のらねこ日記 ③
肝っ玉 玉かあちゃん
その日、徒歩で帰宅途中の父は、前方のブロック塀の上に白っぽい猫を発見しました。
田舎のわんぱく小僧だった父は、持っていた傘で、猫をつつき落としてやろうと思い(何でそんなこと考えるの!)、近づくと、その猫はにゃーと愛想よく鳴きながら、自ら父の方へ近づいてきました。
その様子に「なんか、ゴメン」と思った父は、悪さをせずに猫の頭をなでてあげました。
するとその猫は、父についてきました。
アパートに通じる道のかどで、父は猫に
「うちまでついてきたら餌やるぞ」と言いましたが、猫はそれ以上ついてきませんでした。
帰宅した父から、こんな猫がいたと、話を聞いた私は、まだ近くにいるかも!と、玄関ドアを開けたら…
いました…ドアの前にキチンと座った猫が。
白にところどころ三毛のぶちが入った丸っこいおばさんで、尻尾が曲がっていて、背中に傷、おまけに片方の牙がないせいか、舌が横からペロっとはみ出ていて、お世辞にも可愛いとは言えない、むしろ歴戦の勇者を思わせる風貌でした。
でも約束したので、煮干しをあげたら、毎日来るようになり…
一週間後、子猫3匹引き連れて、アパートの物置小屋の下に引っ越して来てしまいました!
この玉かあちゃん(後にうちの母が命名)が
わが家の40年にわたる猫飼い歴の口火を切ったのでした。