正義マン
高木正義はドアチャイムの音に舌打ちをすると、コメントを書きかけた手を止めて立ち上がった。今まさに頭の悪いコメントを叩き潰してやろうとしていたところだったのに。これで流れが変わってしまうかもしれない。とはいえ執拗に鳴らされるドアチャイムに集中力は完全に切れててしまっていた。
覗き穴から外を覗くと、湾曲したレンズの向こうにダークグレーの背広の男が二人立っていた。目つきが鋭い。宅配ではないのだろう。チェーンをつないだままドアをわずかに開いた。
「誰?」
「警察です。少しお話できますか」
一人がバッジを見せる。
警察という言葉に唾を飲み込む。
身に覚えがないとは言わないがなぜ今更。正義は黙ってチェーンを外してドアを開いた。
「どんなご用ですか」
と言いかけて開いた口からは小さな悲鳴が上がった。刑事の肩口から二つの目が正義を凝視していた。感情とは切り離された冷たい目。
正義は視線から逃れるように後退り、足がもつれて尻餅をついた。刑事たちはその様子を見て、目配せをすると小さく頷いた。
正義はトネ子の言葉をようやく理解した。もう元には戻れないのだと。
正義は子供の頃、その名前から「セイギ」とあだ名されていた。父親が厳格だったこともあり曲がったことが大嫌いな真っ直ぐな性格に育った。高校生になったころから、ネットでふざけた動画やコメントを見ると、つい一言正論をぶつけて炎上させてしまうことがあったが、そこに過ちがある以上それはやむを得ないことだと思っていた。
しかし、ろくに知識のない高校生が大人相手に太刀打ちできるわけもなく、収集がつかないまま場を去ることしかできないことに歯がゆさを感じてもいた。そうしたことが続くうちに正義は少しずつ気持ちが離れていった。
大学で法学の知識を身につけ、社会人になって視野が広がるとネットの世界には嘘や傲慢、ハラスメントが溢れていることをいやでも痛感するようになった。
そして正義は再びコメント欄に意見を投稿するようになった。知識に裏打ちされたコメントはほとんどの場合相手を論破し、投稿やコメントの内容がいかに間違っているかを明確にした。
自分の意見が誤った考えを正している。そういった感覚が気持ちよかった。正義はネットに間違った考えや行動を発信するだれかを探すようになり、意見を戦わせるのが習慣となった。
そんなある日、正義は『正義系』と呼ばれる動画配信者がいることを知った。試しにその動画を見て驚いた。彼らは何の根拠も示さずに特定の人物を犯罪者扱いして、その行為を止めさせるという名目で相手を糾弾する動画を配信していた。そこに映されているのは、威嚇、拘束、ストーキング、ハラスメントに他ならなかった。こんなことが許されて良いはずがない。さらに驚いたことに、その動画のコメント欄は配信者を擁護するようなものばかりだった。いいぞもっとやれ。スカッとする。まるでヒーロー扱いだ。正義は早速コメント欄に取り付いた。
@正義マン
あなた方の行為は法律を無視したものです。それに何の根拠も示せていません。根拠を示した上で警察に通報すべきなのではないでしょうか。
@ヨッシー大好き
お前何言ってんの? バカ?
@トリツキー
いるよねこういうやつ。荒らすの好きなんじゃないの?
@正義マン
荒らすためにコメントしているのではありません。この動画には様々な問題があることを伝えたいだけです。
@ヨッシー大好き
うっせーよ!
@はぴねすぱぴねす
あーいるいる。嵐は引っ込んでて欲しい。だいたい正義マンって何よ。肉まんあんまん正義マンってか。
@ゆうこりん
でもちょっと微妙と思うかな。よくわからないけど
@REARREAR
こーゆー連中って本当は何も知らないんだよね。イメージだけでモノ言っている
こいつら本当のバカだ。何も知らないのはお前らだろう。正義は感情が高ぶりうなじがひりひりと痛んだ。
@正義マン
私は弁護士です。この動画に法律的に問題となりそうな箇所が散見されたために意見させていただきました。具体的には執拗に追い回す点。大声で威嚇する点。肩を掴んでしまっている点。個人情報を流してしまっている点。また、コメント欄においてもそのような行為を擁護したり煽ったりする点は問題があると考えています。発信者の自主的な規制と問題行為の謝罪を提案いたします。
嘘をついた。正義は弁護士ではない。
@はぴねすぱぴねす
弁護士とか本当かよ。それこそ根拠しめせよ
正義が指摘した点の法的根拠を示し、コメント発信者含めて相手が法的措置を取れることを伝えると、やれるものならやってみろというコメントがアップされた。だが、すぐにサイト管理者は警察から指示があればユーザー情報を提供するかもしれない、といったコメントが別のユーザーからアップされコメント欄は静かになった。
勝ったと思った。うなじのあたりがいっそうひりひりと痺れ、猛烈な満足感で心が満たされた。
正義はこの手の動画を探しては議論をふっかけた。どんどんと世の中が良くなっていく気がした。しがないサラリーマンの自分が社会の役に立っている。めまいがするほど気持ちがよかった。
最初のうちは。
いつしか『正義マン』のハンドルネームは忌諱されるようになり、快感も薄れていった。
「サチコが怪しい霊能者にだまされたらしいよ」
そんなコメントを見つけたのはすっかり『正義マン』が誰にも相手にされなくなった頃だった。これしかないと思った。いろいろと調べていくうちに『平川トネ子』という名前に行き当たった。サチコという人物を騙した相手と同一かどうかわからなかったが、怪しい霊能者という意味なら間違いないだろう。なぜならば怪しくない霊能者などこの世には存在しないからだ。それは目に見えない物は存在しないと同義だ。
正義はどういう風にぶつかれば相手を更生させられるのかを考えた。正面からぶつかったところで議論が平行線に終わるのは目に見えている。それに彼らは詐欺行為を何年も続けているベテランである。直接的な証拠がなければ絶対に反省などしないだろう。
そこでふと秦野のことを思い出した。このところ立て続けに不幸な目に遭遇している。呪われているのではないかと不安になって相談をしてきた友人、と呼べるほどではない知り合いだ。いつもぐちぐちとつまらないことをぼやいてるくだらないやつという印象しかない。
それに不幸といっても財布を落としたとか、階段を踏み外して足首をくじいたとかの程度でどれも偶然で片付く話だ。あの程度の男からすれば不安になるには十分なのかもしれないが。正義は早速秦野に連絡をして会う約束を取り付けた。
秦野と会う前日の夜中、正義は秦野のアパートまで行くと彼の自転車を探した。秦野はいつも自転車で移動している。だから明日も自転車を使うはずだ。秦野の自転車はすぐに見つかった。海外メーカー製のクロスバイクでいつも自慢していたのでよく覚えていた。
正義は右のブレーキレバーを握りしめるとポケットからワイヤーカッターを取り出し、ワイヤーを半分ほど切断した。左のワイヤーも同じように切断した。何度かブレーキレバーを握ってみて、違和感がないことを確かめた。明日会うために指定した喫茶店は手前に長い坂がある。秦野は喫茶店直前の交差点で必ずフルブレーキするはずだ。すると半分切断されたワイヤーがその力に耐えきれず切れる。秦野は停止できずに交差点に突っ込むだろうが、車通りは少ないから車に轢かれて死ぬようなことはないだろう。ただし多少の怪我はするかもしれない。もし彼が手足を擦りむいて喫茶店に現れるようなら、それは呪いだと言ってやろう。そして平川トネ子を紹介してやるのだ。
翌日、予想通り秦野は肘と膝、そしておでこを擦りむいた状態で喫茶店に現れた。
「なあ、俺、やっぱり誰かに呪われてるのかな。やっと足首が治ったばかりなのに」
正義は神妙な顔つきをしてから答えた。
「俺は目に見えないものは信じないたちだけど、世の中には俺の理解できない何かがあるのかもしれないな」
いつも呪いとか幽霊とかそういった話を否定している正義からの言葉は秦野を震撼させた。正義がいい霊能者がいると言った時、その言葉の真意を疑いもしなかった。そんな余裕は彼にはなかったのだ。
以外にも平川トネ子の予約は三ヶ月先までいっぱいだった。三ヶ月間秦野を落ち着かせつつ、微妙に不安にさせる小細工を繰り返した。そしてようやく平川研究所の扉の前に立つことができた。研究所とかいうからどんな所なのかと思えば、閑静な住宅街にあるごく普通の一軒家だった。
正義は俺が全てまとめるから、お前は黙っていればいいと言って予定通り自分でトネ子とやりあうつもりだった。とはいえ、この時の秦野はすっかり怯えていて精神的にもぎりぎりの状態で、とても自分でトネ子と話ができるとは思えなかった。
化けの皮を剥いでやる。
そう思いながら呼び鈴を押そうとすると、待ち構えていたように玄関扉が開いた。やや小柄で化粧気のない中年女性が立っている。髪を後ろにまとめ、おだやかな笑顔を見せていた。
「いらっしゃいませ。高木さんと秦野さんですね。どうぞお入りになってください」
トネ子はそれだけ言うと後も見ずに中に入ってしまった。笑顔と行動がどこかそぐわない。
案内されたのは八畳ほどの和室だった。元は居間だったのだろうが、大きな祭壇が備え付けられているためくつろげる感じではない。トネ子が祭壇のろうそくに火を灯している間に、正義はポケットに忍ばせたレコーダーの録音ボタンを押した。会話はこれで全て記録できる。どうせ超常現象など起きるはずもないから映像は不要だろう。
準備を終えたトネ子は祭壇を背に座ると、二人を目の前の座布団に座らせた。そして二人を交互にじっと見つめた。いつしか笑顔は消えていた。
説明をしようと口を開きかけた正義をトネ子が手で制した。
「何が起きているのか、あなたは分かっていますか?」
正義はあきれた。それを説明しようとしていたのではないか。いや待てよと正義は考えを改めた。こいつら詐欺師は言葉巧みに情報を引き出す。こういった演技ひとつひとつがこいつらのペースに落ちる策略かもしれない。正義は大きく息を吸ってから静かに吐き出し、
「何がおきているのでしょう」
と答えた。
トネ子は真っ直ぐ正義を見つめた。
「まずいですね」
「はい。友人はいま精神的にもまいってしまっていて、ちょっとまずい状況だと思います」
トネ子がゆっくりと首を振った。
「いいえ、あなたです」
秦野が隣で身を震わせた。どういうことなのかまるでわからないのだろう。それはそうだろう。たった今俺たちは詐欺師との頭脳戦に入ったのだから。後はまかせろと正義は小さく頷いた。
「俺の何がまずいんですか」
その問いには答えず、トネ子は語り出した。
「人は場の中に存在します。家族、仕事、友人、そして先祖に子孫。全てをとりまく場の中で生かされています。それはつまり、様々な縁が我々を縛っているということです。過去から未来までの全ての縁者が我々に影響を持ちます。過去の過ちは未来に影響を及ぼしますし、未来の過ちも過去に遡って影響するのです」
相手の混乱を招く難しそうな論理。それも独自論理だから検証のしようがない。要するに意味のないたわごとだ。正義は笑いを抑えるのに必死だった。
「一体何が言いたいんです」
「ただ、その過ちが大きすぎると、周りの人にも影響を与えてしまう」
そう言って初めてトネ子は秦野を見つめた。そして正義を手で示しながら、
「この方とは少し距離を置いた方がよいでしょう」
正義はうなじのあたりがちりちりと痛むのを感じた。慌てるな。冷静になれ。これは策略だ。このままではペースを乱されるばかりだ。正義は思い切って正面攻撃を仕掛けてみた。
「そんなことより、あなた本当に霊能者なんですか?」
トネ子は全く動揺を見せずに答えた。
「人がそう呼んでいることは知っています。ただ私は人と少し違った回答をしているだけで、能力とかそういうことではないのです」
「はぐらかさないで下さい。あなたは彼が呪われているか、そうでないのかちゃんと答えられるんですか。もし本当に霊能者だというなら、呪いの正体がわかるはずだ」
「呪い、ですか」
トネ子は小さなため息を吐いた。
「はっきりとした呪いはないように見えます。ですが秦野さんの場には少しよくない流れが入っているのはたしかです。それを正すために人間関係を見直すのがいいでしょう」
秦野が安心そうに頷くのを横目に、正義はあきれずにはいられなかった。こいつらは結局こうなのだ。全てを曖昧にしてしまう。
「そんなスマホアプリレベルの回答にいくら取るつもりなんですか」
秦野が慌てて正義を制するが、ここではっきりさせる必要がある。料金の正当性こそが根拠になる。
「どうなんですか。何一つ断言していないのにまさか何十万も取るつもりじゃないですよね」
「秦野さんに料金を払っていただく必要はありません。何もしていませんから。それよりも最初に申し上げた通り問題なのはあなたなのです」
「何が問題なんだよ」
再三自分のことを引き合いに出されて、正義は苛立ちのあまり大きな声を出してしまったことに舌打ちした。あれほど冷静になろうと考えていたのに。
するとトネ子はすっと立ち上がり正義の肩に手を置いた。
「最近うなじのあたりがひりつきませんか。よくない兆候です。何が起きているのかご自分の目で確かめなさい。そうしてみて私の手助けが必要になったらまたお出でなさい。今日はもうお帰りになるのがいいでしょう」
正義は荒々しく立ち上がると秦野を引っ張るようにして研究所を後にした。うなじが電気を帯びたようにひりついていた。思ったような流れにならなかったことも拍車をかけていた。もっとはっきりとした証拠が欲しい。何十万という料金をふっかけて欲しかった。これじゃあ正義の鉄槌を下せないじゃないか。とんだ茶番だ。怪我をした秦野がかわいそうだ。噛んだ唇に血が滲んでいた。
正義は自宅アパートに帰るとベッドにごろりと横になった。気持ちが晴れなかった。すっきりとしたかった。またあのヒーローのような気持ちを味わいたかった。
「くそっ」
苛立ちを紛らわすためにパソコンを立ち上げた。『正義マン』のハンドルネームではもうずいぶん長いことコメントをしていない。きっと喉元の熱さを忘れた連中がまたゆがんだ正義を振りかざしているはずだ。
いくつかの動画サイトを巡っていると見つけた。タイトルに「私刑」という文字が踊る。これは間違いないと気持ちが高ぶった。うなじのあたりが再びひりつく。
映像が映し出された途端、正義は眉根を寄せた。一体これは何なんだ。レポートをしている男性の首筋背中側に何かが張り付いているのだ。赤子くらいの大きさだがシワだらけで禿頭の老人のような顔をしている。全身赤黒く服は着ていない。表情にとぼしく、時折思いついたように首筋に尖った歯を立てて何かを飲んでいるように見えた。ぬいぐるみにしてはリアルすぎる。
CGか?
いや、それにしたって何の意味もない。動画の信ぴょう性が疑われるだけだ。
きっといたずら動画なのだろうと判断をつけ落胆した。しかたない。別を探そう。そしてすぐに別の「私刑」動画を見つけた。だが、この動画にも同じ小人が映っていた。片っ端から類似動画を眺めてみたが、どれもこれもおかしな小人を首筋にまとわりつかせていた。
どうなっている?
正義は少し頭を冷やそうと洗面所で顔を洗った。タオルを掴んで顔を上げて悲鳴をあげた。自分の首筋、うなじのあたりに赤黒い老人のような顔が覗いていた。
慌てて手で払いのけようとしたが、手はむなしく宙をかいた。
「うそだ。うそだ。こんなものあるはずがない。俺は信じないぞ」
ふとトネ子の顔が思い浮かんだ。
「あいつだ。あいつが何かしたに違いない」
正義は再び平川研究所を訪れた。呼び鈴を鳴らすこともせずにいきなり玄関から屋内に乗り込んだ。
「おい、出てこい詐欺師め。俺に何をしやがった」
祭壇のある居間の扉を開けるとトネ子が祭壇に向かって手を合わせていた。
ただならぬ気配を察したのか、奥から中年の男が慌ててやってきて正義の肩を掴んだ。頭に血が昇って振り向きざまに殴りつけた。それからトネ子に向かうとその肩を蹴りつけた。
トネ子は畳に転がり悲鳴をあげたものの、まるでこうなることは分かっていたとでもいうように静かな眼差しで正義を見た。
「肩を触った時に何かしたんだろう。何をしやがった詐欺師野郎」
「一時的ですが私の力を少し分けました。見たのですね」
「見たって……」
正義は一瞬背中の方を向きかけて慌てて首を振った。小人を見たなどと口が裂けても言えない。そんな物は存在しないのだ。
「あなたの見ているそれが、私のみえるものと同じ形かどうかわかりませんが、何をしているのかはわかります。それはあなたの魂を吸っているのです」
「くだらないたわごとは止めろ」
つい声が荒くなる。
「それは人を堕落させ、安い快楽を得るように仕向けます。なぜなら快楽を感じている間、人の心は魂のガードが著しく緩むからです。その隙をついてそれは魂を吸い取るのです。あなたは自分を制御できないと思うことはないですか? あなたが目にした人々も似たような行動をしていませんでしたか?」
正義が言葉につまる。
「あなたがすぐに自らの行動を見直して改めないと、彼らはますます力を増してあなたを自由に操るようになるでしょう。すぐに行動を改めるのです」
「やかましい。そうやって俺から金をむしり取るつもりだろうが」
正義はもう一度トネ子を蹴りつけると、手近にあった花瓶を祭壇に投げつけた。花瓶は粉々に砕けて飛び散った。
「覚えておけよ。必ず思い知らせてやる」
正義はそれだけ言うと研究所を飛び出した。
「手遅れになる前に何とかしないと、末路は悲惨ですよ」
トネ子の言葉が追いかけてきたが、正義は耳を塞ぐようにして駆け出していた。
半年経った。あれほどの事をしたのにトネ子からは何の連絡もなかった。秦野とはいつしか疎遠になった。あの日からしばらくは不安と怒りで落ち着かなかったが、ひと月、ふた月と時間が経つにつれて沼に沈むように全てが消えていった。うなじのあたりにいる老人のような小人にも慣れてしまった。他人には見えないようだし、もはやどうでもよかった。
『正義マン』はハンドルネームを変えて復活した。勝手な正義を振りかざす動画を見つけては荒らしてやった。その度にうなじがひりひりと痛んだ。そして一時の満足感を得ていた。背中に隠れて見えないがきっとあれは成長しているのだろう。そして『正義マン』を止めることはもうできなくなっていたし、小さな悪を叩くくらいでは満足できなくなっていた。もっと大きな悪を倒したい。社会を変えるようなことをしたい。正義はずぶずぶと自分だけの世界へと沈んでいった。
そして、刑事がやってきた。
刑事の背中には赤黒い肌をした老人のような顔をした小人がいた。刑事の背中にいるやつは俺の背中に隠れたやつより、ひどく大きかった。刑事がにやりと笑うのが見えた。
終