昭和の「まんが道」、平成の「G戦場ヘヴンズドア」、そして令和には……
「これ描いて死ね」がある。
とよ田みのる先生マンガ大賞2023受賞おめでとうございます!昔購読していたアフタヌーンで先生のデビュー作を読んだ時にすごい新人さんが出て来たな〜と思ったことを覚えています(嫌らしい古参アピール)。
いやホントめでたい。アフタ買うのやめちゃってからはとよ田先生の漫画ともとんとご無沙汰だったのでこれを機に購入。
何を隠そう、タイトルで分かるように私は漫画家漫画が大好きなのだ。
特に「G戦場ヘヴンズドア」にはこれまで何度命を救われたか分からない。「作る人」である自分にとってのバイブルだ。どこを開いても名言にぶち当たる熱い血潮の通った作品だ。
「これ描いて死ね」の作中にも「漫画に人を感じたい」というセリフが出てくるが、多分そういうことなのだ。
そしてそれは他ならぬ「これ描いて死ね」にも当てはまる言葉だ。
さてこの作品、今出てる二冊の中だけでも名シーンがたくさんあるけれども、二巻のコミティア初参加の回でズビズビに泣いてしまった。いや嘘。一巻の「漫画は嘘じゃないよ」の時点で既にズビズビになっていたのだけど、ヤスミンがサークル参加者として臨む二度目のコミティアの回は、昨年からイベントにサークル参加するようになった私の個人的な思い出も手伝って本当に胸に迫るものがあった。そう、そうなの!たとえ多くの人には見つけてもらえなくてもちゃんと読者はいるんだよ〜〜!特に一次創作の作品を手に取ってもらえた時の嬉しさは本当にヤバいんだ。だって正真正銘自分にしか作れないものだからね。
先生や漫研のみんなの漫画愛がテキメンに効く効く。好きという気持ちの尊さよ……。
特に一度漫画から離れたにもかかわらず捨てきれないでいる手島先生に共感する大人は多いんじゃないかなーと思う。私も一度創作から離れた期間のある出戻り組で、「自分はもう書くことが好きじゃなくなったんだな」という思いを抱いたこともあったので、なんか手島先生の漫画好き仕草が見えるたび嬉しくなっちゃうんだよな……。尊い。自分の好きを疑ったり閉じ込めたりするの、ほんと苦しいからさあ。
手島先生の現役時代を描く読み切りも良かった。「面白さで殺す」、すごい分かるんだよな〜。物作ってる時は割と考えが物騒だし、わかって欲しいではなくわからせてやるくらいの気持ちになってるもんな。
登場人物たちの漫画との関わり方はさまざまだけど、皆ひたむきで、とにかく漫画を愛している。漫画に対して嘘をつかない。……手島先生は必死で嘘をつこうとしているけれども、それができていないのがまた愛しいと思う。
読むと元気が出るし、何より作ることを始めた頃のまっさらな気持ちを思い出す。創作筋の回復途上にある今このタイミングで出会えて本当に良かったと思える漫画だった。
これは本当に不思議なんだけど、最良のタイミングで出会うべくして出会うものってあるよね。
世界はそれを縁と呼ぶんだぜ。
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