蘇える変態、電車にて
星野源さんの蘇える変態を読み終えた。
2011年~2013年で、女性ファッション誌、GINZAに掲載されていたそうだ。内容は、もう、最高にくだらない。最初から飛ばしている。
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舌を吸うと、母乳の味がしませんか
P5 おっぱい
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何を言っているんだこの人は。
星野源さんと言えば、逃げるは恥だが役に立つ。で、ガッキーの相手役をやりながら主題歌を担当するというとんでもない実力の持ち主だが、その裏側では「レコーディング2時間前なのにまだ曲ができていない」と言うことをエッセイに書き殴ったり「イライラの解消の仕方がわからない」と、悩んだりしている。
いつもにこやかな星野源さんだからこそ、このエッセイから見られる裏側に、人間味を感じる。演技も音楽できて、ずっとニコニコしていると思いきやエッセイではAVについて語る。眠れない話をする。おじいちゃんの話もする。
これが、ファッション誌に載るなら、私も結構ファッション誌を楽しめるかもしれない。その手の雑誌は以前手にして、アイラインの引き方に感銘を受けたり、化粧品の広告のターゲット層ごとにキャッチコピーが違ったり、メイクの仕方に特徴があったりする部分だけ楽しんで、本来の趣旨であるファッションやこうしたエッセイはほとんど読まなかった。
しかし、話は突然急展開を迎える。見開きで真っ黒いページが挟まれた次の章「生きる」
ーーありのままを書こうと思う。
と始まったこの章は、例によってレコーディングに曲が間に合わなさそうだ。という話から始まった。必死になって詩を書き上げ、慌ててスタジオに入りレコーディングをしている途中で、倒れた。救急搬送、そして検査をして、診断はくも膜下出血だった。
そこから、星野源さんの闘病生活がエッセイでまとめられている。苦しかったこと、辛かったこと、何度も吐いて、一人の夜は心細くて、全く動かない体に一分が途方もなく感じられる痛みだけが襲う毎日。そして、それ以上にうれしかったこと、お医者さんとのやりとり、支えてくれた人、普段のエッセイと同じ日常として、その日々がまとめられていた。
医者ってすげぇな。と、思った。脳の手術は、言うまでもなく難しい。特に、脳は一度出血してしまうと、すぐに傷つき、後遺症が残る。そんな患者の命を預かることになる。星野源さんの感じる恐怖。そして、その周りにいる人たちの不安にも向き合い。難しい手術である事や、手順をすべて説明する。何が起きるのか、どんなリスクがあるかどれほど難しいかを説明した上で星野源さんの担当医は「でも私、治しますから」と言い切るのだ。
すべてを知っている上で、そこに向き合い、説明をし、また、自分は大きな責任を背負った上で「大丈夫です、絶対治ります」と言える勇気。どんなに難しいかを自分で確認しながら、それでも不安を出さずに「大丈夫ですよ」と笑って言える人がどれだけいるだろうか。
私だって、そう言える人になりたい。自分の手で何とかしないといけないときこそ。
「大丈夫です、できますから」と
笑っていえる人になりたい。
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