遠距離介護我が家のはじまり②
様々な検査をして最後は内視鏡での検査。
父は検査着に着替え入室、しばらく待つとベッドに寝た状態で戻ってきた。
意識はあるけど検査がしんどかったようで弱々しい表情をしていた。
「今日はこのまま入院しますのでお帰りいただいて大丈夫です」と看護師から言われた。
「じゃあまた明日来るからね」と言うと父はまだ麻酔の影響か声が出しにくいようでうんと頷く。
検査結果は翌日わかる。
とりあえず母を連れ病院を後にする。
時間は午前中から来てすでに2時過ぎ。
いつ呼ばれるかわからずお昼ご飯もコンビニのおにぎりをちょっと買って食べた程度なので本格的に空腹感を感じ始めた。
「病院の食堂もあるけどご飯どうする?」と母に聞くと
「病院の雰囲気は気分が憂鬱になるから早く出たい」
と言うのでバスに乗り最寄りの駅まで行き近くのファミレスに入ることにした。
母はとにかく心配と不安で低血糖を何度も起こしかけファミレスで一息つくとやっと少し落ち着いた。
母との食事は少し憂鬱になる。
若い頃に糖尿病と診断され食事療法でなんとか10年以上は自分なりに進行を遅らせたつもりでいる。
でもちょっと体にいいと聞くと色々とそればっかりを食べるというなんちゃって健康オタク。
20代の私が見ていてもバランス良く食べなきゃダメだろと言うのに
「これ飲むと調子が良い」
と言っては濃縮還元の100%オレンジジュースなどをガブガブ飲む。
どう見ても糖分の摂りすぎと言ってるのに止めることなく数年後、私が北海道に行った後いよいよ糖尿病の薬などを飲みさらにその後いつのまにかインスリンもやり食事指導の入院にもなっていた。
そして今はオレンジジュースのがぶ飲みこそしなくなったがそれでも人には散々甘いものを食べるなとか言う割に自分は低血糖を言い訳に菓子パンなどを食べて補給する。
実家に帰るととりあえず好きなものは一切食べられない。
食べてるところを見られたら何かしら小言がくるし会って早々
「また太った」
と1日に何度も言うから帰省の足も遠のく。
そんな感じだからファミレスでも適当に野菜のあるものを頼みつつそれほど量が多いわけでもないドリアも頼んで食べるがブツクサブツクサと小言がくるのでイライラしながら食べ切った。
電車に乗り家に帰ると母も疲れたと一休み。
私も自室に行き休むことにした。
夕飯は目があまりよく見えなくなってる母とスーパーで買った惣菜などを食べるが歯の悪い母は柔らかくしたものしか食べられないし脂でお腹を壊しやすいから惣菜のハンバーグなども温めてキッチンペーパーに押し付けて油を抜いてしまう。
私には同じものを温めただけで良いのにわざわざ同じ状態にして出してきたので正直美味しく食べられず悲しい気分になる。
しかも自分が食べる量と同じものをこっちにも出すから肉体労働してる私としては全く足りずストレスがピークになる。
手のひらの半分程度のハンバーグ、油も抜かれ美味しくもなんともない。
「流石に足りない」と言っても
「食べ過ぎよ!!」と言って出すのは野菜たっぷりのスープかバナナ。
米はやたら多い。
「米は夜ほとんど食べないぐらいだからこんなにいらない」と言ってもそこは
「バランスよく食べなきゃダメでしょ」と言って譲らない。
これだから母との同居はすでに不可能なことは明白になっていた。
私が食事を作ったら作ったであれこれ文句を言ってくるのが目に見えてるので作る気にもなれない。
基本出される食事に文句を言いたくないが流石に限度を超えている。
食事の時間は本当に拷問としか感じられず父が退院した後は絶対短時間でも1人で出かける時間を作ろうと決めてその場をやり過ごした。
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