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blender 4.3 モディファイア 詳説 - ShrinkWrap シュリンクラップ

使用頻度の高いモディファイアから、可能なかぎり、すべてのオブション、機能を整理しています。今回は、シュリンクラップモディファイア。ラップをかけるように、特定のオブジェクトを別のオブジェクトの表面に吸着させることができます。


環境 Blender 4.3.0 , Mac Mini M1 OS 14.4



基本


たとえば、左の単体のフルーツオブジェクト(Fruits)を作成し、デフォルトの UV 球を右のような位置へ追加する。

UV 球オブジェクトに、シュリンクラップモディファイアを適用。

ターゲットにはフルーツオブジェクト(fruits)を指定。オフセットは、0.02

ターゲットは、吸着する対象オブジェクト。オフセットは、ターゲットからの余白を指定する。

ターゲットのフルーツオブジェクトを包み込むように、UV 球オブジェクト表面が吸着する。

cycles によるレンダリング一例


Option


シュリンクラップモディファイアは、設定オプションとその組み合わせが多い。主要なオプションと、一般的なパターンを紹介する。

Wrap Method - ラップ方法


Nearest Surface Point(最近接表面の点)、Project (プロジェクト)、Nearest Vertex(最近接頂点)、Target Normal Project(ターゲットの法線で投影) の 4 タイプのメソッドがある。

下の半球をターゲットとして、上の平面にシュリンクラップを適用する。
左 : Nearest Surface Point(最近接表面の点) 右 : Project (プロジェクト)

デフォルトの「最近接表面の点」では、ターゲットにもっとも近い表面に吸着するよう計算される。「プロジェクト」はやや特殊なので後述する。

左 : Nearest Vertex(最近接頂点) 右 : Target Normal Project(ターゲットの法線で投影)

「最近接頂点」では、ターゲットの頂点を基準に吸着する。「ターゲットの法線で投影」では、ターゲットの法線(ノーマル。面の向き)に沿って吸着する。トポロジーがもっとも維持されやすい。



Snap Mode - スナップモード


「ターゲットの法線で投影」以外のラップ方法には、吸着の方法に、スナップモードオプションがある。

たとえば、上のようにややターゲットを重なりがある場合。
以降、ラップ方法は「最近接表面の点」、オフセットは 0.1
デフォルトの、On Surface(サーフェス上)
重なりのあるエリアの処理にはやや難がある。
Inside(内側) ターゲットの内側に吸着する。
Outside(外側) 重なりのないエリアは吸着しない
左 : Outside Surface(サーフェスの外側) 右 : Above Surface(表面の上)

どちらも処理はほぼ同じだが、ターゲットの外側へ、ターゲットの面の向き、によって吸着する。


Project - プロジェクト

ラップ方法のひとつ。他の方法とは異なり、特定の軸(通常は垂直方向)へ直線状に吸着する。

ターゲットの外にあるエリアは吸着しない。
Limit(制限)0.2  0.4 吸着の範囲を調整
Axis(座標軸)右 : Z をON 上では縦方向のみに吸着の軸を限定できる。
Positive(正方向) / Negative(負) 

モディファイアを適用する側のオブジェクトの面の向き(上では正方向がPositive、ノーマルが逆の面は 負 - Negative )によって処理を行うかどうかを指定する。どちらもON の場合は自動的に判定される。
なお、「面を間引く(Face Cull)」では、ターゲット側の面の向き(ノーマル)による調整を行える。実例は見いだせなかった。

実例

たとえば、やや細かく細分化した平面オブジェクトに、シュリンクラップモディファイアをかける。ターゲットは下のフルーツ。

平面オブジェクトを下方向に移動。
サブディビジョンサーフェスモディファイアを適用。

ラップで包むというよりは、真空パックを行ったような効果を得られる

cycles によるレンダリング一例



まとめ


シュリンクラップとは、そもそも包装用のプラスティックフィルムのことで、日本語ではサランラップでしょうか。まさにその用途に最適といえますが、すこしオプションが複雑なのがやや難点かもしれません。
このほかには、キャラクターの服づくりや、オブジェクト表面に付けるシールやステッカーなどに使われることもあるようです。参考まで。

なぜかサランラップの扱いがヘタで、かなりの確率で、こんがらがったり、切れたまま箱から出てこなくなったりします。ときどき、これはひとをイライラさせるためだけに発明されたのではないかと疑うことがあります。

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