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【あほあほ祭り】マジでなんも言えねえ



「来院する際は、洗濯ネットへ入れてくださいね。」


私は驚いて一瞬耳を疑ってしまったよ。だって、ブラジャーやパンツを洗濯する方法を聞いているわけではない。私は確認のためにもう一度、丁寧にお伺いすると、滑舌が良い同じ言葉が返ってきた。どうやら空耳アワーではないらしく、本当に洗濯ネットへ入れるらしい。そして、私は予約を取り電話を切った。


愛猫がまだ小さい頃、愛猫の健康診断と予防接種のために、動物病院へ予約の連絡を入れたら、愛猫を洗濯ネットへ入れてから来院して欲しいと注文されたのだ。(ちなみに洗濯ネットとは、洗濯物を入れる網状の袋↓)


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私はガラスの仮面の北島マヤのように白目をむきながら、想像した。無鉄砲な飼い主に育てられた愛猫も、スクスクと無鉄砲に成長した。だからか、うちの無鉄砲な愛猫は、抱っこが大嫌いで、無理矢理抱こうものなら、手や腕は引っ掻かれて傷だらけ祭りになることは必須。それを洗濯ネットへ入れるなんて…できるはずがないやん…。しかし、愛猫の健康が大事だからと、母とふたりで潔くジャンケンして負けた方が、愛猫を洗濯ネットへGOすることになり、そして、母がジャンケンに負けた。


ヨッッッシャーーー!!!


と、私が雄叫びをあげたあとに愛猫を探すけれど、どこにもいない。動物的第六感レーダーを使って「何か」を察知した愛猫は、どこかに隠れたのだろう。これは例の手を使うしかあるまい、と出してきたちゅ〜るカツオ味とネズミのおもちゃを持った大人2名が、ニヤニヤしながら愛猫の名前を呼んで家の中を徘徊している。異様な雰囲気。


すると二階の出窓で目を見開いたままあくびをしている愛猫を確認した。


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それから私は、即座にネゴシエーターに豹変して、


「良い子ですねえ、ちゅ〜る、食べよう、ちゅ〜る。カツオ味美味しいよお。大好きなおもちゃもあるよお。」


と、囁いた。文字に起こすとあまりにもあほな言葉に、自分でひいた。でもその時は動物病院の予約時間も迫っていたし、兎に角必死だったから、なりふり構っていられなかった。そしてわたしは変態ネゴシエーターへと変貌する。


「綺麗な瞳で艶のある毛並みですねえ。そして立派なお髭ですねえ。もう全てが唯一無二!天上天下唯我独尊!お釈迦さまかっ!?」


変態ネゴシエーターが褒めちぎりながら、右手にはちゅ〜るカツオ味を、左手にはおもちゃを持ってジワジワと近寄っていくと、愛猫は「ニャ。」と返事をしてくれた。


「可愛いねぇ。その透き通る声はソプラノですかぁ?とても素敵なお声ですねぇ。♪ O sole mio(オー・ソレ・ミオ)」


よいこのみんなは絶対にこんな話し方をする大人には付いて行っては、ダメだよ。


それから変態ネゴシエーターは、おもちゃを愛猫の目の前に置こうとしたら、その一瞬のうちに、愛猫は私をすり抜けて逃走した。


「あ゛っ!!」という、濁音と同時に右手にバグが起こり、ちゅ〜るカツオ味が勢いよく放出し、顔面と服にそれを浴びる、私。


それから、ドア付近で愛猫を確保して「痛ーーーー!!」と叫んでいる、母。


そして、母の腕の中でとれたてのカツオのようにピチピチと踊り狂ってる、愛猫。


現場は阿鼻叫喚図と化した。


そして私も結局は手伝って、愛猫を洗濯ネットへ入れることができた。その心境をもののけ姫の猩々で言いたいとおもう。


コレカラ、動物病院へ向カウ。
車ノ中、一人カツオ臭イ。
モウ一人、痛イ痛イ言ウ。
モウ一匹、ゴ立腹。
出典 もののけ姫、猩々(しょうじょう)よりremix kitano-ke.


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それから無事に動物病院へ到着して、健康診断と予防接種は「死闘の洗濯ネット事件」とは関係なく、呆気にとられているうちに終了した。けれど、カツオ臭くても、血まみれ祭りが開催されてもね…いいんだ。私は君が健康で長生きしてくれたらなんでも我慢できるから。と、思いながら帰宅して愛猫を撫でようと手を出したら、おもいっきり噛まれた。


マジでなんも言えねえ。






#あほあほ祭り

#あほフェス






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