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【食エッセイ】夏の暑さに中華そばで勝負したのだ

土曜の朝から病院に出かけた。自宅のドアを開けた途端、もわっとした熱気がまず挨拶とばかりに先制攻撃してくる。そうだったそうだった。日本の夏は暑いのだ。毎日外出しているが(ちゃんと仕事してます)、冷房を効かせた室内とのギャップに思わずたじろぐ。気を取り直し、なるべく日陰を歩けるルートを考えながら病院まで歩いて行くことにした。自転車や車でもよかったが、のんびり歩くのが好きなのだ。そして暑い暑いと愚痴をこぼし、容赦なく照りつける太陽に目を細めながらも、しっかりと夏を味わいたいのだ。

銀天街商店街

去年から住み始めた愛媛県松山市には銀天街と大街道という2つのアーケード街が連なっている。シャッターの降りている店や空き店舗もちらほら見られるが、地方の商店街にしてはまだ人通りも多く、活気がある。土曜市や俳句甲子園などの催しも多い。少しでも暑さを凌ぐため、アーケード街を歩いて病院へ向かった。さすが俳句の街。商店街の店先には地元小学生の俳句作品が、通りのずっと先の方まで展示されている。病院での用事はすぐに終わった。さて昼飯だ。今日は何を食べよう。そこで、銀天街から一本裏の道に年季の入った町中華があったのを思い出した。決まりだ。

目的の店にはすぐに辿り着いた。いい面構えだ。店内に先客は2名。待ち受けるは愛想の良い女将。酢豚ランチや天津丼などもあったが、ここは初訪問。基本の中華そばと半炒飯、それに餃子をつけて。さらにビールで流し込んだら文句なしだが、今は訳あって断酒中。解禁日までガマンガマン。すぐに中華そばがきた。焼豚のほかに、溶き卵やもやし、菜っぱ、にんじんなどが入っているのが嬉しい。まずは一口スープを啜る。やや薄味のスープがうまい。こういった店できっちり味の決まったラーメンじゃ駄目なのだ。コショウを一振りするとさらにうまい。んー、いいですな。

続いて、半炒飯と餃子が登場した。炒飯はまさしくイメージ通りの町中華の炒飯だ。やや薄味の中華そばとしっかり味の炒飯を交互に頬張りうまいのなんの。そしてやや小ぶりの餃子は熱々で、酢醤油で食べたらやっぱりビールが欲しくなる。意志の弱さには自信があるが、この後の予定も考えやめておく。さらに中華そばのスープを飲み干したい欲を抑え、サクッと食べて店を後にした。ご馳走さん。あー幸せだ。ギラギラと挑戦してくる太陽に勝負勝負と勢いよく店を出るも、すぐに参りましたと逃げ腰になり、近場の喫茶店でアイスコーヒーを飲むのであった。

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