専業主婦はシャドーワークで必死に働いている。

僕の母は料理を大量に作る。おでんとかラッキョウとか梅干しとかカレーとかローストビーフとかだ。大量に作った料理は親戚やご近所さんとかに配りまくる。
大量に作ってると時間がかかるので、その日の僕の飯は缶詰だけに成ったりすることがよくある。

配るので当然いろんなお返しも良く貰うのだけど、それで結構変わったものが食卓に並んだりする。私の母は賃金労働をしていないのだけど、とても忙しく仕事をしていて、他の人から色々稼いでくる。母は裁縫が苦手なんだけど、隣の人が得意なのでラッキョウとかでやってもらえたりする。

貨幣経済とは違う物流を私の母は担っている。もしかしたら僕なんかよりずーっと多く稼いでいるのかも知れない。信頼を稼ぐ力なら多分僕の百倍くらいあると思う。
働く女性って賃金労働だけなのかな？

アトキンソンさん。僕の母をどう思います。
本物の労働をしてるのは僕の母の方だと思いますよ。

シャドーワークという概念がある。これはアナール学派のイバンイリイチが提唱した概念です。貨幣経済による仕事と貨幣経済では無い仕事。貨幣経済では無い仕事の重要性を説き、もともとは貨幣経済では無い仕事の方が多く重要だったのに、影の仕事として追いやられてしまっている状況に異を唱えた。

シャドーワークは家事が代表だけど、下町人情みたいな部分も存在している。三軒向こうの三男坊がぐれて阿保やってるのを怒ってあげたりとか、田舎なら共有地の草むしりとかコミニティワークみたいなものも含みます。
こういったものは田舎に行くほど増える傾向が強いです。

専業主婦叩きをアトキンソンが言い出しているけど、貨幣経済だけが仕事では無く、実はシャドーワークこそが地域の信頼関係を構築している。田舎に行けばシャドーワークでくそ忙しく働いている主婦なんかいっぱい居る。

当たり前なんだけど、ライオンが獲物を捕らえるのはシャドーワークだ。貨幣経済では無いのだから。植物が光合成するのもシャドーワークだ。これも貨幣経済では無いからだ。
自然界ではシャドーワーク以外の仕事なんか存在しない。
なんで人間だけがシャドーワークを根こそぎ壊そうとするの？