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のらねこ日記 ㉖

箱入り娘

   1年ほどすぎて、すっかり大きくなったケイちゃんは、以前のような長押走りはできなくなったものの、相変わらず活発に動き回っていました。
  特に彼女は、箱が大好きで、段ボール箱や、洗濯かご、新聞紙の回収袋など、入れるものには、片っ端から入っていました。
  ある時は、明らかに小さい電子血圧計の空き箱に入ろうとして、足4本入れたものの体が入らず、そのまま横にバタンと倒れていました。
「箱に入れられて捨てられていたから、箱の中が落ち着くのか?」と、家族でよく話したりしていました。

箱入り娘(タイトル回収)

  獣医さんからは、事故や他の猫とケンカして病気をうつされたりする危険があるから室内で飼ったほうがいいと、言われていましたが、住宅街で車の通りも少ないしと、昔気質の両親は、ケイちゃんを外出自由にしていました。       正面の庭には、ポン太とミミコがいるので、もっぱらケイちゃんは裏のベランダから出入りしていましたが、時々、網戸越しに外の子と目があうと、眉間をしわっしわにしてシャーっと威嚇していたので、外の子たちを家の中に入れるのは、見送っていました。
  でも、ポン太とミミコもすっかり慣れて、このままじゃかわいそうだと、母が言い出しました。  そのことを、父が獣医さんに相談すると、「新たに猫を迎い入れるのは、いいですが、常にケイちゃんを一番に可愛がってあげて下さい。」とアドバイスをもらいました。
  こうして、ポン太とミミコは、晴れてうちの子になりました。  
  一方のケイちゃんは、というと、基本的には、彼らを無視していて、向こうから、しつこく近寄られると、眉間をしわっしわにして、渾身のシャーをかますのでした。どうも、ケイちゃんは、自分は人間で、『こいつら(猫)と私は違うの!』と思っているようでした。  

猫トイレではない



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