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酔いをめぐる雑考
最近、日本酒の勉強も兼ねて(勉強というか知識の一つとして)、『夏子の酒』を漫画アプリで少しずつ読み進めている。
東京で働く女性が実家の酒蔵に戻り、幻の酒米を一から育てて理想の日本酒を作ろうとする話なのだが、もちろん簡単にはいかず、地域の理解を得るのにめちゃくちゃ苦労してるところとかが描かれるので、いまからみれば昭和の世界が感じられて面白い。
もちろん今も地域によっては全然残ってるだろう…。
この作品のなかで種田山頭火の句が印象的なかたちで引用されていたので紹介したい。
ゆうぜんとして
ほろ酔えば
雑草そよぐ
実際に読んでいる句集がどれかはわからないが、この句を冠した日本酒もあったとか。
『夏子の酒』で有名となった一句だと思われるが、なるほど良い詩である。
おそらく外で飲んでるのだろう。天気もよく、風が気持ち良く吹いている日に酒を飲み、ほろ酔いになっている。そんな情景が浮かんでくるようだ。
幸田露伴の野道を思い出す。
酔いというのはある種の異常な精神状態であって、感覚やなんかが鋭敏になるところがある。
素面ではなんとも思わなかった風にそよぐ雑草に妙に感じ入ったりするわけである。
ただ、飲み過ぎれば途端に感覚は麻痺して愚鈍になってしまうので、まさに「ほろ酔い」というべき絶妙な酔い具合が大事だ。
このあたりの飲み方、酔い方にについてもこの詩に学ぶことはたくさんあるように思える。
何かから解放されるために飲むのではなく、解放されたから飲む、みたいな。
仕事から逃げるために飲むのではなく、仕事が終わったから飲む、といったような。
最近はむやみやたらに飲むのではなく、真に飲むべき時を見つけて飲むようにしている。
酒飲みは酒が好きでいつでも飲んでるような連中だとすれば、良い酒飲みは酒を飲まないポイントを知っているということだ。
お酒を楽しむというのはそういうことなのだと思う。