無神経な時計
Google Pixel wach3を買った。
新しい職場が兎にも角にも通知が飛び交う職場なのだ。労働時間がきっちりしているが、労働時間中はひっきりなしに通知がピュンピュン飛んでおり、即レスポンスがほしいという。私はチラチラスマホを見ていたが、皆さんどうしているのかと手を見てみれば、スマートウォッチをはめている。
なるほど、そいつは便利そうだ。ということで、ガジェットに関してはいつも相談している友人Yに連絡するとすぐにいくつかのスマートウォッチを見繕ってくれた。しかし、どれが自分に合っているのかよくわからん、と首を傾げていると今度は妻がフンフン鼻を鳴らしながらやってきていくつかの支払いプランを見繕ってくれたのである。
こうして需要と供給の間に立つことのできた私は、全く未知のスマートウォッチをとりあえず新しいものだからとゲットして職場へ向かった。
その2日後。
原因不明の高熱に倒れていた。
熱が39.5℃まであがったのだが、検査をしてみたところ少なくとも血液に異常は見られないそうだ。コロナだったとしても特に打つ手はないということで、なんなのかはわからないが抗生剤を飲んで横になっていてください、とのことだった。体中の関節が痛み、頭も痛い。どの体勢になっても楽にはならず、ギシギシとした痛みとズンズンとした痛みのマリアージュを感じながら順番を待ち、薬を待った。
待つ、というのは本当に状況次第である。スマートウォッチも、到着まで二日ほど待ったのだがあっという間に感じられた。その一方で、痛みに耐えながら待つ10分の長い事長い事。
しかも、待つだけではまだ治療でも何でもないので良くなるわけではない。薬をもらって、飲み、横になって「ちょっとマシだけど寝返りを打とうとか余計なことを考えると、痛いな」と天井を見る。考えると痛いのだ。体は反射で動こうとしているし、体も考えたくないんだろうがそうして迂闊なことをすると体には神経が通っていることを認識させられる。保険の授業でやってくれ。
神経といえばそう、最近ストリートファイターをしているのだが、このゲームつま先はもちろん「手があった空間」にもギリギリ神経が通っていることがあり「あたった!?」という新鮮な驚きと足のド先端であろうとも全力でパンチされたら怯むくらい痛いのだと再認識させられる。
ただ、納得いかない技も多い。そもそも、波動拳とやらも修行したから使えます、という顔をしているが全く意味がわからない。あと、別のキャラはくるくる回ってこちらにキックするモーションをすると竜巻が吹くという私が小学生の時に考えた必殺技と奇しくも同じ技を使う男がいるなど、いざ使われると小学生の考えた技って本当に鬱陶しいんだなと実感させてくれるキャラクターもいる。
無敵バリアもそりゃ実際使われたら文句の一つもいいたくなるが、シンプルに攻撃手段として攻撃範囲が優秀な技に仕上がっていたとしてもそれはそれで「その動きはズルでは?」と一言物申したくなるようだ。
鬼にボコされ、お兄さんにもボコされているが、そういうやり取りが面白いゲームなのでボコされるのを楽しんでいる。のだが、友人はそんな私を見ている。このゲーム、人の対戦は自由に見られるのだ。私も友人の対戦は見られるが、ほぼ全く見ていない一方、友人はあるのか無いのかわからない私の新規対戦を検索して見ている。怖い。機能としてあるので仕方がないが、ねっとすとぉかぁというやつなのではないか。嫌ではないが、どこからその情熱が来るのかは謎である。
スマートウォッチには、過度なストレスを感じると警告してくれる機能があるそうだが、今のところ少なくともゲーム中には作動していない。他の場面でもまだ作動していないが、つけて眠ったりするなど寝食をともにすると徐々に私の生活リズムや、こうして夜ふかししていることなどを覚えていき、ポケモンスリープに「こいつ全然寝てねぇっすよ」とチクったりしてくる。いざ時計をつけると眠れないとか、そういうこともあるんだから考慮してほしい。
時計は時計で無神経だし、ゲームはゲームで神経質なくらいに判定が厳しい。ちょうど中間、というものがなかなか難しいのは私に似ているのだろう。妻や友人の力を借りて、ちょうどいい部分を探せたら、いい。もう、それだけでいい。
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