『物語思考』 - やりたいことは見つけなくてもよい
やりたいことがない
「やりたいことがやれているか」
「やりたいことをやってほしい」
最近、会社の上司から言われた言葉だ。
多くの人が自分のやりたいことを見つけ、それに向かって行動しようとする。
それが人生をより充実させるために必要なこととされている。
やりたことを実現するための具体的な行動やプロセス作りは、テレビ、本、Youtube、あちらこちらで紹介されている。
やりたことを見つけたい人や、現状に満足していない人にとっては、有益な情報とされるだろう。
しかし、私自身はというと、こう言った問いかけに対して、まともに答えられた試しがない。
そもそも、
やりたいことがない。
学生時代の進路相談や、会社のキャリア面談では毎回沈黙が続いていた記憶がある。
やりたいことなんてみつけるな
この『物語思考』では、こんなメッセージが書かれている。
周りから「やりたいことをやれ」、「やりたいことを見つけろ」と言われるけれど、
「やりたいこと」が見つからなくて悩む人に向けた本。
この本では「やりたいこと」ではなく、「あるべき姿」を想像する方がいいと著者は言っている。
物語思考とは
よく漫画で「海賊王になる」、「火影になる」と主人公はあるべき姿を掲げて、そこに向かって物語は進んでいく。
物語思考とは、自分を物語の主人公に見立てて、「あるべき姿」へ向かう過程を楽しむこと。
「やりたこと」がなくとも、自分の思い描くあるべき姿があれば、自ずとやるべきことが決まってくる。
さらに、人生の要所で「ここは修行をする場面」、「仲間を探す場面」「戦う場面」など、どの場面なのか想像しながら生きると、その過程自体を楽しむことができる。
俯瞰した視点で行動できる
加えて、自分を主人公として見立てた時に、俯瞰した視点で行動ができるようになる。
イメージはゲームでいう「三人称視点」
主人公は修行の場面で簡単に根をあげない。
主人公は手強い相手と戦ってもすぐに諦めない。
人は感情が行動に影響する。
体調が悪い時は働きたくないし、嫌なことを言う人とは関わりたくない。
そんな時に、三人称の視点があれば、
「ここは修行の場面だな」とか「ここは戦いの場面だな」と言う感じで嫌な感情を抑え込んで行動することができる。
主人公だったらどう行動するかを想像するので、客観的にやるべきことをみることができる。
あるべき姿は過去の自分とは関係ない
あるべき姿を考える時にあるのは、「今までの自分」から考えるということ。
過去の体験からこうなりたい、過去のトラウマからこうはなりたくない、一見そういう根拠があった方が良い気もするが、それだと今での自分が無意識に作っている壁が外れていない。
現状から変えたいのであれば、これまでの自分とは違う行動をとらなければならない。
「あるべき姿」を考える時は、今まで自分がなんとく「無理そうだな」と思っていたことでも考えてみる。
そうすると、自分がどんなことに壁を感じていたのかわかるようになってくる。
やりたいことという言葉に縛られない
これまではやりたいことを仕事にできている人を羨ましく思ったり、やりたいことがない自分が負け組のように思うこともあった。
ただ今回、「やりたいことがない」ことがそんなに悪いことなのか?」と考えさせられた。
人生の目的は「やりたいことをやること」でなくてもよい。
自分がありたい姿でいられるように、その物語の過程を楽しんでみようと思う。
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