に急用が入ったり熱が出たりしてドタキャンが続き、ようやく初kokeraできたときは最初の「お邪魔します」メールから数カ月が経っていた。まるっきり行く行く詐欺。
俳句の知り合いが少ない私にも、鱗kokeraはやさしい空間だった。
鼓太郎さんや一実さんをはじめ、会いたかった人とたくさん会うことができた。あと生き別れた弟にも。
記念すべき第1回の鱗kokera賞は、内野義悠さん。たしか義悠さんと最初に会ったのも、やはり鱗kokeraだったような。本当におめでとうございます!
なかなか行けないけど、またクラフトジンを傾けて楽しくおしゃべりしたいな。
あと、火尖は終電を逃さず帰ること(業務連絡)。