茶審査技術競技大会の思い出 その1
こんにちは!京都宇治でお茶の製造販売をしている、北岡園広報部です。
今日は、当園園主も過去に何度も参加した「闘茶会」こと、茶審査技術競技大会の事を書こうと思います。
私もこの話を詳しく聞いたのは今年に入ってからだったのですが、それまでは「京都や全国のお茶の会社の人が集まって利き茶の大会するのだろう。優勝者はソムリエみたいに、凄い味覚を持っている人に違いない!『お茶だけ飲んで、これは和束の○○農園のお茶だ!』とかやるのかな、某格付けテレビ番組みたいに、高級玉露とコンビニでも売っているペットボトルのお茶との判別とかするのだろう」とか、とても適当なことを思っていました。。。
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この大会、聞けば聞くほどとんでもない大会なのです。とくに、園主が出場した京都府は超々激戦区。なおかつ、この北岡園がある宇治市小倉地区はその中でも激戦区だったのです。
例え方が悪いかもしれませんが、北岡園がある小倉地区を勝ち抜いて全国大会に出場するまでの道のりは、夏の高校野球大阪府大会か神奈川県大会並みです。これは多くの製茶会社がこの地区にいて、皆さんとても優れた技術をお持ちの人ばかりだからということです。
ではその大会はどんな大会なのか?園主の思い出話から詳しく説明させていただきます。
※これは園主が出場していた時の話であり、コロナ禍の影響でリモート大会になったこともあるなど、現在の大会規定が若干変わっている可能性はありますのでご了承ください。
①どんな大会なの?
お茶の判別をする協議会です。4段階の協議があり、その総合得点で競います。
第一審査
外観によって、荒茶の「茶期」を判別します。みなさんも「一番茶」等の言葉を聞いたことはあるかと思いますが、1番、2番というのは「茶期」を示すのです。どこかの地区の「1番茶」「2番茶」「3番茶」が1点ずつあり、その3つのうちのいずれかのお茶が2種類あります。アイウエオの符号がつけられた5つのお茶を5分以内で、「1番茶」「2番茶」「3番茶」なのか、またそのいずれかのお茶なのかを判断します。
第二審査
今度は、煎茶が出てきます。が、7つの品種のお茶のうち5種類が出てきまして、それぞれは、7つの品種のいずれなのかを当てるというものです。
7つの品種は、やぶきた、おくみどり、さえみどり、かなやみどり、さみどり、めいりょく、さやまかおりの7つです(※開催年次によって違いがあるかもしれません。)
なお、京都で開催するときは、宇治茶会館内の地下水を使って、4gのお茶から抽出するという細かい規定もあります。制限時間はこれまた5分。
じつは私広報部の人間はかつてソムリエ試験を受けたことがあるのですが、赤ワイン2種と白ワイン2種をテイスティングしてブドウ品種を当てつつ、その味わいをしっかり表現する、というものです。まだブドウの品種は特徴がはっきりしているものもあり分かりやすいですが、お茶でそこまで、、、とこの第二審査を聞いた時点で自信喪失しました(ちなみにソムリエ試験は不合格でしたw)
第三審査
こんどは全国各地の仕上げ茶(荒茶から茎などを除いた最終製品)を外観だけで見極めます。しかも、玉露で5種、煎茶で5種あります。
玉露:宇治、和束、田原、田辺、両丹(丹波地方)
煎茶:宇治、大和(奈良県)、朝宮(滋賀県の南部信楽町)、鹿児島、静岡
もう、マジでこんなの分かるの?というレベルです。制限時間は10分。10種類に、アイウエオカキクケコ符号が付いていますので、その符号ごとに産地を記入します。
第四審査
最後はまたテイスティングです。
田原の玉露
和束の玉露
宇治の煎茶
静岡の煎茶
鹿児島の煎茶
この5種類が主催者が決めた順番に1つずつ出てきますが、もちろん出場者にその順番はわかりません。
その杯を飲んで、これは和束の玉露だ!と思ったら、下記の分類に従ってシールを貼ります。参加者にはあらかじめ「花」「鳥」「風」「月」「客」のシールがそれぞれ用意されています。
田原の玉露➡花
和束の玉露➡鳥
宇治の煎茶➡風
静岡の煎茶➡月
鹿児島の煎茶➡客
と、ここまででも相当難しいのに、なんとこれを4セット行います。
ただ、2回目以降は4つの種類のお茶しか出てきません。なぜかというと、4杯目が出てきた時点で、シールは手元に残り1種。なので、それまででしっかりと正解していれば5つ目を試飲する必要がないからです(逆に、間違っている場合ももちろんあります)
4セットはもちろん順番がシャッフルされますし、飲んでいて混乱してきます。。。最後のお茶を飲むまで、精神力集中力を保てるかが勝負の分かれ道です。
長くなりましたので今日はこの辺で!次回はその協議会での思い出話も含めてお伝えします。